表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/117

取り敢えずやってみる!

シオンはいくつかの実験を試みていた。


「お嬢様、これはどんな実験でしょうか?」


長年イージス男爵家に仕えているメイドの【リサ】が尋ねた。数少ない秘密を知る使用人である。


まずシオンが行ったのは、イージス男爵の自宅の側にある日当たりの良い土地を耕し、裏庭から運んだ上級薬草の新芽を植えてみた。


さらに、屋敷の壁で日陰になる場所にも植えてみた。


「これは、裏庭の薄暗い場所で増殖していたから、ジメジメした場所がいいのか、日当たりの良い場所がいいのかの実験よ」


「なるほど。でも同じ畑でも、列によって【植え方】も違いますね?」


シオンはニンマリして答えた。


「ええ、よく見てるわね♪深く掘った穴に埋めたり、浅く植えたり、土を盛って日が当たりにくくしたり、いくつかのパターンで植えてみたの。あっ、隣の畑には裏庭の森の【土】も混ぜたりしたわ」


シオンは観察ノートにしっかりと、それぞれの発育状況など記載しながら言った。


「大変なんですね」

「それはそうよ。誰もやった事のない初めての試みですもの」


マニュアルがないのですもの。1つ1つ、試していくしかないのよね。時間が掛かるけど。


「まぁ、まだ植えたばかりですし経過を見守るしかないわ」


そんな時、シオンを呼ぶ声が聞こえた。


「シオンお嬢様~、当主様がお呼びです!」


「はーい!今、伺いますわ~!」


なんだろう?と思い、屋敷に戻り書斎に行くと難しい顔をしたお父様がいました。


「ああ、きたかいシオン」

「失礼致します。お呼びと伺いましたが?」


お父様は机に有った手紙を渡してきました。


「これは………?」


手紙を見てすぐにピンッときた。見慣れた印蝋が押されていたからだ。そう、アガレス王家の印蝋が。


手紙を見ると、植物の専門家の派遣と一緒に先王カイルも移住してくるとの事だ。


はっ!?


「専門家はともかく、先王も移住してくるのですか!?」


時々、遊びにくるとは思っていたが、まさか移住してくるとは思っていなかった。


「そうなのだ。そこで問題になるのが住居だ。先王様が住まれる家を建てなければならない。移住が早いので、しばらくはこの屋敷の客室で泊まって頂くが、警備の問題もあるので、それなりの屋敷を建てなければならないだろう」


「なるほど。専門家の人や警備の騎士達は(何名かくるよね?)人がいなくなった空き家を手直しして住んで貰えばいいけど、流石に先王の住居は、新しく建てないとマズイですわね」


なになに?手紙には費用は王家が持つので、小さくていいので住める屋敷を建てて欲しいのと、場所は…………うちの隣!?


「そうなのだ。別に何かある訳ではないが、王族の方が隣に住むと言うのは………まぁ、色々と気を遣う事になるなぁ~」


さらに、しばらくはここに滞在する訳ですしね。


「まったくもうっ!今世では静かに過ごしたいと言ったのに!」


プンプンッと怒るシオンと裏腹に、お母様はウットリしていた。


「まぁまぁ♪なんてロマンチックなんでしょうね。死んだ愛する人が生まれ変わって生きているのですもの♪せめて側にいたいと思うのは仕方がないのでは?本当にシオンは先王陛下様に愛されているのですね」


ボンッ!


シオンは母親の言葉に真っ赤になった。


「あらあら♪お顔が真っ赤よ♪いいわね~お母様、こういう話を娘とするのが夢だったのよ♪」


年齢ではシオンの生前の方が上だったが、恋バナの好きなお母様には敵わないのでした。











『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] お母様には適わないなぁ まぁ色々とコネを使って便宜をはかってくれるようだしお父様には耐えてもらおうw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ