表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/117

思わぬ臨時収入

アルトの言葉に固まってしまう。

マズイわ!

どうしてバレたの!?


冷や汗を掻きながらどう言い訳しようか考えていると───


「なぜアルトがここにおるのじゃ?」


ちょうど散歩から帰ってきた父親である先王カイルがやってきた。


「おや?お久しぶりです父上。それより、この『女性』についてお聞きしたいのですが?」


!?


カイルは視線をシオンに向けると、シオンは必死に目をパチパチさせてアイコンタクトをした。先王は聞かれてはマズイ話があると感じてフォローした。


「うむ。ここで立ち話も何だ。イージス男爵殿、応接室で話しても良いかな?」


「は、はい!大丈夫です。どうぞ!」


シオンの父は屋敷の中へ案内した。

応接室へ入ったシオン達は向かい合う様に座り、しばらく無言が続いた。


「お、お茶をお持ちしました」


イージス男爵自らがお茶を持ってきてテーブルに置いた。


「ありがとう。でっ、そろそろご説明お願い致しますよ。父上」


真っ直ぐに先王を見詰めて言った。


「説明とはどういうことじゃ?そもそもお主はどういう理由でここにきたのじゃ?」


アルトはハッとしてカバンから書類を出して渡した。


「私がここにきた理由は3つあります。まず1つは、守護精霊アリエル様が顕現された教会の確認。2つ目は父上の様子を見てくる事。3つ目はイージス男爵に調査の結果をお伝えする事です」


1つ目と2つ目はわかるが、3つ目の調査とはいったい?

首を傾げるイージス男爵にアルトは言った。


「父上からお土産に頂いたこの領地で作られている地酒『精霊の水』が、不当に【転売】されていた問題についてです。イージス男爵が卸していたこの地酒が、ヴァーボンド伯爵家で中身を入れ替えられて金貨10枚で売られていました」


「「金貨10枚!?」」


シオンと父親はお互いに叫んだ。

お互いに顔を見合わせて、どういうこと?と目を開いていた。


「やはり知りませんでしたか。父上のお土産に飲ませて頂いた地酒がヴァーボンド伯爵が売り出している酒と同じ味でしたので調べました。お時間が掛かってしまい申し訳ございません」


アルトは頭を下げた。


「いえ、我々は全然気付いていなかったのです。不正を見つけて頂きありがとうございました!」


王弟殿下に頭を下げられ慌てるイージス男爵だった。


「それと、こちらをお持ちしました」


アルトは側近に目配りをすると、台車に載せた大きなトランクを10箱運んできた。


「これはいったい?」


アルトは1つトランクを開けて見せた。


「1つのトランクに金貨が200枚入っています。イージス男爵が本来受け取っていたはずの5年間分の売上です。どうぞお受け取り下さい」


!?


1つのトランクに金貨200枚と言うことは10箱で2000枚!?


余りの大金にイージス男爵が震えているとアルトは優しく言った。


「ヴァーボンド伯爵は先程、金貨10枚で販売しているとお伝えしましたが、流通量が少数でプレミアがついて金貨20枚以上で売れる事もザラでした。約5年前から販売していた分も含めると少ないでしょうが、これで許して頂けないでしょうか?」


イージス男爵はコクコクッと壊れた玩具の様に頷いた。


「それと、1つお願いがあります」


ピキッ!?

これほどの大金だ。どんな無茶なお願いをされるのか戦慄が走った。


「この地酒の生産量を最低3倍に上げて金貨1枚で卸して頂けないでしょうか?」


アルトの提案は予想外の言葉だった。







『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 仕事が早くて助かるなぁ、王弟が行動派なのはそれはそれで心配だけどw [気になる点] 10枚だの20枚だのは高過ぎるが一度価値が付いたものを安く少なくされては困るんだよね 流通量が増えて金貨…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ