王都です!
イージス一家は王都へ旅立ちました。
辺境から王都まで普通の馬車で1週間の距離です!
途中まで道が整備された事により、5日で行けるようになりました。
問題があるとすれば───
「どうしてカイルとワイズ様も一緒に来るのですか?」
そう、馬車にはカイルとワイズ様も一緒に乗っていた。ちなみに馬車は2台で移動しています。お父様とお母様は後ろの馬車ですわ。
「ワシもこちらにきて半年以上過ぎた。1度、状況報告もせねばならぬじゃろう。アルトのヤツにもバレた事じゃしな。はぁ、帰ったら色々と言われるじゃろうなぁ~」
先王はシオンの事を責められると思い気が重かった。
「ほほほっ!先王ともあろう者でも家族には弱いようですじゃな」
「煩いわい。別にお主も付いて来なくて良かったのじゃぞ!」
照れくさいのか顔を背けて言い放った。
ペルセウスはずっと馬車の窓から外の景色を見ていた。
「ペルお兄様、外が気になりますか?」
「うん。領地を出るのが初めてだから外を見ているのが楽しいよ」
すでに馬車に揺られて4日目です。大きな街に立ち寄ったり、今も様々な建物が建ち並ぶ街中をゆっくりと移動しております。
そんなペルお兄様を温かい目で見守りながら話を進めます。
「カイル、たぶんだけど王室は私を『婚約者』として迎え入れようとするでしょう。それを止めて欲しいの。頼めるかしら?」
「うむ承知した。しかしアルトも納得してくれたし、お主が嫌といえば無理矢理にはせんじゃろう。なんやかんやで母親の事を思っておる子供達じゃ」
そうなのですが、精霊の指輪を与えられた価値を思うと王家へ取り込みたいですわよね。
ワイズ元教皇様も、その知名度と権力を使い護ってくれると言ってくれましたし、お願いしましょう。
アルトが言っていた時の『嫌な予感』は、爵位が上がれば王家に嫁ぐ事が出来るようになると言う思いがあったからですわね。
王家に嫁ぐには最低でも伯爵家以上からと決まっています。理由としては低爵位だと、持参金の用意が難しいからと、爵位が低いと王宮で働いている者に侮られてしまうから。王宮に働いているメイドは、身元のはっきりしている貴族の次女など多いですからね。
シオンは首を振って忘れる事にした。
「馬車も順調に進んだし、王都に着いたら先に観光してみますか」
「本当!やった!!!」
兄ペルセウスは喜んだ。
ふむ、王都にいる間に領地の温泉を広める活動も致しましょうか。
シオンは荷物に入れたチラシを思い出して不敵に笑うのでした。
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