これからについて──
アルトは数日間滞在して様々な事を話した。
「母上、兄であるペルセウス君についてなのですが、魔力の流れが変ではありませんか?」
5歳の子供に母上と言うのは、はた目からは色々とマズイ感じに見えるのだが、本人は気付いていないので置いておこう。
アルトはペルセウスの魔力循環のトレーニングに気付いたようだ。
「ああ、あれは特訓ですわ。私もそうですが、常に身体の中で魔力を練っているのです。そうする事で魔力の上限が増えて魔力の扱いも上手くなる一石二鳥の訓練ですわ。お兄様は私よりまだ拙さがあるので、魔力の動きに敏感な者は気付くでしょうね」
王族は敵が多いので、目の前の人物の動きには敏感になるものです。
アルトもその洞察力で気付いたのでしょう。
「まさか、生前言っていた子供の頃に魔力の上限が増える研究を実践しているのですか!?」
驚くアルトに静かに説明した。
「う~ん?研究と言うか、あくまで訓練ですよ?大人でも効果がありますが、幼少期の子供にさせる方が効果が高いのです。慣れれば常に魔力を体内で練る事が出来るようになるので、魔法の発動も早くできますわ♪」
アルトは呆気に取られていたが我に返ると改めてシオンをみると、自然体で体内で魔力が渦巻いているのを感じた。
「マジか…………」
すでに宮廷魔術師レベルの魔力があるんじゃないか?
アルトはこれから成長していったらどれだけの力を手に入れるのか心配するレベルで気になった。
ってか、兄上やシーラの子供にも施してみたら面白いかも知れないな。母上達だけではズルいしな。面白いネタを手に入れたアルトだった。
そして出立の日になりました。
「母上、お身体に気を付けて」
「ええ、アルトもね」
別れを惜しむようにアルトは帰っていった。
「ねぇシオン。大丈夫?」
お母様が心配そうに声を掛けてきました。
「ええ、大丈夫ですわ。もう会えないと思っていた子供と再会出来たのです。嬉しいに決まっていますわ」
ただ、これか面倒な事にもなりそうですけどね。
シオンはもう見えなくなったアルトの馬車の先を見詰めるのでした。
そして数日後、アルト王弟殿下と入れ違いに元教皇ワイズ様もやってきました。
「お久しぶりです。これからお世話になりますぞ」
各種の引き継ぎや、各教会に挨拶をしてからやってこられたので時間が掛かったのです。
ってか、先王陛下も普通はそれくらい掛かるはずだったのですが、サッサと来てしまったのが現状でした。
「しかし1年も経たずにここまで発展するとは守護精霊アリエル様の加護の賜物ですな~」
1年前と違い、まだ途中とはいえ、道の整備と温泉の熱気が町を包んでいた。
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