ギャラクティカダーク出撃
俺達がそれぞれの持ち場で作業をしているとイーマ様とペツーア大統領との会談内容と結果が送られてきた、内容は予想通り事実上の宣戦布告だ。
「さてと、エネルギー循環装置と生体部品の調整はこのくらいで充分だろう、バトルラークとビューティーサニーの換装パーツの準備はどうだ清志」
「出来る範囲で改修しといた、すぐにでも行けるぜ」
「各種プログラムのアップデートはOKだよ、後はロシアの動きをチェックしとくね」
こちらはいつでも臨戦体制だ、輸送機の下部分にドッキングしてあるコンパクトだが移動基地としての機能もある大型ホバー装甲車ランドビートルはいつでも稼働出来る状態だ。簡易基地は解体し、拠点としての機能はすでにランドビートルに移動させてある。
ランドビートルは飛竜零、バトルラーク、ビューティーサニーの格納及び修理、補給をする事が可能で食堂と仮眠室を完備しているので長期戦にも対応する事が可能だ。まあ長くても二、三日で終わらせるつもりだけどな。
ホバークラフトなので、どんな悪路でも水上であっても移動可能だ。装甲は宇宙戦艦に使用可能なSGT合金を仕様し、さらにサイコウエーブ所持者が搭乗する事によりサイコフィールドバリアを展開出来るので核ミサイルの直撃でもキズ一つ着かないくらいの防御力がある。
武装は主砲の長距離レーザー一門と副砲の中距離レーザー二門、対空対地兼用のレーザー機銃六器、そして誘導ミサイル四十八発で火力は十分と言ってもいいだろう。
イーマ様達が帰って来るとメインブリッジに全員集合し短いミーティングをする。各々の役割は分かっているので長々と会議をする必要は無い。
「地底移動車からばら撒いたナノカメラと超小型工作ロボは問題なく作動してクレムリン中枢部に入り込んでいるよ。常時監視しているから実戦部隊は身体を休めといた方がいいんじゃないかな」
「軍や諜報機関に動きは無いのか?」
今日子の提案に指揮官である幸四郎さんが情報の確認をする。
「各共和国の反ロシア派にスパイや軍の動きは全部流しているし色々なアイテムも渡してあるから頑張ってくれると思うよ」
「ケロメア共和国の解放で反ロシア組織の士気は高いからその辺は任せておいて大丈夫だろう、軍の動きはどうだ?」
「ロシア全軍が動いてるよ、今日のところは準備で終わりそうだね、ミサイルや爆撃機の用意をしてるからたぶん空爆をする気だよ」
幸四郎さんはしばらくモニターの資料を見て考えを巡らせると今日子に指示を出す。
「ロシア軍、政府に我々は明日の早朝に移動基地にてケロメア共和国を出発し、真っ直ぐにオムス塩湖を目指すと伝えてくれ」
「分かったぁ経路は市街地や農業地帯、ライフラインを避けた見通しの良いルートを送っておくね」
今日子がロシア政府に対して情報を送る。ペツーア大統領に直通ラインで誰が見てもムカつくような挑発もバンバン送っている、なんだか楽しそうだな。
「幸四郎、侵攻ルートはロシアに予告した通りでいいんだな?」
ゴッグ艦長が侵攻ルートを確認する、幸四郎さんが飛竜零で出ている間は艦長が指揮官となる。なぜだかは分からないけどその次の指揮権は俺にある、俺が指揮を取る事はまず無いだろうから問題ないが。
「いよいよクラヴィーア人の救出作戦を開始するんですね、気合が入ります!」
テンタ君に気合が漲っている、彼にとってクラヴィーア人は同朋だからな。直接の知り合いはいないだろうが久しぶりに同じ人種? に会える事は嬉しいんだろう。
「みんな、明日はロシア軍との戦闘になるけれど出来れば民間人だけではなく兵士達も殺さないようにして欲しいんだ。無理を言って申し訳ないんだけど……」
「それは俺達全員が思っている事ですよ、犯罪者以外は殺しません」
イーマ様の願いは俺達の目標でもある。中東でもテロ組織や武装集団の構成員は殺傷したが各国の正規兵は怪我人は出しても死者は出ていない。全員がイーマ様にむかって大きく頷くと今日子が素っ頓狂な声を出す。
「あっ! 不測の事態やイーマ様の警護に備えてターチにご飯食べさせておかないと! ちょっと待ってね……はい! これ麻薬密売組織や人身売買組織、マフィアのアジトをリストアップしといたからクズだけを選んで食べるんだよ」
「ターチはお利口さんだから咎人以外は食べませんわ。イーマ様は当主としてこちらに居てくださいね、私がターチにご飯を食べさせて来ますわ」
ミレ姫がターチに乗って飛び立つと幸四郎さんが全員に檄を飛ばす。
「我々の本来の目的はクラヴィーア人の救出だが非礼な行いを繰り返すロシア政府……いや! ペツーアに対してイーマ様が宣戦布告した、我らの敵はペツーアとその支持者であり愛国者であるロシア兵士では無い! 出来る限り戦死者は出さぬよう細心の注意をもって各自任務にあたるように。鷹丸とミスティはこれよりクレムリンにて潜伏待機、他の人員は明日午前四時にこの場に集合。以上、解散!」
幸四郎さんが気合いを入れて指示を出したが、みんなはいつも通り持ち場に戻りマイペースで過ごしている。俺も食堂で幸四郎さんの煎れてくれたコーヒーを飲みながら雑談をしている。
「幸四郎さんが気合いを入れましたけど、みんないつも通りですね」
「お前も正常運転だな、まあそれが俺達のいいところか。ヒバリ! 明日は激戦になるから飯は腹八分目にしとけよ」
「ふぁ〜い」
丼飯をかき込みながらヒバリが返事をすると、清志が幸四郎さんに笑いながら話す。
「だけど幸四郎さん、敵を殺すなって言ってたけど俺たちに死ぬなって指示は無かったよな」
「必要か?」
「まあ、僕達は覚悟出来てるしね。それに今回は数で押したら勝てると思ってる無能な独裁者にお仕置きするだけだからよっぽど油断しなければ大丈夫でしょ」
みんなこう見えて危機管理はバッチリだからな。
「ところで幸四郎さん、この作戦が終わったら次の予定はあるんですか?」
「しばらくは中東とロシア周辺国の動向を見ながら銀河バイオの経営と各国と政治的取り引きをするくらいだな」
ということはこの作戦が終わったらしばらくは研究に専念出来るわけだ、楽しみになってきた。しばらく今日子とくだらない話をしてから眠りにつく。
翌朝、誰一人寝過ごす事無く各々の持ち場につく。メイドロボ達が作った軽い朝食を取り一息つくといよいよ出撃だ。幸四郎さんが今日子に情報を求める。
「今日子、ロシア軍の動きはどうだ?」
「ミサイルはいつでも飛んでくると思ったほうがいいよ。爆撃機、戦闘機、ヘリコプターも発進準備が完了してるね。戦車隊と陸戦部隊がこっちの進路に集結しているねえ」
「よし、ヒバリはバトルラーク、ハルはビューティーサニーでいつでも出れるようスタンバイ! 俺は飛竜零で待機する! テンタはランドビートルの火器管制を任せる! 俺が出ている間の指揮はゴッグと真人に頼む! 今日子はリアルタイムの情報を各員に速やかに提供してくれ」
全員がそれぞれ気合いのはいった返事をすると幸四郎さんが号令をかける。
「これよりオムス塩湖に総員戦闘配備で進路をとる、ランドビートル発進!」
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