ギャラクティカダーク本格始動
トレーラーの窓からも肉眼でムスリム神国の拠点に急降下するゼロの姿を見ることが出来る。司令室のモニターで様々なアングルで見ることが出来るんだが、はっきり言ってゼロ目線の画像が凄いな。ムスリム神国の戦闘員がパニック状態になっていて酷い有様だ。
低空で大きく羽ばたくと風圧だけで戦闘員達は立っていることも困難で、車や資材も吹っ飛んでいく。あっ、横転したトラックが火柱を上げて爆発した、火薬か爆弾が積んであったんだろうな。
着地すると比較的冷静な奴らが銃火器で攻撃を開始するがゼロの身体には自動小銃やライフルの弾などはBB弾ほども効かない。手榴弾やロケットランチャーもちょっと熱い程度だろう。
尻尾の一振りで建物や移動砲、戦車が破壊され、翼の羽ばたき一回で戦闘員が吹き飛び車両が横転する。
蝿に偽装した88台の移動式小型カメラが混乱の真っ只中にある敵拠点の都市マダスをシラミつぶしに調査する。
ムスリム神国の首魁、幹部の居場所、人質になった各国の政府関係者やジャーナリスト、ボランティアが拘束されている場所、監禁されていたり奴隷のように扱われている市民の居場所等がモニター上の地図に表示されて行き十分足らずでマダスは丸裸になった。
さらにデータハッキング用のイナゴ型端末が敵のコンピュータに取り付き、全ての情報をこちらに送り今日子が電脳人間を使って超高速で処理していく。
「よし! ゼロは広範囲に民間人や捕虜、人質のいる建造物を出来るだけ避けて、移動しながら建造物ならびに敵戦闘員を攻撃!」
「了解です!」
「鷹丸は単体で敵幹部の確保! 出来れば生捕りが好ましいが無理なら死体でもかまわん。ツバメ、ツグミ、ヒバリはチームを組んで民間人及び捕虜と人質の救出。その際、敵幹部を発見した場合は身柄の確保を頼む」
「了解!」「OK!」「はーい」「行きます!」
サイドカー付きバイクが2台混乱の極みにあるマダスの市内に入って行く。鷹丸は単体で3人娘はチームで連携を取って目標地点で行動を開始する。
幸四郎さんが次々と状況を判断しながら指示を出していく。さすがは元職業軍人、指揮官として様になっているなぁ。
ゼロが市街地で暴れまくっている中を俺たちのトレーラーが爆走していく、三人娘に追いつくとすでに多くの民間人、捕虜、人質が解放されていた。地面にはリストにあったムスリム神国の幹部が三人程拘束されて転がっている。
「あっ、みんな来た! だいたい終わったよ」
「今のうちにトレーラーに乗せちゃう? 全部はむりかな」
「なんか偉そうな人、逃げて行ったから捕まえてくるね」
ムスリム神国の戦闘員達は完全に戦意を喪失している。すでにマダスの占拠はほとんど終わったと言っていいだろう。しばらくするとヒバリがボロ雑巾のようになったムスリム神国の幹部を引き摺って帰ってきた。
「ただいまー、なんか鉄砲撃ってきたからボコボコに殴って大人しくさせといたよ」
そして鷹丸が肩に一人担ぎ、左手でもう一人引きずって帰って来る。
「首魁のムハマンドと戦闘部隊のトップを生捕りにしてきた。他にも数名、敵幹部がいたけど抵抗が激しかったので生捕りにはできなかった」
完全勝利だな、戦闘開始から終結まで一時間足らずだ。
「何これ! チート過ぎない?」
「こんなの地球の軍隊や技術じゃ敵わないんじゃない!? この人達が本気出したらいったいどうなるの!?」
ハルとウリアーナが驚愕の声を上げてロトゥフ氏は目と口が全開になっている、漫画だったら顎が地面に着いてるだろうな。驚いてる見学者達を放っておいてデータ解析をしていた今日子が提案を出す。
「こっから北に200キロくらいの所に武装組織新生ムスリム軍の基地があるけど。民間人は居ないみたいだからついでに潰しちゃう?」
「捕虜や人質はいないのか?」
「それは10キロくらい離れた隣の村にいるけど警備兵は二十人くらいだからタカちゃんとクノイチガールズで瞬殺でしょ」
「そうだな本部車両はただちに新生ムスリム軍の基地に向かう、到着予定は約一時間後だから鷹丸達はこちらに戻って身体を休めておくように」
ムスリム神国の戦闘員でゼロとターチの食事を済ませるとトレーラーで新生ムスリム軍の基地に向かう。完全自動操縦なので移動中はオヤツタイムだ。ショーンとジョージーは保護した人々にパンとジュースを配っている。
「今日はガトーショコラにしたニャ、ホイップクリームやアイスクリームのトッピングもあるニャ」
鷹丸達は軽く汗を流してガトーショコラを食べている。みんなで和気藹々とティータイムを楽しんでいる俺たちをロトゥフ氏はなんとも言えない顔で見つめているので声をかけてみる。
「どうした? 手をつけていないがチョコレートは戒律で禁じられていたのか? 一応あんたの分にはアルコールや発酵食品は入れてないはずなんだが、やっぱりハラールされていないと駄目か?」
「いや、俺の宗派は戒律がゆるいからあまり気にしないんだが……ここの雰囲気があまりにも現実離れしていて、思考がついて行けないんだ」
「何かおかしいか?」
ロトゥフ氏はしばらく目を閉じて考え込んだ後ゆっくりと口を開く。
「何もかもが常識の外だ。宗教、思想、文化の違いというレベルを超えている。外宇宙から来た王族? 魂を別の器に移す? とんでもない速度で砂漠や荒地を走り、内部に衝撃も振動も無いトレーラー? 各国の連合軍が手を焼いていたムスリム神国の本拠地を一時間足らずで制圧だと? この目で見てなかったら冗談にしか聞こえないことばかりだ!」
「現実に出来ているんだから問題ないだろう?」
ロトゥフ氏は黙ってガトーショコラを食べ始めた。なぜだか分からないが世の中は目の前の現実よりも、自分達の常識を優先的に思考する人間の方が多い。そんなモノに捕われていたら新しい発見やまだ見ぬ真実を受け入れられないじゃないか。
目的地に近づきミー達がティーセットを片付けるとゼロからの通信が入った。
「幸四郎さん、真人さん次の目標地点には民間人がいないんですよね?」
「ああ、ハエ型カメラで確認も取れている。いるのは武装集団だけだ」
「アレを使ってもいいですか?」
ああ、バスターボイスか。威力を見ておきたいし基地には結構危ない兵器もあるから構わないだろう。
「近くに村があるから鷹丸達が制圧して住民の避難が終わってからにした方がいいだろう。今日子、ハエ型カメラを村に送って鷹丸達に敵の配置を伝えてくれ」
「はいはーい。幸四郎さん、陽動として上空でゼロに旋回させるのはどう?」
「採用だ、手早く終わらせよう」
上空で旋回しているゼロに気を取られている敵をツバメが狙撃、ツグミが入り口に瞬時に罠をはり様子を見に来た兵士を捕獲、村の内部の敵兵は鷹丸とヒバリで制圧、約十分で作戦を終了させて村人を安全圏に避難さた。
準備は整ったな、あとは景気良くぶっ放せゼロ!
次回で中東編終了です




