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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
活動編 ギャラクティカダーク世界情勢に介入しまくる。
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イーマブルグVSペツーア大統領

今回はイーマ様のターン。

「ここがロシアの大統領の執務室かぁ、本当にこんなに広い部屋が必要なのかなぁ? 椅子や机も妙に大きいし装飾もやたらと豪華だね」


 僕が呆れているとヒョエが笑いながら質問をする。


「イーマ様のお父上はあまり煌びやかな装飾は好きでは無かったのですか?」


「ヒョエよ、ミリオール三十七世陛下は民の幸福を何よりも第一に考える名君であり公務、私生活に於いては必要以上の贅沢はせず国の重鎮や貴族達にも質素倹約と領民の生活の向上を指示しておられた。このような物に使う予算があるのならば社会福祉の充実に回すはずだ」


「ルークさんの目から見てもやっぱりここは悪しき独裁者の根城に見えるんですね」


 ミリオネル王国が滅びた時、僕は今よりもずっと子供で何も分かっていなかった。あてもない宇宙の旅の途中ルークやスカーレットの教育をうけ色々な知識を身につけていたけど、周りは家臣ばかりで唯一の対等に近い存在は婚約者のミレーニァだけだった。


 みんなが僕を特別扱いする事に慣れる事は無く、ギャラクティカダーク号の中で黙々と勉強を続ける日々。旅の途中多くの家臣が命を落としていく中で僕が自分を保っていられたのは父上と過ごした短いけれど濃密な時間があったからだ。


 父上はまだ小さかった僕に王の心構えや、人のつながりの大切さ等色々な事を教えてくれた。父の心とルーク達の教育で、もしも僕が国を治める事になるならば民の幸福を第一に考える王になろうと考えていたんだ。


 だけど地球にたどり着いてから僕の価値観は大きく揺るがされる事になった。その時の地球は多くの国々を巻き込んだ大戦争の真っ最中だったので僕らは深海に身を潜め情報収集をして過ごす事になる。


 瀕死の兵士であった幸四郎の協力で地球の事を知ることが出来て、最初は争いや差別ばかりの駄目な民族だと思ったんだけど僕らの文明も結局戦争で滅びちゃったんだよね……。


 それからはルークや幸四郎に綺麗事抜きのミリオネル王国と地球の歴史を教えてもらったけど……どっちも同じだ。繁栄と腐敗、安定と闘争の繰り返し。どの場所でも知的生命体の歩む道は同じなのかな?


 そうして数十年が経ったある日幸四郎が地球人女性、出門 今日子をギャラクティカダーク号に連れてきたあの日から運命の歯車が急速に回り出したんだ。


 真人、今日子、清志の科学者達がギャラクティカダークを蘇らせ、幸四郎が連れてきた文官と戦士達が動き出してから二年足らずだ。しかしその時間はそれまでの……ミリオネル王国を脱出してから地球にたどり着くまでの5000年の長い旅路よりも濃密で有意義なものだった。


 父上の遺志と真人達の分析で宇宙の文明は滅びと新生を永遠に繰り返し続けていることが分かったけれど、そこに絶望感は感じない。だってギャラクティカダークのメンバーは生まれも種族も、主義主張も違うのにこんなに仲良くやっていけているんだから、これを文明全体で行えばずっと世界を継続出来ると思うんだ。


 中東で戦争や世の乱れの現実を目の当たりにしたけれど彼らは……いや! 僕らは見事にそれを治めることが出来た。なぜだかは分からないけれど、無限に続く滅びと新生のサイクルを僕達ギャラクティカダークなら乗り越える超えることが出来ると信じている。


 だから僕はギャラクティカダークの当主としてロシアのペツーア大統領と対峙する事を決断した。これから幸四郎や真人を始めとする優秀な人間達の長として政に関わる経験を積むために、圧政と謀略、強引な外交と少数派を弾圧する独裁者と対峙するんだ。


 もちろん問題のある国家元首は彼だけでは無いのだけれども、うちのフロント企業である銀河バイオに最も多くのスパイを送り込んだこと、地球に不時着したクラーヴイアの宇宙船を我が物にしようとしていること、そして僕らの友人であるウリアーナの拉致を企みそのために無関係な人間を巻き込んだ事など直接的、間接的にギャラクティカダークに対して敵対しているからだ。


「イーマ様、間もなくペツーアが帰ってきます。奴の椅子に座って待っているのはどうでしょうか」


「面白そうだね、そうするよ」


 ルークの提案を受け入れて大統領の椅子に座ると右にルーク、左にヒョエが立つ。姿も気配も感じ無いけれども鷹丸とミスティも側にいてくれているし、何かあれば幸四郎やヒバリ、ハルがすぐに駆け付けてくれる。真人、今日子、清志の技術的サポートだってあるんだ何も怖いものなんて無い。


 執務室の扉が開きSPが中を伺い異常が無いことを確認して中に入ってくる。清志が作った映像システムの威力で向こうからはいつもの執務室にしか見えない。三人のSPと大統領全てが入室するとまず鷹丸とミスティが気配を消したままSPに近づき即効性の麻酔薬を塗った針を突き刺した。


 流石は元スパイのボスだね、SPが倒れた瞬間に懐から拳銃を取り出して警戒しながらドアに手をかける、もう中から開けることは出来ないんだけどね。映像システムをオフにしたことで、突然現れた僕らの姿を見るなり拳銃を撃ってくるけど甲高い音を立てて弾丸が跳ね返る。


「残念だが我らにそのような武器は通じん。さらに監視カメラを始めとするセキュリティーも全てハッキングしてこちらでシステムを掌握してある」


 声高らかに宣言するルークを鋭い視線で睨みつけるペツーア大統領。


「貴様らは何者だ!?」


「怪しい者ですよ。我らの主君があなたとの会談を希望していますので少々強引な手段を取らせていただいたのです」


 殺気を込めて怒鳴るペツーア大統領に対し飄々とした態度で答えるヒョエは僕の方を振り返ると片目を閉じて合図する、どこの星でもまずは自分から名乗るのが礼儀だろう。


「初めましてペツーア大統領、僕たちは地球に変革をもたらす組織、秘密結社ギャラクティカダーク。そして僕は当主のイーマブルグだ」


「子供だと!?」


 驚くペツーアだがさらに畳みかけよう、僕はルークに目配せすると共に擬態を解く。ルークは角が生えて大きく見た目が変わるけど僕の場合は髪と瞳の色が変わるだけなんだけどね。


「確かに僕はまだ子供だけどこの星に文明が生まれる前から生きているんだよ。今回は僕が運営する企業にスパイを送り込み僕の友人達に無礼を働くあなたに対し警告を与えるためにやって来たんだ」


「まさかっ!……貴様等か!? ケロメアの我が軍を壊滅させたのは!? それにその容姿……ハッタリでは無さそうだな……オムス塩湖に沈む宇宙船の関係者か?」


「そうだ、キミがスパイを送り込んだ銀河バイオのオーナーでもありオムスムルグの統治者であるアダモヴィッチ家の支援者でもある」


「貴様のことは我が国の敵対者と見なしても良いのだな?」


「キミの敵ではあるが善良なるロシア国民の敵では無いよ」


 それからしばらく沈黙が続く、彼は馬鹿では無いし冷静な判断力も兼ね備えているようだ。僕は真人達の指導によってサイコウェーブ「超カリスマ」を発動させない方法を身につけているけど、彼が相手ならば少し解放しても良いだろう。息を長く吹き、心の奥で鍵を開けるイメージを作る。


「くっ! なんだこれは!? 貴様! 私に何をした!?」


 流石は力で敵対勢力を捻じ伏せるだけの事はある、大した精神力だと思うよ。僕は再び心の奥に鍵をかけ「超カリスマ」を停止させる。


「ペツーア大統領、僕が今日ここに来たのはさっきも言った通り、キミに警告を与えるためなんだ」


「なんだと!?」


「僕達の目的はクラーヴイアの船……オムス塩湖に沈む宇宙船を救出する事と、友人となったオムスムルグ共和国とその周辺の反ロシアの共和国の独立だ。彼らから手を引き、これからは干渉しないと約束するならば今までの無礼は不問としよう」


「愚かだな、諜報員を撃退し軍事基地の一つを潰したところで勝ったつもりか? 貴様等の組織がいかに超技術や特殊能力を持とうとも大国である我が国の圧倒的物量に勝てると思っているのか?」


「僕達の基準では謀略と弾圧、強権の発動で成り立つ国を大国とは言わない。受け入れられないと言うなら明後日クラーヴイアの船の救出及び反ロシア派の共和国独立のために軍事行動を取らせてもらうよ」


「我が国に対する宣戦布告と受け止めよう」


「そうだね次に会う時、キミは元大統領の犯罪者だよ」


 鷹丸に指でサインを送りペツーアを気絶させ地底移動車に向かう、セキュリティーはIT面では今日子が、警備兵達は鷹丸とミスティが無力化しているので問題ない。


「イーマ様、愚かな独裁者に正義の鉄槌を喰らわせましょう」


 拳を握るルークだけど僕は鷹丸とミスティに言う。


「もしも僕が私利私欲に走った時は始末してね」


 僕の言葉を聞いて地底移動車の中でみんな笑っていたけど……結構本気で言ってたんだけどなぁ。

次回は戦争だぁぁぁぁ!

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