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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
活動編 ギャラクティカダーク世界情勢に介入しまくる。
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帰還

 イーマ様がターチの背中に乗って帰ってきた。幸四郎さんは少し前に帰っていてパイロットスーツからいつも通りの服装に着替え、ゼロもチビ龍の姿に戻っている。あと二時間もすれば地底移動車も帰ってくるだろう。ルーク、スカーレット、ヒョエさんの三人は事後処理のためにクレムリンに残っている。


「お帰りなさいませイーマ様、オヤツになさいますかニャ?」


「お疲れさまでした、シャワーの用意も出来てますよ」


 イーマ様が装甲車に入るなりミーとマインが出迎える。


「ありがとうミー、マイン。とりあえずシャワーにするよ。幸四郎、分かっているとは思うけど地底移動車にはペツーアが乗っている、鷹丸とミスティが拘束しているけど適切な処置を頼むよ」


 イーマ様は帝王モードを解除していつもの子供らしい表情に戻っている。幸四郎さんが一礼して報告を行う。


「イーマ様、クレムリンのルークより報告がありました、全ロシア軍はオムスムルグ周辺から撤退を開始したそうです。ペツーア大統領はクーデターにより失脚。首謀者及び新首相はシベリアに拘禁されていた前国防相のアレクセイ=バラノフスキーとして現在政治的な処置を行なっているとの事です」


「そっちはルーク達に任せるよ、後はペツーアとクラーヴイアの船だね」


 イーマ様の言葉に今日子があっけらかんと答える。


「ペツーアの方はもう真人さんが手を回しているよ」


「シリアのロトゥフ大統領に秘密裏に収容所を作らせています、今入っているのはは元シリア大統領のアシュラフだけですが、部屋は多めに作っていますので馬鹿共はどんどん放り込みましょう」


「真人さん、イーマ様はお疲れなので事後の話はシャワーを済ませてお茶をしながらにしませんか?」


 ミレ姫様の声に従いイーマ様がシャワーで汗を流している間、情報を整理しながら待機する。ミーとマインがお茶の用意を始めているが今日のオヤツはイーマ様の好きなカスタードシュークリームだ。


 待っている間にルークから反ロシア派共和国の代表達と連絡がとれたので後日、新政権の執行部と共に会議を開く予定だと報告が来た。普段は話がクドくてかなり間の抜けた残念貴族だが政治的手腕は超一流だ。


 しばらくするとイーマ様がシャワーと着替えを終えて帰って来るとミー、マイン、ユウがイーマ様の給仕をはじめる。

 パウダーシュガーをたっぷりとかけたシュークリームは見るからに美味そうだ、ヒバリがオアズケを命じられた犬のように食べたそうに待っている。いくら食いしん坊でも忍者として育てられたヒバリは主君よりも先に食べる事など出来ない、涎を垂らしていなければ立派なんだが……。


「あっ、シュークリーム! 中身はカスタード?」


「もちろんですニャ」


「お飲み物は何にしますか?」


「ミルクココアがいいな」


 ミルクココアがマグカップに注がれるとイーマ様がシュークリームに大きく口を開けてかぶりつく。帝王モードで独裁者と対峙していた凛々しい姿も、口の周りにパウダーシュガーをいっぱいつけてシュークリームを頬張る姿のどちらもギャラクティカダーク首領イーマブルグ様の本当の姿だ。


 みんなでティータイムを楽しんでいる間も装甲車はオムス塩湖に向かって進む。ユウがイーマ様の口元を拭くと幸四郎さんが今後の動きについての話しを切り出す。


「さてと、ロシアと共和国の件についてはルーク達に任せるとして、後はクラヴイーアの船とペツーアの処遇だな」


「ペツーアに関してはシリアの収容所に特等室を用意してありますよ、ロトゥフ大統領にも近日中に送り込む事を伝えているんで問題ありません」


 俺が幸四郎さんに答えると清志が続ける。


「クラヴイーアの船ならロシアの邪魔が入らなければすぐに転移できるぜ。ウリアーナに封印を解いてもらって転移フィールド発生装置に宇宙船のシステムをリンクしたらすぐにS湾海底の秘密基地入り口近くに空間転移する事が可能だ」


「ならば俺は鷹丸とミスティが合流次第すぐにペツーアを収容所に放り込んで来る。小型偵察機には四人乗れるな?」


「定員は六名だから問題無い、五時間も有れば往復出来るだろう。その間にこっちは空間転移の準備をしておくよ」


「よろしく頼む、まずはウリアーナに働いてもらわないとな。俺は鷹丸達と合流次第すぐに出発する」


 間も無く鷹丸達と合流し、幸四郎さん達はシリアに飛び立った。ペツーアは完全に怯えており鷹丸とミスティにおとなしく連行されている。


 オムス塩湖に到着するとウリアーナがアクアディープを天に翳して歌を歌い出した。不思議なメロディーと聞いたことの無い言語の歌詞の歌を歌っているとアクアディープが輝きだし、塩湖から宇宙船が浮上して来る。


「これはクラヴィーア共和国の国歌じゃないですか!  懐かしいなあ」


 テンタ君が触手をくねらせながら言う、このくねらせ方は嬉しい時だな。ちなみに歌詞の内容は「深淵なる宇宙の海の深き青き海の底、深き愛に満ち溢れた海の底の我が祖国」とのことだ。嫌になるほど物理的に深いな。


 アクアディープから浮上した宇宙船に向かってレーザーのような光線が発せられると二十分程して船体の一部が開き一人のシーロズ族が出てきた。彼? はウリアーナを見ると彼女に話しかける。


「お久しぶりですヴェロニカさん、少し感じが変わられましたか?」


「初めましてチャックさん、私はヴェロニカの子孫のウリアーナと申します。あなたの事とヴェロニカとの約束については我が一族の伝承として受け継がれていますわ」


「そうか、あなた方地球人は短命種でしたね。船を起動させたと言う事は我々を海に移動させる技術が発明されたのですか?」


 そう言いながら触手をくねらせるチャック。あのくねらせかたは期待と不安を合わせ持っている時だな。


「地球にはありませんがこの方達があなた方を安住の地に導いてくださいますわ」


 ウリアーナに紹介されて俺と、今日子、清志が前に出る。


「船を環境の良い深海に転移させる準備は出来ている。だがコールドスリープ明けですぐに動いても大丈夫なのか?」


 俺の問いに答えたのは目の前にいるチャックではなく後ろに控えていたテンタ君だった。


「博士、我等シーロズ族は環境の変化に強い適正を持っているのでこのくらいは大丈夫なんです。そして、ウリアーナの話しを聞いてまさかとは思っていたんだが……やっぱりお前だったんだなチャック」


「えっ!? まさか! テンタ兄さん!?」


「故郷と共に消滅したと思っていた家族が生きていて本当に嬉しいよ」


 それから二人は数本の触手を絡ませ合う。地球人で言うところのハグみたいなもんだとは思うが正直キモい。


「そうだ兄さん! この船にはカリーナも乗っているんだ」


「本当なのか!? チャック!」


「うん、カリーナはまだ兄さんのことを……」


 話の筋からするとテンタ君の恋人かいい感じの幼馴染みといった様子だが正直言って興味が無い。そろそろ話しを先に進めようとしたら清志と今日子が感動の再会中の二人の間に割って入った。


「感動の再会だがこんな所よりもお前達にとって快適な環境に移動してから色々話しをしたほうが良いんじゃないか?」


「そうだよ、カリーナさんやジョイロード族やチューカイナ族の人達も起こしてあげないといけないよね」


「そうでした!」


 エンジニアであるチャックはすぐに転移フィールドの仕組みを理解したのでフィールド発生装置のセッティングはわりと簡単に終わった。クラヴィーアの人達のコールドスリープはS湾海底に転移した後に解く事にするようだ、目覚めた時に環境が適していないと体調を崩す可能性があるからな。


 準備が整った頃に幸四郎さん達がシリアから帰って来た。ペツーアは無事に収容所に入れる事が出来たようだ、ロトゥフ大統領には迷惑料として銀河バイオからシリアに援助をする事を約束したということだ。


 クラヴィーアの船にはシステムの操作の為に今日子とテンタ君、生命維持装置のチェックの為に俺が残り、清志は受け入れ態勢を整える為に先に幸四郎さん達と秘密基地に帰る段取りだ。


「兄さん、転移先はどんな所?」


「水深、水圧、水温共に申し分ない所だよ、広さも今のところは十分じゃないかな。大都市やウチの本拠地にも近いから利便性も高い」


「そう言えば兄さんはどうしてこの星に? ぼくらは兄さんがミリオネル王国の技術士官になってからすぐに惑星クラヴィーアが滅んじゃったから移住先を探して地球に辿り着いたんだけど……」


 しばらく重い沈黙が続いてからテンタ君が口を開いた。


「滅んだんだよ、ヘルクレス座球状星団広域文明そのものが……」


 再び重くなりそうな空気を今日子がぶち壊す。


「だぁぁぁぁぁぁ! 暗いのは今から行くS湾海底だけにしとけぇぇぇぇぇ! だいたいクラヴィーアもヘルクレッ! 痛っ! 噛んだ! 名前が長過ぎる! そもそもどっちもアホな理由で馬鹿が始めた戦争が原因じゃないかぁぁぁぁ! イーマ様が地球を良い星にしてそんな事が無い世界を作るんだからしみったれた話は禁止ぃぃぃぃ!」


 一気に言い切った今日子の息は荒い、俺は今日子の背中をさすりながら二人に言う。


「確かに生まれた星や文明が滅びてしまった事は気の毒だが、滅びたモノは仕方が無いだろう? とりあえずテンタ君達に出来ることはS湾海底で生活の基盤を作る事だ。詳しい話とこれからの事はそれからにしよう」


 二人が触手をゆらゆらとさせる、これは納得したという意思表示だな。そんな感じで話しをしていると幸四郎さんから連絡が入る。


「こちらの準備はOKだ、いつでもいいぞ!」


 転移フィールドを作動させると宇宙船が七色の光に包まれる。光が弾けると目の前にギャラクティカダークの潜水艦があった。


「お帰り! 真人、今日子、テンタ。そしてようこそ! クラヴィーアのみなさん!」


 イーマ様の声が響く。ほんの数日の出来事だったのに久しぶりに本拠地に帰って来たような気がするなぁ。

次回で第二部終了となります。

評価ブクマなどいただければ幸いです。

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