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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
激動編 変革する世界 そして……来たりしモノ
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真人の休日

 いつもは国産の1800ccクルーザーが愛車なんだが今日は400ccのネイキッドタイプのバイクだ。年式は最新だが高校時代に全国の暴走族や不良グループを血祭りに上げてきた相棒と同型のマシン。あいつ等とツーリングをするならこれしか無いだろう、みんなこれに乗っている俺を見たら懐かしがるだろうな。


 秘密基地のある埋立地から海岸の国道をひた走る、天気が良いので富士山が綺麗に見える。S県からK県に入り待ち合わせ場所である有名な観光地に隣接する道の駅にたどり着く、バイクを駐車場に停めてヘルメットを取ると背後から大声で俺を呼ぶ男の声が聞こえた。


「死神ぃぃぃ! こっちだ こっち! もうみんな集まって……ゴブッ!?」


 俺の前蹴りが男の腹にめり込む。ちゃんと吐かない程度に手加減しているんだが、相変わらず大袈裟な奴だな。


「俺をその名で呼ぶなと何度言ったら覚えるんだ? 名物教師としてテレビやネットで有名になったらしいが、頭の程度はあの頃とたいして変わって無いんじゃないのか? なあ伊達!」


「アハハハ、真人君はその呼び名嫌いだったからなぁ、それにしてもあれから十年以上経っているのに伊達との掛け合いは健在だねぇ」


 俺が伊達にヤキを入れていると、派手なサングラスをかけている太った男が笑いながら近づいて来るが……こいつ誰だ? 男がサングラスを外すと特徴的なタレ目と泣きぼくろが現れる。


「もしかして……トライアローズの毛利か?」


 毛利が頷いた瞬間、俺は思わず吹き出してそのまま大笑いをしてしまった。


「ハハハハハハ! 俺を笑い死にさせるつもりか? パツパツの革ジャンに食い込みまくったパンツ! Tシャツがピチピチで完全に腹が出てるじゃないか! オッサンのヘソ出しなんかどこに需要があるんだよ!?」


「せっかくだから当時のスタイルにしたんだけど、ちょっと太り過ぎちまって……無理やり着たらこんな感じになっちまった……」


「笑えるだろ? みんないいおっさんで、そこそこの地位についてんのに今日だけはあん時の気持ちを懐かしんでるのかテンションがおかしくなってるんだ。お前だってわざわざ昔の愛車に当時のペインティングしてるじゃねえか死神博士……うげぇぇぇ!」


 伊達を足払いで倒して腹を思い切り踏みつけてやる。本当に学習能力の無い奴だな、こんな奴に教師が務まるのか?


「ホンマに相変わらずの迷コンビやなぁ、お前等のやり取り見とったら十何年かぶ逢うたって思われへんわ……俺の全国制覇の野望を無残に叩き潰されたんも今になったらええ思い出やな」


 サウザンドゴーディングの羽柴か……こいつはそのまま歳をとった感じだからすぐにわかった、相変わらずのサル顔だ。


「羽柴か……親父の基盤を受け継いで代議士になっているみたいだが政治スキャンダルが飛びかっているこのご時勢にこんな所で遊んでいてもいいのか?」


「こんな時やから英気を養うんや! 今の状態やったら言うてる間に解散総選挙になるからなあ、ライバル候補は政治スキャンダルで瀕死やから俺はほぼ確実に当選するやろう。問題はその後や! 大幅な政界再編にどう立ち回るか、与野党共に解体になるんは目に見えとるからなあ」


 こいつは多少の策略を謀る男ではあるが政治家としては、かなりマシなほうだ。ゆかり叔母さんの新党が与党になることは間違い無いが、叔母さんと秀人はクリーンすぎるからこういった汚れ仕事も出来る人間は戦力になるだろう。


「ゆかり叔母さんが新党を結成するみたいなんだが、良かったらお前もそこに加わらないか? その気があるんだったら話は通しといてやるぞ」


「ホンマでっか!? 大川防衛大臣が新党を結成するんやったら与党か悪くても野党第一党、真人さんよろしゅうお願いします!」


 そんなやりとりをしていると、いつの間にか今日の参加メンバー全員が俺の周りを囲んでいた。モノアイドラゴンズの伊達、ミリオンストーンの前田、シックスコインズの真田、ピットバイパーの斎藤、ウォーゴッド上杉、FRKZの武田、サウザンドゴーディングの羽柴、トライアローズの毛利の8人。みんな真っ当な社会人として活躍してるというのによくこれだけ集まったもんだ。


「参加希望者はもっといたんだけど何人かは予定が合わなくてな、今日はツーリングを楽しんでヤンチャやってたあの頃の話でもしてパーってやろうぜ!」


「鬼の交機の真田様の前でスピード違反なんかするんじゃねえぞ!」


「えっ! 今日はそんな硬いことは抜きだろ……って言うか管轄が違うだろうが!」


 ここに集まった奴らは十代の頃、ケンカと走りで全国制覇とか頭の悪い事を本気で考えていた馬鹿ばかりだ。羽柴は代々続いた議員一族で俺と境遇が似ているからグレる気持ちが分からんでもないが、あとは純粋な馬鹿の集まりだ。


「真人さん、俺らをシメたあとはアフターケアまでしてくれはったからなあ。俺は家に戻って缶詰めで勉強させられたんやけど、他のもんはみんな勉強見たってんやろ?」


「まあ、きっかけは伊達の馬鹿が俺の友人の彼女に手を出した事なんだがな……それからは何だか知らないうちに馬鹿どもの抗争に巻き込まれて伝説のヤンキーやら死神博士やら……元はと言えば伊達! 全部てめえのせいじゃねえか!」


 伊達のケツに思いっきり蹴りを入れてやると、涙目で反論をしてくる。


「うちのチームを一人で全滅させた白衣の悪魔の事は今でも夢に見るくらいのトラウマだ……血塗れの白衣で俺を踏みつけて高笑いする姿はまさに死神博士……いてえ!」


「あの時は科学部の部活の真っ最中だったんだ! 思い出したら腹が立ってきた!」


 俺と伊達のやり取りを見て他のみんなは馬鹿笑いをしていた。その後は快適なツーリングを楽しみ昼は湖畔のグランピング施設でバーベキューだ。


 俺以外は今日参加できなかったメンバーを含めて全員が既婚者で子供もいると言う。よく考えたらもう三十代も半ばだからな、当然と言えば当然の話か。


「それにしても真人君は若いなぁ、二十代前半に見えるよ」


「イケメンだからモテるだろう? 飛ぶ鳥を落とす勢いの銀河バイオグループの幹部なんだしな」


「議員は弟君が継ぐんやったらホンマに自由の身やなあ、結婚で縛られんのが嫌なクチかあ?」


 昔は実験のつもりで女性と付き合った事もあるし、肉体関係を持った相手も少なからずいる。だが博士号を取って研究に明け暮れるようになってからは女に興味は無くなった……なんで今日子の顔を思い出したんだ? あいつはただの信頼できるパートナーだろ。


「その顔……狙っている女がいるのか?」


「いや! 俺は研究が恋人だ! 女に使うエネルギーなど無い!」


「怪しいな」


 馬鹿話をしていると日が落ち始めて来た。同窓会のようなツーリングがお開きになると俺はK県のY市に、もう一人の知り合いに会うためバイクを走らせる。予約しているフランス料理店はドレスコードがあるので予約していたホテルにチェックインしてシャワーで汗を流してからスーツに着替える。


 タクシーで駅まで迎えに行くと予め送っておいたドレスを着た若い女性が待っていた。


「お久しぶりです真人さん、留学費を援助していただいた上にお祝いをしていただけるなんて……しかもこんなドレスまで」


「いや、援助はあくまでも俺がしたいからしていることだから気を使わなくてもいい。ドレスはプレゼントだ、海外の大学だとパーティーの参加は必須だからな」


「でも私と真人さんは血縁でも無いのにこんなに良くしてもらって……」


「今の俺があるのは君の父である篠原教授がいるからだ、あと俺には敬語を使う必要は無い。そう言えば葵ちゃん、自分の事を僕って言うのはやめたんだな」


「一応戸籍上は女性だからね、身体はアレなんだけど少しは女性らしくしないと」


「えっ? 何だか女らしくなったから、てっきり取ったものだと……」


「ちゃんと両方あるよ、真人さんがありのままの自分で生きて良いって言ってくれたんじゃない」


 篠原 葵、彼女は俺の恩師である篠原教授の娘だ。


 篠原教授は母さんの死と馬鹿どもとの抗争で荒れていた俺にバイオテクノロジーと遺伝子工学の素晴らしさを教えてくれた恩人だ、ギャラクティカダークに出会うことが出来たのも彼のおかげだと言ってもよいだろう。


 教授は人類の進化に関する研究の権威で、優秀だが正真正銘のマッドサイエンテイストだった。自分の娘をデザイナーズベイビーとして遺伝情報を操作し心身共に強化したついでにふたなりにしたド変態でもある。


 ロシアに招かれて研究をしていたが、細胞に入り込み進化を促すウイルスの実験中にバイオハザードが起こり周辺住民が理性を失い暴徒化。数千人が犠牲になり軍にも絶大な被害を出した為に死刑となった。


「えっと……その身体だと色々と支障があったりしないか?」


「ちゃんと恋人もいるから大丈夫、みんな女の子だけどね」


「そうか、まあ性癖やその辺の事に関しては個人の問題だからな」


「フフフッ、女の子の方の初めては真人さんのために取ってあるよ」


「そういった冗談は好きじゃない」


「冗談じゃ無いんだけどなぁ……」


 その後も身内として話をしていると葵ちゃんが何気無しに呟く。


「そう言えばキョウちゃんどうしてるかな……」


 キョウちゃんとは篠原教授の手掛けたデザイナーズベイビーだ。その特殊な出生のために精神を病み、葵ちゃんと共に児童精神科に入院していた。葵ちゃんよりも先に退院したが連絡先を告げずに別れてしまい、その後は音信不通だ。


「そうだなぁ、中性的な顔立ちでIT関係が得意だったからイケメンのシステムエンジニアにでもなってるんじゃないか? そう言えばキョウちゃんって呼んでたけど本名を聞いていなかったな、キョウヘイとかキョウスケかな?」


「あっ! 自傷行為で髪を切り刻んでいたからあんな感じだったけど、キョウちゃんは女の子だよ……ちゃんとした」


 ちゃんとした、のところが引っかかるが篠原教授だしなあ……女の子だったのか、男扱いしていたから悪かったなぁ。


「あっ、それでキョウちゃんの名前はね……」


 葵ちゃんが教えてくれたキョウちゃんのフルネームは……。

後半の話は三十話、僕の居場所参照です(かなり前だからなあ)

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