表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/117

それぞれの想い

様々な気持ちが交差する中で、アリエル様が声を掛けた。


『全ての者が幸せになる事は難しいものですね』


シオンはここにきて、初めてアリエルを見たが、アリエルの姿が幼くなっていた。


「そのお姿は………」


そう、今のアリエルの姿は幼女といってもよい姿だった。ハァハァ、幼女…………いいね!


ゾクッ


『な、何やら寒気がしましたが、まぁいいでしょう。この姿は力を消耗し過ぎたためです。しばらくすれば戻ります。まずは、古龍種フレイムの討伐に感謝致します』


その幼女の姿での口調に違和感があったが、アリエル様には感謝しかなかったのでスルーした。


「アリエル様、一つだけ宜しいでしょうか?どうしてカイルを若返りさせる事ができたのでしょうか?」


シオンは内心では、もっと早くやって貰えば全ての問題が解決したのに!と思っていた。


『それは私の力も万能ではないからです。基本的に【奇跡】を行うには信者の祈りの力が必要なのです。自然災害などの為なら、ある程度自由に扱えますが、一個人に奇跡の力を使うのには、本人が【死んだ】後しか使えないのです。故に今回は【裏技】を使ったのです』


裏技とな?


『元皇王カイルが死んだ後、黄泉がえりの奇跡を使った後に若返りさせました。フレイム討伐に重要な役目を行ってくれたので、個人の『善良ポイント』が溜まったのも嬉しい誤算でした』


どうやら、奇跡を受けるには生前で良いことをした行いが重要らしいのね。


『私が無理矢理、全力を使って奇跡を行えば、私自身が消滅していたかも知れません。しかし、カイルのこれまでの行いのおかげで、奇跡を与えるに充分に値すると認められた為、私の力を抑えることができました。正直、迷っていたのです。生前のシオンの善行に報いる為に生まれ変わらせたのに、不幸にさせては意味がありませんから』


アリエル様の言葉が心から嬉しかった。


『新たな(えにし)を繋ぎ幸せになる可能性もありました。しかし、私の想像以上にカイルとシオンの【絆】が強かったのですね。人の絆を考慮せず、すぐに生まれ変わらせてしまったシオンに謝ります』


アリエル様はシオンに頭を下げた。

しかしシオンは幼女になったアリエルを抱きしめて伝えた。


「アリエル様、私は感謝しかしておりません。生前、伝え切れなかった事をカイルに言えたこと。お互いに生前で言えなかった事を時間を掛けてゆっくりと話せた事。全てはアリエル様のおかげです!正直、カイルの事は覚悟しておりました。そして、いざその時を迎えると、悲しくて、辛くて、身が張り裂ける思いでした。…………でも!」


シオンはカイルの方を見ると微笑んだ。


「貴女が救ってくれました!アリエル様に最上級の感謝を!」


シオンは涙を流しながら、ありがとう。ありがとう。と繰り返し言った。


「アリエル様、ワシが若返ったと言うことはシオンと一緒の『時』を過ごしてもよいと言うことなのでしょうか?」


『フフフッ、その容姿でワシと言われるのは違和感がありますね。そうです。死が二人を違えても、想い続けた二人を引き裂くのはもうたくさんです。これからは、二人でのんびりと暮らして、天命を全うしてください』


カイルとシオンはお互いに向かい合うと抱きしめ合った。


「シオン、愛している。またワシ………私と人生を共にしてくれますか?」

「私もです。ずっと貴方の側に居させて下さい」


二人はひと目もはばからず涙を流しながら、幸せそうにこの奇跡に感謝した。









『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] すみません、下の案内の文面見て完結かと思ってしまった! 中身まで見ずに まだまだ明日も楽しみにしてますね(笑)
[良い点] いつも楽しく読んでます! 最後までどうなるかと思いましたけど、裏技があるとは思わなかった! 読んでた自分としては、別れなのか、生きたままもう少し話進んで過去とのケジメつけるのかなと思っ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ