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愛する人のために

トドメを刺すために、最後の一斉攻撃を仕掛けようとした時、突然フレイムの身体が蒸気を発して高温に上昇した。


「熱っ!?全隊、いったん引けーーーー!!!!!」


余りの高温に各部隊は100メートルほど距離を取った。


「これでは近づけない。攻城兵器と魔法攻撃でトドメを刺すぞ!準備を急げ!」


テキパキと指示を放つガープとルイン王子に、今まで姿を消していた守護精霊アリエルが現れた。


『お待ち下さい』


オオオッッ!!!!


多くの兵士達が、信仰する神様が現れ感嘆の声を上げた。


『まさか、私抜きでフレイムを倒せるほど成長していたとは…………人というのは素晴らしい成長をするものですね』


アリエルの言葉は続いた。


『兵を預かる者よ。今すぐ兵士達を撤退させない』


!?


アリエルの言葉にルイン王子は反論した。


「お待ち下さい!もうすぐ長年アリエル様が封印していたフレイムを倒せるのですよ?どうして……………」


アリエルはフレイムを指さした。


『フレイムは傷つき、最後の悪足掻きを起こしました。ブレスの熱量を体内に溜めて自爆しようとしています。ここら一帯が焦土と化すぐらいの威力があるでしょう。後は私が何とかします!早く撤退の指示を出して下さい!』



!?



アリエルの言葉にルインは呆然としたが、騎士団長のガープは瞬時に理解して、兵士に武器を捨てて逃げるよう指示を飛ばした。

アリエルの言葉は、遠くまで聞こえるようになっていたので、アリエルの言葉を兵士も聞いており、すぐに皆が逃げ出した。


少しして、シオン達とアリエルのみが残った。


『さぁ、シオンも逃げなさい』


シオンはアリエルに問いた。


「アリエル様はどうなるのですか?」


困った顔で言った。


『もてる力を使い、爆発を防ぐ積りです。全方位だと流石に無理ですが、シオンの街がある方だけ、結界を張り守るので早く逃げなさい』


長年一緒にいたシオンにはアリエルが嘘を言っているように感じた。


「大事な事を聞いておりません。アリエル様は【どうなる】のですか?」


アリエルは目を瞑り考えるように黙った。


「ただでさえ、力を使い弱っているアリエル様がそんな結界を張れば、生きていられるのかわからないのではありませんか?」


『…………それでも、私はシオンを守りたいのです』


!?


ルイン王子やイオンなどはアリエルが自分の身を犠牲にするつもりだという事に驚愕した。


「見ている限り、フレイムが爆発するまでもう少し時間があるでしょう?どうして最後まで足掻こうとしないのですか!私は!いえ、国中の民が貴女が居なくなる事を望んでいません!最後まで頑張ってこの窮地を乗り越えましょう!」


シオンの言葉に残ったみんなが頷いた。


「しかし、どうする?土魔法で地面に落とすか?」


魔法部隊が残っていれば可能だったが、今から呼ぶのも間に合わないだろう。


「悪い手でないけど……………」


シオンも必死で知恵を絞る。

そこにカイルが意見を述べた。


「アリエル様、文献を調べさせた所、龍種には力の源である【逆鱗】と言う1枚だけ向きの違う鱗があるとか。そこを攻撃してはどうでしょうか?多少でも威力が弱まるかも知れません」


カイルは隣国にもツテを使い、フレイムの事を調べさせていたのだ。


『確かにそれは効果があるかも知れません。確か場所は喉のもう少し下の所にあったはずです』


アリエルはしかし…………と、言葉を濁した。


『難しいかも知れません。この距離でさえ肌を焼く熱さを放つフレイムに近づき、喉の下にある小さな逆鱗を攻撃するなんて』


フレイムはどんどん高温になっている。いつ臨界点になるのかわからない状態だ。


「ワシが行こう。シオンに氷の魔法で壁を作って貰い、ワイズに結界魔法を張ってもらう。そして、アリエル様の水魔法でフレイムを冷やして貰えばなんとかなるかも知れん」


!?


「何を言っているの!?カイルは歩くだけでもやっとじゃない!そんな事をしたら死んじゃうわよ!」


「シオンもわかっておるじゃろう?ワシに残された時間は少ない。なら、最後に愛する者の為に使いたいのじゃ」


カイルの決意は堅く、盟友であるワイズも涙を流しながら同意するのだった。











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