楽しい買い物です。
先王カイルがシオンに声を掛けた。
「シオンよ。ちょうどよい。お主も人の事は言えぬ。せっかくじゃ何か買ってやろう。それとシオンだけでは不公平じゃ。ペルセウスにも見繕ってやるかのぅ」
「僕にもいいのですか!?」
先王はペルセウスの頭を撫でながら言った。
「無論じゃ。シオンだけでは不公平じゃ。それに、毎日勉強を頑張っておるようじゃし御褒美じゃよ」
すでにペルセウスは先王に取っても孫の様な存在になっていた。
「失礼致します。イージス夫妻から伺いましたが、明日、皇王様と謁見されるとか。子供様であれば既製品の制服も扱っております。是非ともプレゼントさせて頂けないでしょうか?」
やり手のトルネは先王の付き合いのあるイージス卿に恩を売りたいようだ。
「うむ、良いではないか?ワシは装飾品を見せてもらうとしよう。シオンよ何か良いものはあるかのぅ?」
生前では余り出来なかったデートをシオンとしたかったのだ。
「うふふふっ、ありがとう。こういうのは見てるだけでも楽しいものよね」
しばらくシオン達は買い物を楽しんだ。
シオンは、あっと思い出したかのように、トルネにお願いした。
「あの、宣伝でこのチラシを置いて貰えませんか?」
シオンの用意したイージス領の『温泉』がアピールされていたチラシだった。
「おや?これは………はい!大丈夫です。またご来店されたお客様に宣伝しておきますね」
「ありがとうございます!」
ホクホク顔でトルネのお店を後にするシオンだった。
翌日、ついに謁見の時間になりました。
先王は先に王城に向かい子供達に釘を刺すよう向かった。それには元教皇ワイズ様も一緒に同行した。
イージス一家は少し早い時間に王城へ向かう事になる。万が一遅れると不敬に当たるからだ。
そして、王城の一室で緊張した面持ちで時間が来るのを待っていた。
「こんなに緊張するのはシオン達の出産の時ぐらいだなぁ~」
「あら?貴方は一家の大黒柱なのですから、ドーンと構えていてください♪」
父と母は昨日からラブラブだった。
そしてついに時間になり、官僚が迎えに来ました。
「イージス一家の皆様、お待たせしました。お時間になりましたのでご案内いたします」
謁見の間の大きな扉が開かれ、中に入ると驚いた事に、普段は居ない多くの貴族、大臣、それに繋がる官僚達が勢ぞろいしていた。
タラリッと冷や汗が流れて落ちるのを感じた。
『カイルとワイズ様、失敗しましたわね』
これは大々的に私を持ち上げる気ではないでしょうか?
シオンはこの後に起こる騒動を想像し、目眩がしたが、この後シオンの想像を超える出来事が起ころうとは、この場にいる誰もが予想出来なかった。
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