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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
激動編 変革する世界 そして……来たりしモノ
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波乱の予感

なんだか久しぶりの主人公

 今日子から報告があった若い男の声……間違いなく「アイツ」だろうな。今のところあの声を聞いた事があるのは俺と今日子の二人だけだ。


 ギャラクティカダークのブラックボックスに存在するソウルコア……かつて生きていた誰かの物なのか、ゼロのように生態ユニットから発生した物なのか、人工的に合成された物なのかは分からない。


 現時点で分かっていることは「アイツ」はソウルコアを通して俺と今日子メッセージを送っているが、今のところは俺達に直接干渉するつもりがない事。イーマ様の祖先であるマクシマスとその仲間にハーキュリオスと名乗る老人と共に文明を伝えた事、そして俺と今日子の事をハーリーとトモと呼ぶ事くらいだな。


 ハーリーがハーキュリオスの愛称である事は間違いないだろう。そう言えば以前ゴッグ船長がギャラクティカダーク号は俺と今日子に会うために地球に来たような気がすると言っていた、船乗りの勘だとは言っていたが気になるな……。


 気になる事はもう一つある、ギャラクティカダークのメンバー全員のソウルコアエネルギーが上がり続けていることだ。ツバメとツグミはおそらくレベル3の改造に耐えられるだろう、他のメンバーも直感力や集中力が飛躍的に向上している。


 そして先日、清志が工学系のブラックボックスの一つを解放した。超合金とエネルギー増幅装置についてのオーバーテクノロジーを手に入れた清志は今、設計図の図面を引く事に熱中している。この技術があれば念願の宇宙戦艦と巨大ロボを作ることが出来ると、視界が赤色化するまで作業に没頭する毎日だ。


 しかし分野はそれぞれ違うが一番オーバーテクノロジーの深層に迫っているのは今日子だろう。電脳人間を使い五感でコンピュータにアクセス、プログラミングを直接脳で操作する事でメインコンピュータとメモリーを完全に掌握している。


 もしかしてソウルコアの真実に迫る俺と、メインコンピュータを自分の一部にしつつある今日子だから「アイツ」の声が聞こえるのか?


 最近は自身のソウルコアエネルギーをコントロールする事が出来るようになってきた。バイオスキャナーの強化だけでなく今日子ほどでは無いがメインコンピュータとのリンクが密になりメモリーの掌握も出来る。


 身体能力と感覚の強化もある程度なら出来るし、他人のソウルコアの大きさと質を把握することも可能だ。俺達ギャラクティカダークのメンバーは中枢神経の強化をしてから日夜進化をし続けている。


 しかしなぜ「アイツ」は俺の事をハーリー呼ぶんだ? どうせ聞いても答えてはくれないだろうがな。


 今は銀河バイオの商品と清志に提供する生態部品、メインコンピュータの生態ユニットの保全の他はノルマも無いから思う存分ソウルコアの研究が出来る。この研究は俺のライフワークだからな……クラヴィーア人の救出と生活の基盤が出来た今、平和な内に少しでも前に進めたい。


 今日も視界が赤色化するまでソウルコアの研究を行った。ソウルコアエネルギーの増加にともない限界時間が早くなって来ている事が気になるんだが作業効率が良くなっているので成果は上がっている。


 みんな同じくらい自分の仕事や研究に没頭しているんだろうな、俺と今日子と清志が食堂に集まるのはいつも同じタイミングだ。必然的に三人で話しをしながら食事をする、他のメンバーが一緒になることも多いが今ではそんな時間も楽しく感じる。


 三人でモツ鍋をつついて、しめのラーメンとデザートの柚子シャーベトを食べ終わると今日子が清志に質問をする。


「ねえねえキヨピー、宇宙戦艦と巨大ロボの開発は捗ってる?」


「基本設計は出来ているぞ! デザインや運用方法、武装も考えないといけないな」


「宇宙戦艦はみんなで搭乗するから良いとして、ロボのパイロットも決めないといけないね」


 今日子がオタクならではの提案をするが戦闘用のロボは常に最前線で運用するために搭乗者は常に死の危険と隣り合わせになる。飛龍零の場合は幸四郎さんが根っからの戦闘機パイロットであり戦場が彼の生きる場所だから良いのだが……


「AI搭載の自立式か遠隔操縦じゃ駄目なのか?」


 俺の提案を聞いて清志が勢いよく立ち上がると、熱苦しくその思いを語り出した。


「真人! 仲間を危険な目に合わせたくないというお前の気持ちはよく分かる! しかぁぁぁしっ! ロボには搭乗者の熱い魂が必要なのだ! 強大な敵に立ち向かい、絶望的な状況を打開する為には魂の無いAIや遠隔操縦では荷が重い! パイロット無くして巨大ロボの活躍は無い!」


 強大な敵に立ち向かったり絶望的な状況に遭遇することなどは無いと思うんだが……モチベーションの問題もあるな。それにソウルコアエネルギーがマシンに与える影響のデータも取れる。小型の物ならばビューティーサニーのデータがあるが巨大ロボのケースも欲しいところだ。それならば……。


「ビューティーサニーのようにハルのソウルポゼッションで運用するのはどうだ? 意思による直接コントロールの方が操縦系の簡略化になるしソウルコアエネルギーを用いれば清志の言うように精神力を性能に上乗せする事も可能だ」


「じゃあさあ、思い切ってビューティサニーをフュージョンさせちゃうのはどうかな? ハルちゃんからサニー、サニーから高機動ロボに合身して最終的に巨大ロボ!」


 今日子の思いつきに清志はテンションを急上昇させる。


「それだぁぁぁぁ! ハルはビューティーサニーでの戦闘実績もあるしEスポーツのチャンピオンを半泣きにさせるスーパーゲーマー! サニーから段階的に合体! 巨大化! パワーアップ! いいねえ!」


「最終段階は宇宙戦艦との合体だよね!」


「いいね! いいね! それも視野に入れて開発を進めよう!」


 ギャラクティカダークのメンバー全員が乗る宇宙戦艦を決戦兵器にして危機的状況に挑んだ場合、下手すると全滅なんだが……まあいいか。


 ビューティサニーのプランを立てる際に起きたハルに対するセクハラ案件以来、清志と今日子の研究と開発には俺と幸四郎さんの審査が必要になっている。あまりにもアホな案を出してきた時には却下すればいいだけの話だ。


 気がつけば組織内における俺の権限と責務が増えているんだが、もうその辺の事を気にするのは止めておこう。


 今日子と清志と別れ食堂から大浴場に行くと浩二と一緒になった。


「真人、自分の研究は出来てるか? 銀河バイオの新商品の開発が負担になるようだったらしばらく止めてもいいぞ。現行の商品だけで数年はやっていけそうだ」


「銀河バイオの商品はほとんど片手間だから問題ない、それよりもお前の方が忙しくないか? 各部門間の調整や財務管理とかほとんど一人でこなしているだろう?」


「俺には真人達の様に新しいものを研究開発する力は無いし、真司と秀樹の様なビジネスのノウハウも無い。交渉能力はヒョエさんやリークさんに敵わないし戦闘力も皆無だ。だからギャラクティカダークの総務係として頑張っているんだよ」


 俺たちが自分の専門分野に専念出来るのは浩二か裏方として働いてくれるからだ、最初は頭が硬くて融通の効かない官僚気質だったが今ではすっかりいじられキャラとしてウチに馴染んでいる。


「それにしても俺がここに来てからもう三年近く経つのか……ギャラクティカダーク号の修復から銀河バイオの立ち上げ、中東での活動とロシア連邦の解体、クラヴィーア人の救出……うん、俺達って結構色々な事をやったよな」


「地球側の視点で見たら我々はとんでもない事をやっているんだけどな、世界のパワーバランスはギャラクティカダークの活動で完全に崩れているぞ」


 浩二とは歳が同じなので結構気安く話をする。浩二はウチに馴染んではきてはいるがギャラクティカダークの構成員では一番一般人に近い感覚を持っている。


「やっぱり世界情勢は変わっているのか? 休日を何回か使って日本全国をツーリングしたが何処も景気が良さそうだったぞ」


「ルークさんや真司達が頑張っているからな、裏でも鷹丸君達が暗躍してくれている。庶民の生活は向上しているし、紛争やテロ行為、独裁政権による圧政も徐々に無くなってきているからな」


「そう言えば台湾と香港が独立に向けて積極的に動き出したってニュースでやってたな」


「日本の内閣解散総選挙も時間の問題だろ?」


「ゴミが居なくなって少しはマシな議員が増えたら良いんだがな、まあその辺はゆかり叔母さんと真人が上手くやってくれるだろう」


「実は日本が一番の傀儡政権かも知れんな……」


 風呂から上がりサッパリすると、緊急事態発生の信号がメインコンピュータを通して脳に送られてきた。この信号のパターンは東京のハルからだ。俺はすぐに通信室に行きハルに連絡を取る。


「ハル、何があった?」


 モニターには半泣きのヒバリと真剣な表情のハル、苦笑いのウリアーナが映っている。どういう状況なのかは分からんが三人の中では比較的常識人のハルが緊急事態発生でおれを呼び出したんだ、よほどの事があったんだろう。


「真人博士、実は今日学校でヒバリちゃんが博士の妹さんである阿久 沙羅先生の前で失言をしてしまい……」


 予想だにしていなかった沙羅の名前が出て、俺は激しく動揺してしまった。


「阿久先生が今日子さんに合わせろと物凄い剣幕で……」


 ガクガク震えているヒバリに対し俺は冷たく言い放つ。


「ヒバリ……お前は当分の間、本部でのオヤツを禁止とする」


 滝のような涙を流すヒバリだが泣きたいのはこっちの方だ。

 

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