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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
激動編 変革する世界 そして……来たりしモノ
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阿久 秀人立つ

今回は真人の弟である秀人のターン。

 ここは伊豆にある高級リゾートホテル、今日は別館を貸し切りにして秘密裏に主要先進国外相級会談を行なっている。今回の会談は極秘の為、マスコミには公表していない。表向きの目的は来月行われるG20の事前調整ということだが事実上は日本政府とギャラクティカダークとの関係の糾弾だろうな。


 会談が始まって三時間、休憩時間として席を外した親父はグッタリとしていた。マンガだったら口からエクトプラズムが出ている事だろう。


「父さん大丈夫? じゃないよね」


 僕の予想通り開始早々から各国からの総攻撃だったからなぁ。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダのG7に加えてインド、オーストラリア、イスラエル、トルコから口々に責め立てられ親父はグロッキー状態だ。


 とりあえずこの会談の主催者であるアメリカから出された調査報告をザックリとまとめてみるとこんな感じかな。


 中東とロシアの情勢が急変したのは異星人とつながりのある秘密結社ギャラクティカダークが暗躍していたからである。ギャラクティカダークは日本を活動拠点としており近年頭角を現した企業「銀河バイオ」をフロントカンパニーとして活動している事がCIA、MI6、モサド等の調査により確認されている。


 中東の復興は日本企業が中心となって行っておりインフラ整備だけでなく銀河バイオを中心とした日本企業の工場が多数進出し雇用を確保している。そのほとんどはシリア、イランの新政府からの要請によるものであるという報告があるが二つの新政権はギャラクティカダークの傀儡政権と言ってもよい。


 ロシア連邦崩壊もギャラクティカダークが反ロシアの共和国を先導して起こした事は明白である。不思議な事に崩壊後の混乱は皆無であり日本企業の進出により新たな産業が開拓され雇用も確保されており、崩壊前よりも経済状況や国民生活は良くなっている。


 ギャラクティカダークは強大な軍事力とオーバーテクノロジーを有しており全容は不明であるが地球人類の脅威となりうる存在である。


 レグイザモ国務長官がそれらの資料を読み上げた後、外務大臣である親父に厳しい口調で言い放つ。


「阿久外務大臣! 単刀直入に聞かせてもらおう。あなた方日本政府はギャラクティカダークと秘密裏につながっていますよね!」


「いえ……あの……えーその事に関しましては……現在……調査中でありまして……」


 親父がしどろもどろに歯切れの悪い答弁をすると各国の外相から集中攻撃を受ける。


「銀河バイオの本社は日本だろ!? 中東、ロシアの復興は関係国から日本への要請がほとんどだ! 裏で取引があるんだろう!」


「日本政府の対応が早過ぎる! 事前に話があったんじゃないのか!?」


「中東、ロシアに対する影響力を大きくしてどうするつもりなんだ!」


「日本の景気が急速に良くなっているのは彼らに便宜を図っているからじゃないのか!?」


「あ……あの……その……銀河バイオは確かに日本の一企業でありますが……企業の海外進出の支援を……えっと……私共は……あの……日本政府としてはギャラクティカダークなる組織の存在は……」


 目を泳がせながら何とか集中攻撃を避けようとしている親父だが……ダメだな。やっぱり阿久 桜馬は政治家としては無能だ。平時であればクリーンな閣僚として政権を支える頭数として無難な人材なんだけど……これから激変していく世界ではリーダーとして全く役に立たない。


 冷や汗を滴らしながら目で俺に助けを求める親父に対してレグイザモ国務長官が勝負時と見て切り札を切ってきた。


「阿久大臣、これを見ていただきたいのですが……」


 レグイザモ国務長官が一枚の写真を手渡すと親父の顔色が見る見るうちに青くなっていく。


「ま、真人……」


「その通りです。そこに写っているのは、阿久大臣の御子息である阿久 真人。銀河バイオの主任研究員ですが一緒に写っている人物が問題なのですよ」


「これは……シリアのロトゥフ大統領!」


 レグイザモ国務長官はますます顔色が悪くなる親父を一瞥してから全員に写真を配る。兄さんと一緒に写っているのは確かにシリア新政権のロトゥフ大統領だ。すると参加国の大半を占める欧州、中東のNEU加盟国が次々と親父に詰め寄る。


「それだけではありません! 御子息と一緒に写っている白人の男女と東洋人は……」


「欧州、中東の様々な交渉の席に現れる謎のネゴシエーター!」


「NEU発足も彼らのもたらす情報と各国間の交渉による事が大きい」


「この立ち位置だと……」


「御子息が彼らの中でも高い地位にある事は明らかですね」


 ガクガクと震えて酸欠の金魚のように口をパクパクさせている親父にレグイザモ国務長官が距離を詰めると懐から二枚の写真を取り出す。そこに写っているのは前の写真で兄さんと一緒に写っている白人女性、そしてもう一枚には同じ女性がピエロのようなメイク……いや、解像度の高い写真だから見えるけどこれは模様だ。よく見ると肌は皮膚では無く細かい鱗に見える。


「これはCIAのエージェントが銀河バイオに潜入した際に撮影したものです。彼女は異星人だと見て間違いないでしょう」


 もうダメだな……親父は完全に思考停止状態でただ震える事しかできない、頃合いを見て一度席を外させるか。


「御子息が異星人と入れ替わっているのか、それとも彼らの配下になっているのかは分かりませんが、彼が銀河バイオの研究員となってからも何度かあなたや叔母である防衛大臣と会っている事は知ってますよ」


「日本はオーバーテクノロジーを独占する気か!」


「いったい何を企んでいる!?」


「待てよ……彼らには核を始めとする地球の兵器は通じ無い……」


「短期間でテロ組織や国家を壊滅させる戦力とテクノロジー……」


「その気になれば世界征服も……」


「日本はギャラクティカダークに便宜を図る事によって征服後の地球で支配者階級になるつもりなのか!」


 もうそろそろ限界だな。俺は立ち上がり一同に声を掛ける。


「間も無く三時間が経過します、軽食の用意をしておりますの小休止にしませんか?」


「そうだな、こちらも実もを内容を皆と再考したいので小一時間ほど休憩としよう」


 各国の代表はロビーラウンジに移動し、用意してあった軽食を取りながら第2ラウンドに備えて議論を交わしている。それに比べて日本の外務大臣である親父は……ボクシングだったら第1ラウンドでKOされているな。しかしこの場は外相級会談だ、KO負けは許されない。


「桜馬さん、休憩が終わったらどうするつもりなの? 多国籍軍は一丸となって攻勢に出て来るわよ」


 オブザーバーとして参加している防衛大臣のゆかり叔母さんが発した一言に体を震わせて泣き出す現職の外務大臣……まあ想定していた事態だけどね。


「父さんとりあえず救急車を呼ぶよ」


「えっ! 秀人君、外相級会談の途中で開催国の大臣が席を外すなんて……」


 ゆかり叔母さんが驚きの声を上げるが俺の表情を見て緊張の面持ちとなる。


「最初から救急隊と病院は手配しています、もちろん持病の設定も完璧ですよ。ついでに長期入院をしてもらって、そのまま政界から引退でいいよね父さん」


 親父は激しく何度も首を縦に振って了解する。


「もう無理だ……外務省の文章を読み上げたり便宜を図ったり印鑑を押すだけの仕事ならともかく……強気で攻め込んでくる他国の外相相手にやり合うなんて……私には無理だぁぁぁぁ!」


 いい大人が泣くなよ、みっともない……それに比べてゆかり叔母さんの視線の鋭いこと。


「秀人君…….仕組んでいたわね?」


「バレました? これから激変する世界情勢……親父が外相じゃ頼りないでしょう」


「真人さんの組織も絡んでいるわね?」


「ギャラクティカダーク自体は関係ないですよ、兄さんとその彼女が個人的に手を貸してくれている程度です」


「まさか……先週から政治スキャンダルが相次いで露呈しているのはサイバーテロ?」


 まあいいか、叔母さんになら言っても良いだろう。


「いやあ、先週兄さんと義姉さんに会いましてね……今回の日本叩きの情報をもらったついでに色々と相談したら……という感じです」


「私達が苦労している政治改革を一瞬でやっちゃうつもり?」


「おっと時間だ! 続きは後で!」


 親父を運んでいく救急車のサイレンを聞きながら僕は各国の外相が待つ会議室に向かう。さてさて一発かましてやるか!

次回も秀人のターンです。

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