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準備期間

シオンは泣いていた。

とても泣いていた。


それはカイルが死んだ事でも、アリエルが結界の強化の為に姿を消した事でも…………なかった!



「わ~た~し~の~温~~~泉~~~~」


シクシク………


少し説明しよう。

あの会議の後、アリエルは神経を集中して、少し回復した神力を封印の強化に使った。


その結果、温泉がヌルくなってしまったのだ。

そもそもこの辺りの温泉は、守護精霊アリエルが地下水脈を引き上げ、フレイムの封印に使った事で、温められて温泉になったのである。


かつてアリエルがフレイムからダシを取っていると言っていたのは比喩ではなく本当の事であったのだ。フレイムの魔力など滲み出た温泉は、様々な効能が備わっているのも付加価値が出るのだった。


このままではイージス領の観光資源もダメになってしまうかも知れない!



───と、大好きな温泉がダメになった事でシオンは悲しんでいるのだった。


「こらっ!温泉よりもフレイムの対策が重要だ!それに、ヌルくなったとはいえ、湯を冷ます為の『湯もみ』などを止めれば十分に入れるから」


な、なんだと!?


キランッ!とシオンの目が輝いた!


「それは僥倖ですわ!逆に言えば温泉がまた熱くなってくれば封印が弱まったと言うことですわね」


地震以外にも封印の状態を知れるのはありがたいですわ。ペルセウスは頭を抱えた。


「どうしていつもはそこまで頭が廻るのに、温泉の事になるとポンコツになるんだ?」


深いため息を吐いてペルセウスはシオンを呼んだ。


「シオンの友達が来ているぞ。早く行ってあげなさい」

「えっ?誰だろう???」


シオンは言われた通りに応接室に向かった。


今のイージス領は危険な場所である。一部の民も隣の領地へ避難している状態で、やってくるのは兵士か、その兵士を目当てにやってくる商人くらいである。


扉を開けると抱き着いてくる者がいた。


「わっ!?」

「シオン様!大丈夫ですか?泣いておられると伺いましたが?」


抱き着いてきたのはサーシャだった。


「もう大丈夫よ。それよりみんなも来てくれたのね。ありがとう」


部屋には、イオンとスピカもいた。


「わ、私は別に来たくなかったもですが、ライバルである者が、窮地に立たされていると聞いて様子を見にきただけですわ!」


相変わらずのツンデレさんだなぁ~

シオンは生暖い目で見守るのでした。


「って、そうじゃなくて、イージス領は危険なの!フレイム以外にも、地震も起こるし、温泉はヌルくなるし大変なのよ!早く帰った方がいいわ!」


シオンの言葉にイオンは首を振った。


「シオン、だからこそですわ!大切な友人が困っているのですもの!助けに来るのは当然です!」

「私もです!アリエル様の為に!アリエル様の愛し子のシオンの為に!ついでに国の為に、微力ながら力になりますわ!」


サーシャさん、国がついでってブレないですね…………


シオンはスピカを見るとスピカは照れくさそうに横を向いた。シオンは温かい気持ちになり、また頭を下げるのだった。







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