里帰り（お詫び）
【お詫び】
軽い熱中症になり仕事中に倒れてしまい、病院で点滴を打つハメになりました。体調は回復したのですが、しばらく早めに休んで体調を整えるので一週間ほど更新を止めます。
皆様も体調管理には気を付けて下さい。
兄のペルセウスと一緒に馬車で帰る途中で、シオンは窓の外を見ていた。
「シオン、父上達が心配かい？」
ペルセウスの問い掛けにシオンはようやく外を見るのを止めて答えた。
「はい。小さな地震も多発しているとも聞きました。建物の倒壊がないか見ていたのです」
まだイージス領ではないが近隣の領地にも被害が出ている。シオンは民の生活が大丈夫なのか心配していたのだ。
「シオンは優しいね。でも、今はイージス領のみんなを信じて待つしかないよ」
シオンはそうですねと答えてまた窓の外を見ていた。
何日も掛けて生まれ故郷のイージス領に辿り着いた。
そのまま家に行くとシオンの両親が出迎えてくれた。
「お帰りなさい！ペルセウスにシオン！まぁまぁ、二人とも成長したわね♪」
ほんわかお母様は、変わっていませんでした。いつまで経ってもお母様には敵いませんね。
「ペルセウス！成長したな。背が伸びて大人の顔つきになってきたな！」
「身長以外も成長できました！」
男性陣も再会の喜びに抱き合っていた。
シオンはカイルがいないかキョロキョロした。
「シオン、カイル様は屋敷で待っているわ」
そんなシオンを見てお母様が屋敷へ入ってと手を引いた。屋敷に入り、いつも集まる部屋に入るとカイルがソファーに座って待っていた。
「カイル……………」
「おおっ、久しいのシオン。また綺麗になったのぅ？」
前は持っていなかった『杖』を持っていた。
カイル元皇王は口調こそ元気そうだったが、この数ヶ月で痩せ細っていたのはすぐにわかった。
「大丈夫………なの？」
シオンは震える声で尋ねた。
「心配には及ばん。シオンの花嫁姿を見るまでは死なんよ」
ガバッとシオンは耐え切れずカイルに抱きついた。
「やっぱり無理よ！カイルごめんなさい！私が死んだ時はカイルもこんな気持ちだったんだね。もう離れたくないよ…………」
「シオン…………寂しくはあるが仕方がない事じゃ。アリエル様に感謝こそあれ後悔はない。シオンとまた一緒にのんびりと過ごせた時間はワシにとっても金銀財宝より尊いものじゃった。なーに、まだまだ時間は残されておる。最後までシオンを見守っておるからのぅ」
シオンは泣きじゃくりながらカイルの胸で泣いた。
「まったく、シオンはいつまでも泣き虫ね～」
隣にお母様も座り、シオンの頭を優しく撫でた。
ペルセウスも内心で驚いていた。
『まさかここまで体調を悪くされていたなんて』
ペルセウスの薬草の師匠からカイル様の体調について手紙で知っていたが、予想以上に具合が悪そうに見えた。
シオンが泣き止むまで家族は静かに見守るのだった。
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