やってきました！
誤字報告ありがとうございます！
あれから１ヶ月経ちました。
遂に先王カイル様が定住する為にやってきたのです。
「ようこそいらっしゃいました先王陛下」
イージス男爵家全員でお出迎えです。
「うむ、しばらく迷惑を掛けるがやっかいになる。それと紹介しよう。植物学者ではないが、植物などに詳しい専門家『ハンター』のゼファーじゃ」
「ゼファーと申します。お久しぶりですな！」
ゼファーの言葉に先王は首を傾げた。
「なんじゃ、御主達、顔見知りじゃったか？」
「申し訳ございません。前に何回か、ここを拠点に辺境にある珍しい薬草類を採取しに来た事があったのです」
「まさかSランク冒険者のゼファー殿が来られるとは思っていませんでした」
「はい、今回先王陛下にお声を掛けられて、是非にと志願してきました。上級薬草の栽培に尽力する所存です！」
お父様とゼファーはガシッと固く握手を交わした。
「それにしても、思ったより早く建ちそうじゃな」
すでに外壁が出来つつあった。
「それより、反対側も何か建てるのか？」
反対側はまだ基礎工事が終わったばかりである。
「えっ？聞いてないの？元教皇ワイズ殿の屋敷だよ？」
！？
「なんじゃと！？聞いておらぬぞ！」
先王は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「先王陛下は引越しの準備で、色々な引き継ぎをされておられましたからな。情報の行き違いがあったのでしょう」
いや、あやつの事じゃ、絶対ワザと情報が入らないようにしたじゃろう。
悪いヤツではないが、昔からイタズラ好きのヤツじゃったしのぅ～
イージス男爵は立ち話も何なのでと、屋敷へ迎え入れた。
そして───
「シオンよ。覚えておるかのぅ？ゼファーは信用できる男じゃ。悩んだがここに来る馬車の中で、お主の事を話した。ゼファーには上級薬草の栽培以外にも、お主の護衛もお願いしてある。何かあれば頼るとよい」
「正直、信じられない話ではありましたが、守護精霊アリエル様の話とシオン皇后陛下の話が私の中で繋がりました。でなければ先王陛下も辺境へ来る事も無かったでしょう。私は信じます」
ゼファーは病気のシオン皇后の為に珍しい薬草を採ってきた縁もあり、シオンも面識がありました。
「その節は私の為に、険しい所に咲く薬草を無理して採ってきて頂きありがとうございました。貴方のお陰で私は命を延ばす事が出来ました。本当に感謝しております」
ゼファーにはまだ5歳の少女の仕草が生前のシオン皇后陛下と重なって見えた。
「いえ、自分は自分の仕事をしたまでです。御礼を言われる事ではありません！」
ゼファーは慌てて頭を下げた。
「何を言うのですか、嬉しいと思ったら御礼を言うのは当たり前ですわ」
あ、これは間違いなくシオン皇后陛下様だとゼファーは思った。
「く、くはははは！間違いない！シオン皇后様だ！実は薬草栽培の件で王宮に呼ばれた時に、先王陛下からも同じ事を言われました。まったくよく似たご夫婦ですな！このゼファー！これから生涯を懸けて貴方がたに忠誠を尽くすと宣言致します！」
ゼファーは片膝を突いて騎士がやる忠誠の証を立てた。
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