国内の状況と友達
イオン皇女は報告があると言って手紙を渡した。
「シオンには口頭でもお伝えします。学園はこの長期休暇が終わる以降、休校になる事が決まりました。イージス領は遠いので、私が報告も兼ねて来たしだいです」
「休校！？」
驚くシオンにイオンは冷静に言った。
「はい。この国の一大事に授業をしている場合ではないと言う事と、一部の貴族の後継者達を留学と言う名目で、国外へ逃がす手筈になっています。国が万が一滅んでも、血脈を絶やさない為です」
元々、学園に入る前にほとんどの貴族は家庭教師を雇い。
なるほど。あれ？そしたらイオン達は？
シオンの視線に気付いたのかイオンが続けた。
「私達皇族は大丈夫です。シーラ公爵夫人の御子様が、国外へ留学しておりますし、隣国へ嫁いで行った皇女の子孫が多くいますので」
まぁ！そうでしたわね。
「お兄様はまた後日やってきます。私は戦えませんが、兵士達のまとめ役として先に来たのです」
確かに、皇女様が危険な場所に来ていれば、民や兵士も見捨てられていないと安心するし、兵士達も気を引き締めるでしょう。
「しかし、本当に危険なんですよ？」
「シオン！フレイムが復活したら国内の何処に居ても危険ですわ。それなら皇族として、戦え無くとも怪我人の手当など、私個人でできる事をやるだけです！」
へぇ、皇族としての自覚が芽生えているのね。
それなら良い方法があるわ♪
「イオン様には良い方法がありますわ！」
「はい？」
名案を思い付いたと、急に立ち上がって叫んだ！
「イオン様にはピアノ演奏をして頂きます！美しいピアノの音色で、人々の不安を掻き消して、やる気を引き出して貰います！」
「まぁ！それは名案ですわ♪」
スピカとサーシャも賛同した。
「頑張って下さい」
スピカの言葉にシオンは、ニヤリッと意地悪い笑顔をした。
「何を言っているんですか？スピカ様もやるんですよ？」
「えっ？」
キョトンとするスピカにシオンは指を指した。
「聞いていますわ！様々な習い事をしていると。ヴァイオリンの腕はなかなかの腕だと聞いております。ピアノとヴァイオリンは相性が良いですし、みんな喜びますわ♪」
スピカは慌てた。
天才ピアニストと、嗜む程度の腕では恥をかくと思ったからだ。
「いやいやいや！私程度の腕では……………」
「スピカ様、ある程度の腕があれば、後は気持ちの問題です。二人がお互いに合わせられる程度の技量があれば、皆様楽しんでくれますよ。ぜひ、民や兵士の為にお願い致します」
シオンはダメ押しで、深く頭を下げた。
「ううぅぅぅ、わかりましたわ」
スピカは折れるのだった。
イオンとスピカは隣にあるカイル元皇王の屋敷に滞在する事になった。サーシャは近くに自分の別荘を前に建てた為にそこで暮らすそうだ。
「イオン、カイル…………様の体調が思わしくないの。十分に気をやって下さい。それとカイル様にもイオンの素晴らしい演奏を聞かせて欲しいの」
「まぁ！お爺様が！？わかりましたわ！」
カイルもお孫さん相手なら少しは気を緩めるでしょう。シオンはフレイムの事よりカイルの事が気になるのだった。
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