事後処理とこれから
久々の秘密基地です。
中東地域での二週間の遠征を終えて秘密基地に帰るとしばらくはやる事が多く忙しい日々が続いた。この遠征では貴重なデータが多く取れたし検証したい事も沢山あるんだがゼロとマインの処置が最優先だったからな。
ゼロに関しては仮ボディーと変わらない見た目のチビ龍だが、ソウルコアを新たなボディーに移した瞬間にゼロ自身が以前との違いに気付いた。
「あれ? なんだろう? 背中に何だか穴が空いているみたいなんですけど。そして頭の中に色んなモノがゴチャゴチャしていて、何だか落ち着かないです」
「背中の穴はコネクターだ。実はお前にはもう一つの身体を用意してあってな、今の身体と繋ぐための接続具なんだ」
「えっ! 戦闘用の巨大ドラゴンボディーがあるんですか?」
「フッフッフッ! ゼェェェロォォォォ! お前、以前に幸四郎さんと一緒に大空を舞いたいと言っていたなぁぁぁぁぁ! その夢を叶えてやるぞ! 新しいお前のボディーは幸四郎さん専用の万能戦闘機だ! お前は制御、ナビゲーションシステムそして魂として幸四郎さんと共に大空、海原、宇宙空間を駆け巡るんだ!」
ゼロの質問に待ってましたとばかりに清志が勢い良く立ち上がり、変なポーズをとりながら芝居がかった口調で答える。わざわざそうする必要があるのか、何のためにやるのかは理解不能だが楽しそうだからまあいいだろう。
「頭の中がゴチャゴチャするのは戦闘機を制御するためのOSとデバイス、管制プログラムがそのボディーに入っているから。ソウルコアがシステムと馴染んだら気にならなくなるから大丈夫だよ」
俺が担当している有機、生体部分はもう完成している。後はエンジン出力の微調整とゼロのシステムとのリンクとその調整だけだ。
「二、三日で調整が終わるから幸四郎さんとも調整して早めにテスト飛行を行う予定だ」
「わあ、楽しみです」
戦闘機の名前はテスト飛行の後で幸四郎さんに決めてもらう事で俺達の意見は一致している。戦闘機を作ることは幸四郎さんに言っているがOSがゼロだということは言ってない。まあ、ちょっとしたサプライズだ。
そしてもう一つの急ぎの仕事であるマインの身体だがアイ、マイ、ミーのノウハウがあるので作る事自体は簡単だった。容姿は生前の健康な時のものをベースにしたのでエキゾチックな美少女になり、アイ達も新しい仲間が出来て大喜びだ。
問題はマインがイスラム圏で生活していたため、比較的露出の多いメイド服に抵抗感を持った事で現地の衣装にするか、露出の少ないメイド服かで意見が分かれた事だった。論争の結果最終的に顔と手以外に露出部分の無い執事服で落ち着いた。デザインの良さもあると思うが意外と似合っている。
メイドロボが四人になった事により食堂のメニューの自由度が増して選べるメニューが増えた。その中でもイーマ様が外出先で食べて気に入ったオムライスがレギュラーメニューになったことで今日子達がいつものようにどうでもいい論争をしている。
「コーちゃぁぁぁぁん! オムライスにケチャップで絵や文字を描かないとはどういうことだぁぁぁ!? キッサマァァァァァ!」
「別にケチャップのかけかたなんてどうでも……」
今日子の剣幕に辟易するする弘治に対して清志が追い討ちをかける。
「浩二! ケチャップのキャップの開け口が細くなっているのは何でだと思っているんだ! オムレツやオムライスに文字や絵を描く為だろうがぁぁぁぁ!」
「そ、そうよね! ただかけるだけならその容器で無くていいもの」
「そうだよな、俺のテッパンは星型だよ」
今日子と清志のあまりの剣幕にビビった和美と真司は全力で日和っている。そして今日子は俺に話を振って巻き込もうとしてきた。
「真人さんも勿論ケチャップで絵を描くよね!」
俺はオタマでオムライスにデミグラスソースをかけながら熱くなっているケチャップに絵を描く派に対して冷静に言う。
「うちはデミグラスソースかトマトソースをオタマでかけていたからケチャップを使った事はないなあ」
「「セレブめ!!」」
全員の声が見事にハモった。えっ!? 実家で出される時や子供の頃に連れて行ってもらった店だとそうだったんだがなあ。確かに実家は裕福な方だと思うがそんなに妬まれるほどなんだろうか?
何はともあれ当面の課題だったゼロとマインの件が片付いたので、データを整理して研究に集中しようとしたら幸四郎さん、浩二、真司に会議室に来るように言われた。
「どうしたんですか? これから研究に没頭するつもりだったんですけど何か問題でも発生しましたか?」
「中東での交渉を進めるルーク達から連絡があったんだがシリアとイラクの政権交代とテロ組織、武装集団の支配地域だった区域の治安回復は順調に進んでいるそうだ」
俺達が日本に帰る時、ルーク、スカーレット、ヒョエさんの三人は中東に残り事後処理と中東地域におけるギャラクティカダークの活動基盤を作るために奮闘している。
ルークとスカーレットの政治家としての能力は、俺の見立てだとウチの馬鹿親父の数万倍だ。もっともあんな無能親父に外務大臣が務まるんだから日本の国会議員のレベルの低さは深刻だ。
「やはり水と食料の問題が深刻なようだ。支援では無く自給できるようにしたいんだが何かいい案は無いか?」
「出来れば銀河バイオの新事業として産業として持ち込むのがベストなんだがな。水を溜める方法や少ない水で育つ食用の植物があればいいんだけどな」
幸四郎さんと真司からの報告と要望を言われた、そうだな方法はいくつかあるが銀河バイオの新事業となると……やっぱりアレかな。
「居住困難な惑星を居住可能にする技術を応用する方法がいいと思うんだが、どの程度までのオーバーテクノロジーを使っていいのか判断が難しいな」
「それはみんなで話し合って検証するよ、でも研究で忙しいのに面倒な注文を出して悪いな」
両手を合わせる浩二はウチのメンバーでは一番一般人の感覚に近い。先程のオムライス議論で敗北し、今日子達にオムライスに堅物とか役人根性とかケチャップで書かれていた。俺もデミグラスソースの上からセレブと書かれたがソースとケチャップの組み合わせは悪くなかったな。
「研究はライフワークと趣味だが、ギャラクティカダークと銀河バイオの事業は仕事だからな。仕事はちゃんと熟すさ」
そして次に幸四郎さんが申し訳なさそうに出した要望に対して俺はあからさまに嫌そうな顔をしてしまった。
「ヒョエからの提案なんだが、中東地域での活動と銀河バイオの事業進出をスムーズに行う為に外務大臣である真人の父のコネクションを使いたいと……物凄く嫌そうだな、気持ちはよく分かるが」
「いや、確かに理論的には間違っていないし手段としては有効だと分かっています。ただクソ親父に会うのが嫌な事と馬鹿で無能な血筋とコネだけのゴミ大臣に手柄を立てさせる事がムカつくだけです」
「やっぱり嫌か?」
「全然気が進みませんが組織の利益を優先しますよ、取り敢えず秘書をしている弟にアポをとってみます」
「悪いが頼むよ」
秀人に連絡をするとすぐに、来週東京でクソ親父に加えて防衛大臣をしている叔母を交えて極秘の会談をセッティングしたという返事が来た。あいつはやっぱり仕事が早いなあ、秀人が大臣やったほうがいいんじゃないか?
そういう事で来週は気が進まないが東京で会談だが、あと一人か二人くらい人員が欲しい。とりあえず幸四郎さん達と相談しようかな。
次回は真人の弟、秀人目線になります。




