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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
活動編 ギャラクティカダーク世界情勢に介入しまくる。
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砂漠を舞う鷹

 ヒョエさんから準備完了の連絡が届きいよいよ奪還作戦が開始される。


 俺の合図で集会所から武装した村人達が飛び出し、ムスリム神国の兵士が向かうところを外からロトゥフさん達が挟み撃ちにする極めてシンプルな作戦だ。


 この作戦の成功は俺がいかに敵を混乱させ数を減らせるかにかかっている。屋根の上から敵の様子を見ていると見張りから交代した人間が来ない事を不審に思う者が現れ始め、集会所の前に五人集まっている。


 そろそろ頃合いだろう、俺は貫通力のある棒手裏剣を二本右手に持って八本を革ベルトの鞘に納め、刃渡り二尺の小太刀を左手で持つ。どちらもギャラクティカダークの技術で錬え上げられた軽くて丈夫で斬れ味の良い業物だ。


 屋根の上から小石を蹴り落とすと三人の兵士が俺の方を見上げた、その刹那右手に持った棒手裏剣を投げると同時に屋根から飛び降りる。


 手裏剣は一人の左目ともう一人のこめかみに深々と突き刺さる。両方共、脳に達している深さだ、もう一人は怯んだ隙に小太刀を喉に突き刺して絶命させる。


 残りの二人は肩にかけていた自動小銃を構えようとするが動作が遅い! 一気に間合いを詰めて喉に小太刀を突き刺して仕留める。その流れを止めず姿勢を低くしてもう一人の足下を滑り込んで払い、転倒したところ水月を少しずらしたところに小太刀を突き立てた。


 小太刀が胴を貫通して敵が悲鳴を上げる。敵を呼び寄せるのに調度良い声量だな、心臓を突き絶命させると集会所の向かいの家の屋根に飛び乗って敵兵が来るのを待つ。


 悲鳴を聞きつけて武器を手にした兵士達が駆けつけると死体を見て仲間を呼び周囲を警戒する。頃合いだな、集会所から少し離れたところにいる集団に向かって手榴弾を投げる。


 手榴弾の爆発が合図だ集会所から武装した村人達が飛び出して銃を撃ちまくる。手榴弾に気を取られた兵士は背後から撃たれるのでたまらない。俺は物影に隠れた兵士を小太刀で仕留め外壁に向かう。外壁ではロトゥフさん達が戦闘を開始していた。


 ここに来るまでに手裏剣で三人仕留めたので村の内部の敵兵はほとんど残っていないはずだ。いたとしても村人達でなんとか出来る数だろう。


 俺は塀を跳び越え、棒手裏剣を投げると敵兵の首に命中し見事に絶命させる。背後からの思わぬ敵に動揺する敵に片っ端から棒手裏剣を投げながら走り回り撹乱する、ロトゥフさん達が自動小銃を撃っているので射線に入らないように立ち回った。


 村に入ったムスリム神国の兵士は全員無力化出来たが少し違和感がある、村人達が戦闘に参加したとはいえあまりにも簡単に片付き過ぎだからだ。


 村の兵士を一掃した後はこの村に向かってくるムスリム神国の幹部とその取り巻きを認識阻害で近づき襲撃したがアッサリと片付き全く手応えがなかった。


 拠点で曲者を始末した時には、まあこんなものだろうと思っていたが今回の敵は曲がりなりにも様々な村や町を制圧してきた実績のある軍隊だ。


 隠れ里から出た事が無く世間を知らなかったとはいえ内乱や戦闘行為が日常的に起こる中東地域の先頭集団にしてはあまりにも手応えが無さ過ぎるように思う。


「もっと苦戦すると思ったんですが意外と呆気なく終わりましたね」


 俺がそう呟くと、化け物を見るような目で見るロトゥフさんにニコニコ笑うヒョエさんが悪戯っぽく言う。


「ロトゥフさん、このくらいで驚いていてはこれから起こることについて行けませんよ。鷹丸君も自覚は無いと思いますが君の身体能力と戦闘能力は人間のレベルをはるかに超えています。正直言って物足りなかったんじゃないですか?」


「ヒョエ……お前達は一体何者なんだ?」


「我らは秘密結社ギャラクティカダーク、この世界そのものに変革を起こすものです。その第一歩としてこの中東地域を混乱の極みに陥れるためにやって来ました」


 ロトゥフさんは困惑の極みで口をパクパクとさせている。それを見てヒョエさんは少し済まなそうな顔を見て補足をする。


「あっ! 失礼しました、我々はあなた方善良な地球人に危害を加えたりしません。むしろロトゥフさんのような平和的に地域を良くしよう、交渉や話し合いで争いを治めようとする人達にとっては味方ですよ」


「まあ俺たちを助けてくれたしな、だが鷹丸君と言ったか? あんたは人間なのか? 外壁を軽々と飛び越えたし、あの足の速さ、それに拳銃の弾を普通に避けてなかったか?」


「何かおかしかったですか? 俺は幼い頃から隠れ里で忍者としての修行をしているし、脳を強化しているから一般人と比べると身体能力や戦闘能力が高いんですが……訓練を積んだら拳銃の弾くらいなら避けられるようになりますよね?」


「普通は無理だ! ニンジャって日本の伝説だろう? 本物がいるなんて初めて聞いたぞ!」


「まあ、僕も鷹丸君達風牙の一族を知るまでは、こんなヒロイックな忍者がいるとは思って無かったんですけどね」


 ロトゥフさんはしばらく考え込むと俺に右手を差し出したので俺も右手を出して握手をする。


「あらためて礼を言わせてくれ、ありがとう鷹丸君」


「テロリストに関しては俺も今さっき怒りを覚えところです。集会所でマインという女の子と出会って長老のターヒルさんから彼女の境遇について聞いたんです。幼い子供を人殺しの道具として使うなんて許せません」


「あの子は何とか助かったがテロ組織にいたほとんどの子供は名前も無いまま死んでいったんだ」


 しばらく沈黙が続いたがヒョエさんが話を前に進める。


「ロトゥフさん、この地域でムスリム神国に占領されている町や村は他にもありますよね、あと内戦で疲弊している地域も」


「えっ? ああ! ここからラクダで一日くらいの範囲内で三つの村が占領されていて、一つの都市が内戦に巻き込まれている」


「解放しちゃいましょうよ鷹丸君」


 ヒョエさんが凄く良い笑顔で俺を煽った。


 それから約三ヶ月間、俺は現地の解放組織や傭兵達と協力してムスリム神国を始めとするテロ組織や民間人を先頭に巻き込む軍隊と戦い村や都市を解放していった。


 ヒョエさんは解放した村や都市、助けた一般人や軍人、海外ボランティアやジャーナリストと交渉し、情報収集やギャラクティカダークへの協力を要請している。


 今のところ上手くいっているようだが俺のことを「砂漠の英雄デザートホーク」と偶像化するのはやめてもらいたい。


 拠点であるサバムの村に帰ると真っ先にマインのところに向かう。


 彼女は俺がこの村を拠点として活動するようになってから身の回りの世話をしてくれている。俺のことを慕ってくれていて、よく話をするようにもなっていた。


 俺が村に帰ると毎回笑顔で俺に抱きついて出迎えてくれていたが二週間前に体調を崩し、症状は悪くなる一方だ。ここにいる医師では原因が分からないらしく伝染病の疑いもあるので隔離されている。


 高熱を出して痩せ細り意識もほとんど無いが俺が帰ると嬉しそうに微笑む。


「マイン頑張れ、もう少しの辛抱だ! 来週になったらギャラクティカダークのみんなが来る。真人さんだったらお前を治せるはずだ」


 作戦の決行前に真人さんに頼んでマインを診てもらおう。


 渇ききったこの砂漠で俺を癒してくれた微笑みを取り戻したい。その時の俺はまだ彼女の悲劇の根本を、この世界の腐敗の真実をまだ知らなかった。

次回より中東編スタート。まずはヒバリから第二部のヒロインの座を奪取したハルちゃんのターンです。

重くなり過ぎたので一回軽くします。

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