表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
激動編 変革する世界 そして……来たりしモノ
94/220

今日子さんと阿久兄妹 その一

秀人くんチョイ役のつもりだったけど気に入ったので準レギュラーになりました。

「ヤッホー! みなの者、出迎えご苦労! ご褒美にお姉さんがご飯を奢ってあげよう」


 新幹線から颯爽と降りて来た今日子さんは陽気に手を振ってそう言うけれど、胃が痛くてとてもそんな気になれない。いつもならご飯を奢ってもらえる事に大喜びするヒバリちゃんも顔面蒼白で食欲が無いように見える。


「でも、なんで新幹線で来たんですか? 基地直結のプラレールを使えばすぐに着くのに」


 ギャラクティカダーク本部秘密基地と東京の埋立地をつなぐプラレール|(デザインがそっくりなので名前がそのまま定着した)を使えば十分で来れるのになんでわざわざ新幹線なんだろう?


「プラレールを使ったら真人さんにバレちゃうからね! 今日はみんなに内緒でコッソリ来たんだよ、真人さんのブラコンシスターにぜひとも会いたくてね!」


『もしかして、みんなに黙って勝手に来ちゃったんですかぁぁぁ!』


 私達三人の声が綺麗にシンクロする、昨日真人博士に阿久先生の件を報告すると「対策を考えるからその件はしばらく保留だ」の返事とヒバリちゃんには極刑に等しい、しばらくの間本部でのオヤツ無しの沙汰が下された。


 それから数分後、今日子さんから連絡があって阿久先生と直接会うから都合の良い日を聞いておくように言われたんだけど、まさか彼女の独断だとは思っていなかった……どうしよう、これって私達も共犯になるんじゃ……。


「あっ! 後で怒られるって心配ならいらないからね、ちゃんと真人さんには僕の独断で無理に頼んだって事後に連絡入るようになっているから大丈夫だよ」


『事前に言ってはくれないんですか!?』


 私達三人今日は良くハモるなあ。今日子さんは微妙な笑みを浮かべながら頬っぺをポリポリと掻きながら言う。


「えっと……真人さんがOK出すと思う?」


「でも真人博士の直通回線で報告したら保留って言われて……それからしばらくして、今日子さんが先生と会うって言うからてっきり話が通じてるんだと思ってたのに」


「秘密基地に入る情報は電脳人間で僕に伝わるから、どんなに工夫を凝らしても僕の監視を掻い潜ることは出来ないよ」


 もう何も言えない……私達にお咎めが無いんだったら後は野となれ山となれだ。今日子さんと阿久先生のやりとりを見物させてもらおう。


 今日子さんと丸の内口から外に出ると一台の国産高級車が迎えに来ていた。背の高い爽やかな雰囲気の男性が会釈をすると今日子さんが元気に話しかける。


「ヒデちゃん出迎えご苦労! 選挙準備で忙しいのにごめんねぇ!」


「今日子さん、し〜っ! その事はまだまだ秘密なんですから!」


 ヒデちゃんと呼ばれた男性が今日子さんの口をふさぐと私達の方を見て「この娘達は?」と聞く。


「ああ、右からヒバリちゃん、ハルちゃん、ウリアーナ。ブラコンシスターの教え子でギャラクティカダークの構成員だよ」


 今日子さんが小声で男性にそう言うと、くるりと振り返って今度は私達に男性を紹介する。


「この人は真人さんの弟でブラコンシスターの兄さんのヒデちゃんこと阿久 秀人さんだよ」


「初めまして私、瀬戸内 晴美と申します。阿久博士の弟さんだったんですね、お兄様と阿久先生にはいつもお世話になっております」


 ヒバリちゃんとウリアーナが簡単に自己紹介をすると秀人さんは私に話しかけてきた。


「えっと……君たちは妹の教え子でギャラクティカダークの構成員なんだよね。この中では君が一番話が分かりそうだからちょっと質問をしたいんだけど、いいかな?」


「はい、なんでも聞いてください」


「三日前に今日子さんから連絡があってね。沙羅と話がしたいから極秘の話ができる場所を提供して欲しいと言われたんでセッティングして沙羅を先に連れて行ったんだけど……平常心の今日子さんに比べて沙羅の様子がまるで殺し合いに行くような感じなんだけど何があったのか知らないか?」


 私は進路希望調査の時の出来事を包み隠さずに秀人さんに話した。最初は真剣な表情で聞いていた秀人さんだったが、険しい表情を何度かした後はだんだんと表情が柔らかくなり、話が終わる頃には少し笑っていた。


「なるほどな……まあアクシデントがあったとはいえ面白い事になりそうだ。瀬戸内さんと言ったね、今日子さんと沙羅がやり合っている間少し話をしないか」


 今日子さんと先生の件では鼻の奥が痛んでいないから秀人さんと話をしていても平気だと思う。つまりこの一件には危険が伴わないということだ、まあ少しややこしい事にはなりそうだけど。


 秀人さんが運転する高級国産車は閑静な住宅地を抜けて一軒の西洋館に到着する、どうやら隠れ家レストランのようだ。支配人に案内されて個室に入ると正面の席に近付き難いオーラを放つ阿久先生が座っている。


「こんにちわぁぁぁ!  初めましてぇぇぇぇ! 僕は真人さんの同僚でシステムエンジニアの木濃 今日子だよ!」


 今日子さんが大きな声で挨拶をする、木濃(きのう)? あっそうか今日子さんって戸籍上は死んだ事になっているから偽名を使っているんだった。偽名、もうチョット考えた方が良かったんじゃないかなぁ、全くやる気が感じられない。


「初めまして、阿久 真人の妹の沙羅です。唐突で申し訳ありませんが兄とはどういったご関係なんですか? 私の教え子達に聞いたところ、兄があなたの事を最も信頼出来るパートナーだと言っていると……それは本当の事ですか!」


「銀河バイオ関連のシステムはほとんど僕がやっているからね、真人さんは僕の技術を信頼してくれているんだよ」


「あっ! なぁんだ、お仕事のパートナーとしてだったんですか! 私はてっきり……」


 今日子さんが無難なラインで押さえてくれそうな雰囲気なので少し安心しかけたその時、私の平穏は彼女の次の言葉で破壊されてしまった。


「でも真人さんにとっては仲の良い仕事仲間かもしれないけど……僕は真人さんの事が大好きなんだよ」


 凍りつく時間の中、今日子さんは仁王立ちで阿久先生を睨み、私達三人は抱き合って震え、秀人さんは面白そうに声を出さずに笑っていた。


「昨日今日出会ったばかりのあなたに兄さんの何が分かるっていうの? 兄さんは天才なのよ! 普通の人間とは違うの! 天才である故の孤独をもっているのよ! 兄さんの事を理解出来るのは! 兄さんを本当に愛する事が出来るのはこの世でこの私だけなの!」


「それで?」


 感情を爆発させる阿久先生に対して、今日子さんはいつも陽気な表情を消して冷たく言い放つと阿久先生にむかってゆっくりと歩いて行き、向かいの席にドカッと座り睨み合いを始めた。


「じゃあ僕たちは席を外すから2人でやり合っていてね。さあみんな、隣にもう一部屋用意してあるからそこでティータイムにしようか」


 秀人さんが軽く言いいながら私達に退出をうながす、部屋を出るときに支配人に注文をする事を忘れない。


「アフタヌーンティーを人数分頼むよ」

 

 隣の部屋に入ると秀人さんはスマホを取り出してどこかにメッセージを送っている。隣の部屋からの声が聞こえないのは防音がしっかりしているからだろう、部屋を出る時に二人が戦いの火蓋を切って言い合いを始めたのは間違いないからだ。


「さて、瀬戸内さんちょっと話を聞きたいんだけどいいかな?」


 秀人さんは次の衆院選挙で間違いなく当選していつかは総理になる人間だ、おそらくギャラクティカダークの事について根掘り葉掘り聞くつもりなんだろう。私は気を引き締めて返事をする。


「はい、可能な範囲で答えさせていただきます」


「ギャラクティカダーク内での兄さんと今日子さんの様子を聞かせてもらいたいんだけど……」


 緊張の糸がプッツリと切れてすごく間抜けな顔をしてたんだろうな、秀人さんが半笑いで私に言う。


「ああ、もしかして組織の事を聞かれると思った? それに関しては深入りする気が無いから。そんな事よりもあの二人の関係の方が気になるんだよね」


 ウエイトレスさんがアフタヌーンティーとモニターの用意をしてくれている。今日子さんと阿久先生のバトルをライブ中継で見ながらお茶をするというシュールな状況だが不思議と空気は和やかだ。ヒバリちゃんも調子を取り戻したようで私のスコーンを横取りしている。


 モニターでは二人の女性が真人さんを巡って口論を繰り広げていた。


「昨日今日出会ったって言うけど僕と真人さんは運命共同体として二人三脚で頑張っているんだ! 血縁だからって言うだけで特別だと思わないでよ!」


「兄さんは孤独な天才なの! 内に秘めた孤独を知っているのは! 本当に兄さんを理解……」


「真人さんがいつまでも孤独な天才だと思うな! ギャラ……いや、銀河バイオのみんなは真人さんの能力と人格を認めているんだ! 昔の真人さんしか知らないブラコンこそ思い上がってるんじゃないか!?」


「なんですってぇぇぇぇ!?」


 モニターを眺めて秀人さんは声を出して笑っていた、そして大きく息を吐いて紅茶を一口飲むと私に言う。


「じゃあ、そろそろ今日子さんと兄さんの関係を詳しく聞かせてくれない?」

長くなったので続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ