イーマブルグ出陣
ロシアの大統領と話がしたいとイーマブルグ様の爆弾発言が飛び出して間も無く、ルークとヒョエさんが帰って来た。食事と小休止をはさんだ後、全員が会議室に集合する。
「イーマ様、ロシアのペツーア大統領と会談をしたいとの事ですが、現在我等ギャラクティカダークはロシア軍と交戦中であり首脳会談の開催は極めて困難だと思われます」
ルークがイーマ様に対してまずは現実的な意見を言うが俺達には正式な手続きをして公式な会談をする義理は無い。幸四郎さんがルークに楽しそうに笑いながら言う。
「ルークよ、そんな事を言っているがちゃんと非公式な案を考えてあるんだろう? 勿体ぶった言い方は性分か?」
「王国貴族時代の癖だな、その辺の言い回しは必要ないとは思うんだがなかなか抜けないものだ」
軽口を言い合う重鎮二人に帝王モードのイーマ様は自らの意思を伝える。
「どんな形でもいいからペツーア大統領と話が出来ればそれでいい」
「方法はいくつかあります。まずは裏ルートを通じてアポイントメントを取る事ですがリスクが多い上に成立の可能性は高くありません」
「と、いうことは強行策か奇策だよね。僕達がまともな外交ルートや普通に裏ルートを使うなんて笑い話にしかならないよ」
今日子がポップコーンを食べながら明るく言うとヒョエさんがルークに変わり二つのプランを出す。ルークの話は長くて回りくどいからなあ、一緒にプランを考えていたヒョエさんが説明してくれたほうが分かりやすい。
「まあプランと言っても大した物じゃないんですけどね……」
なるほどな強行策は鷹丸とミスティをモスクワに派遣してペツーア大統領を拉致するという作戦だ。しかしこの案では対等な話をする事ができないとイーマ様に却下されたのでもう一つのプランを採用する事になった。少し技術的なサポートが必要なので幸四郎さんが俺達に確認をする。
「真人、清志、今日子、今ここにある機材で作戦を遂行する事は可能なのか?」
「楽勝ですよ。幸四郎さんも知っての通り、俺は政治家って奴等が大嫌いなんですよ。胸糞悪い独裁者に一泡吹かせるのが楽しみです」
「イーマ様の外交デビューだ、技術面でのサポートは任せてもらうからサポートと護衛は頼んだぜ、みんな」
「ロシアのシステムは簡単に掌握出来るから任せて! SVRもFSBも軽く捻って、ついでに金融や市民システムなんかも引っ掻き回しちゃうよ!」
「今日子、僕達の相手はあくまでも独裁者であるペツーア大統領だ、ロシアの民に迷惑をかけてはならない」
「す、す、す、すみませんでしたぁ!」
帝王モード全開のイーマ様に睨まれて今日子は土下座であやまっている、軽口を叩くのも時と場合を選べ! おふざけ無しの本気土下座で謝る今日子を無視して幸四郎さんが話しを進める。
「イーマ様、作戦の決行は準備が整い次第でよろしいでしょうか」
「僕の方はいつでも行ける」
「真人、清志、今日子、準備にはどれくらいかかる?」
「用意してある物に少し手を加えるだけなんで一時間もあれば」
「こっちも微調整だけで充分だからそのくらいだ」
「電脳人間を使えば一瞬だよ!」
へこんでいた今日子がいつの間にか復活している。
「鷹丸、ミスティ、ヒバリ、晴美、今日出撃したばかりだが明日、行けるか?」
「いつでも行けます!」
幸四郎さんがゆっくりと全員を見回すと、大きく頷き指示を出す。
「ならば明日にも作戦を開始する。真人、清志は直ちに必要機材の準備、今日子はロシア中央の情報収集ならびに軍、諜報機関への情報撹乱。ルークとヒョエはイーマ様に同行して対談のサポート、護衛には鷹丸とミスティをつける。不測の事態に備えて俺は飛竜零、ヒバリはバトルラーク、ハルはビューティーサニーにてモスクワ郊外で待機だ」
バトルラークの整備とビューティーサニー予備機の調整はバッチリだし他の機材もすぐに用意出来る。ヒバリ、ハル、鷹丸、ミスティにも疲労は無いようだから大丈夫だろう。
さっそく電脳人間でロシアのコンピュータをハッキングしていた今日子がペツーア大統領とその周辺のスケジュールを表示したタブレットを幸四郎さんに手渡す。
「イーマ様、作戦の決行は明日正午でよろしいですか」
「任せるよ」
「では各自準備を済ませた後は良く休み体調を整えるように」
「みんな僕の我が儘に付き合わせる形になって悪いけど、どうしても一度地球の独裁者と話がしてみたいんだ」
そう言うイーマ様だが俺達は誰一人として付き合わされているとは思っていない。むしろみんな、独裁者に一泡ふかせるのが楽しみで仕方ないという表情をしている。
「では明日午前九時にこの場所に集合、最終ミーティングを行う。では解散!」
さてと、ガチの独裁者相手に本気のイーマ様がどう立ち回るのか今から楽しみだ。
次回はイーマブルグ様のターンです。




