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実は知っていた件について──

イージス男爵の指摘にアルトは不敵な笑みを浮かべて言った。


「まぁ、半信半疑でしたが知っていましたから」


意地悪な笑みに変わりお茶を啜った。


「はっ?知っていた???」


「はい。兄上に言われて地酒の不正について調べていたのと、守護精霊アリエル様が顕現されたと言う教会も確認の為に徹底的に調べました。そこの神父から【丁重】に事情を伺ったしだいです」


あっ!?


そうだ!あの時、教会の神父様もいましたわ!

口止めはしましたが王弟殿下の方が権力的に強いですものね。話してもしかたがないですわ。



「神父殿から話を伺っていなければ信じられなかったでしょう。しかし実際にお会いして確信致しました。間違いなく母上だと」


「はぁ~昔からオチャラケてると思っていたら、周りから一歩下がった所で全てを見通している所は変わってないのね。アル」


アルとは家族の間のみで呼ぶ愛称である。


「まったくじゃ。この意地の悪い所は誰に似たのやら」


シオンと先王は諦めて、ため息を吐いた。


「それは父上でしょう。どうして守護精霊アリエル様が母上を生まれ変わらせた事を黙っていたのですか?」

「それは、シオンが今世ではゆっくりと過ごしたいと言う願いを叶えようとしただけじゃ」


アルトは、ああ…………と頷いた。


「確かに父上達の時代は『激動の時代』でした。十分に役目を果たされたと思います。ただ───」


シオンをチラッと見て先王を睨んだ。


「せめて子供である私達には知らせて欲しかった!我々だって母上が亡くなってどれだけ悲しんだか!わかっているでしょう!自分の幸せより民や国の為に全てを投げ売って政務に励み、ようやくゆっくりと過ごせると言う所で病に倒れた!どうして教えてくれなかったんですか!!!」


アルトは怒りながらも目に涙を浮かべていた。


「ごめんなさいねアルト。私が先王にお願いしたのです。それにすでに死んでしまった私が、また貴方の前に現れるのもはばかられたのです」


シオンは深く頭を下げた。


「ぐっ………」


アルトは深呼吸をして気持ちを落ち着かせると話した。


「母上は悪くありません。それよりまたお会いできて嬉しいです」


「ええ、私もよ。それにしても、いくら守護精霊アリエル様の事があっても、素直にこの姿の私を信じることができるのはアルトだけでしょう。娘のシーラではすぐには信じれなかったでしょうね。あの子は少し頭が固い所があるから」


アルトとシオンはきつく抱き締め合った。

声を殺して泣きむせるアルトをシオンは優しく慰めた。その慈愛に満ちた目で頭を撫でる姿は母親のそれであった。


それからシオンとアルトは雑談に入り、イージス男爵家に泊まっていく事になった。








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― 新着の感想 ―
[良い点] 遠回りしたけど、親子が再会できてよかった 他の家族にも伝えるかどうかは後で話し合わないとだけど、できるならもう一度会いたいよね
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