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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
活動編 ギャラクティカダーク世界情勢に介入しまくる。
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地雷と呼ばれた娘

 夜が明けるとすぐにロトゥフさん達サバム村の自警団一同が小屋を訪ねて来た。総員十九名、さすがに小屋では狭いので自警団が潜伏している岩山の洞窟に移動する。


 状況は今のところは食料や物資をムスリム神国に提供することにより略奪や奴隷としての扱いはされていないというが、それも幹部が到着するまでの間らしい。


 テロ組織とは言っても国家を名乗っているだけあって縦割で階級制の組織であり、上位者からの指示無しで勝手な行動を取ると罰則の対象になるという。


「現在、サバムの村はムスリム神国の戦闘員およそ四十人により制圧されている。村人は全て集会所に集められている、誰も殺されていなければ男部屋が四十七人、女部屋が子供を含めて七十九人だ」


「敵は私たちの倍ですよね、人質を解放すれば勝算があると言ってましたが不利ではないですか?」


「男は全員、戦闘訓練を受けている。女子供を解放して武器を渡すことが出来ればなんとか……」


 穴だらけどころか、ほとんど希望的観測と運任せの作戦とは言えない代物だな。戦闘訓練を受けてはいるが軍人やプロの傭兵には敵わないだろう。


「ムスリム神国はテロ組織とはいえ訓練された軍隊だ、実戦経験も豊富であると聞く。あんた達は只の村人で実戦経験は無いんだろう、なす術もなくやられるのがオチだ」


 自警団一同が俺を睨むが顔色を変えたロトゥフさんが前に出てみんなを落ち着かせる。


「みんな落ち着け! この人の目は危険だ! 諜報機関のエージェントか暗殺者の目をしている」


 今の俺の目を見てそう判断したなら大した眼力だな。ロトゥフさんは只の村人では無さそうだ。


「ロトゥフさんは元はシリアの外交官だったんですよ。アシュラフ大統領が政権をとってからは敵対国との内通を疑われ、粛清、暗殺の対象となり、逃走して難民が集まって作った集落の代表となっているんです」


「外交ルートを通じての対話を内通と言われたらまともな交渉など出来るわけがない。話し合いをせずに力で大国に渡り合おうなんて行為は負の悪循環だ、その結果テロ組織が増え不幸になる民が後を絶たない」


 俺には政治的なことは分からないが彼が民を第一に考え、自らが先陣を切って行動する骨のある文官だという事は理解出来た。


「あんたが優秀な文官なのは分かったが、人質の救出や戦闘においては素人だ。ここは俺の指示に従ってもらう」


「それが良いだろうな。名前を教えてはくれないか?」


「鷹丸だ。ヒョエさん、フライトボードを使って単独でサバムの村に侵入してくる、正午には戻るからそれまで待機しておいてくれ」


 俺は光学迷彩のマントに身を包み、三尺ほどの板であるフライトボードで砂漠を移動する。一人しか乗れないが地面から浮いて音も無く高速移動出来るので偵察や隠密行動にはうってつけだ。



 村は七尺程の石の塀で囲まれており正門らしき場所に銃で武装した兵士が五人、裏門に三人が警戒をしており、交代で塀の周囲を巡回している。


 光学迷彩のマントに全身を隠し塀に近づく、巡回の合間に塀に取り付き内側を覗いたところ見つからずに隠れられそうだ。


 迷彩マントに全身を包みながら塀を跳び越える。もちろん着地もふくめて音は一切たててはいない。


 村の見取り図と照らし合わせ建物と敵の位置情報を確認しながら聞き耳をたてて情報収集をする。


 敵兵は確認したところ四十三名、今のところ村人達は大人しくしており死者は出ていない。


 集会所周辺はさすがに警備が厳重だな、十二人の武装した兵士が常時巡回している。俺はサイコウエーブ「認識阻害」を使い集会所の屋根に登った。屋根の上に一人見張りの兵士がいたが、背後から近づきクナイを喉に突き刺して音も無く仕留める。


 屋根は平らな屋上のようになっていて下に降りる階段がある。仕留めた兵士は目の部分だけが開いた頭巾と全身を包むゆったりとした服を着ていたので身ぐるみを剥がして成りすますことにしよう。


 死体は光学迷彩マントに包んで隅に置いておく。


 兵士の喉と胸口の形を調べ、自分の声帯の形を調整するコイツの声を聞いていなかったの失敗だったが頭巾を被っていればバレることは無いだろう。


 階段を降りると兵士が一人話かけてきた。


「ニダール、交代の時間か? 女部屋に入ったヌマーン達三人が出て来ないんだ、ちょっと見てきてくれないか。俺は屋根の当番に行ってくるよ」


 屋根に登っていく男を手際良く仕留めた後、集会所内の兵士六人を仕留める。完全に油断しているので簡単な仕事だった。


 出て来ない三人が気になるので女部屋に入ると殺気と共に何者かが俺の首を短剣で斬り裂こうとするのをクナイで受け止める。


 相手の手首を返して投げると十歳くらいの少女だった。あの短剣の速度と間合いは訓練された暗殺者のモノだ、頸椎を押さえて動きを封じる。


「先に入った三人はお前が殺したんだな? その殺気ただの村娘ではあるまい、お前は何者だ?」


「この子はこの村の子供です!」


 中東地域特有の民族衣装に身を包んだ女性が凛とした声で俺を睨みつけて言う。あっ! 今の俺はムスリム神国の兵士の姿だった!


 俺は少女を開放すると兵士の衣装を脱ぎ捨て声帯を元に戻す。


「俺はムスリム神国の兵士じゃ無い、あんた達を助けに来た者だ。集会所内の兵士は仕留めてある。外に何人かいるが今のところは気付かれていない」


「東洋人? どこかの軍の人ですか?」


 先程の女性が尋ねる、どうやらこの場のリーダー格のようだ。


「俺は軍人じゃ無い、ロトゥフ氏の協力者だ。そこに転がっているのがその子が仕留めた奴らか? 凄いな、一撃で急所を突き刺している」


「マインにはもう人を殺めさせたくなかったのに……」


「だって、やらないとオバさん達が酷い目に遭わされるもの……」


 おっと、今はそれどころじゃ無い。俺は通信機で状況が変わったことをヒョエさんに伝えすぐに完全武装で村に向かうように伝えた。ラクダでの移動で一時間程だと言うからそのくらいの時間なら大丈夫だろう。


「集会所内の敵は全滅したが外にはまだ三十人程の兵士がいる。男部屋の連中に武器を渡し、ロトゥフさん達が到着次第反撃にうつるのでみなさんはここに隠れていて下さい」


「オジさん! わたしも戦う!」


 マインと呼ばれた少女が真剣な表情で言うが俺は首を横に振り彼女にクナイを一つ渡す。


「お前はここでみんなを守れ」


「分かった!」


 マインは良い笑顔で答えた、こうして見るととても兵士を三人も仕留めたとは思えない。俺は集会所内の武器を集め男部屋に行く、最初は警戒されたがロトゥフさんとヒョエさんの名前を出すと信用してもらう事が出来た。


 反撃の手筈を整えてヒョエさんと通信する、間も無く到着するらしいのでロトゥフさん達の休憩と準備が終わり次第、作戦を決行する事にした。


 作戦開始までに少し時間があるな、気になる事があるので村の長老であるターヒルさんに聞いてみた。


「マインという女の子ですが一体何者なんですか? あの殺気と体術まるで暗殺者だ」


「ムスリム神国や聖地開放同盟などのテロ組織は攫ってきた村娘に産ませたり難民の子を奪ったりした子供を物心つく前からテロリストや暗殺者として育てるのじゃ。その子達に名前など無く役割で呼ばれる」


 俺も産まれた時から忍びの者として育てられたが少なくとも鷹丸と言う名を与えられ人間として扱われていた。修行は厳しかったが集落全体で大事に育てられていたと思う。


「あの子は暗殺者として育てられたのですか? 役割の名前って?」


「あの子は難民や身寄りのない子供だと思い近寄る白人の兵士やボランティアを殺すための役割「地雷(マイン)」と呼ばれていた子供達の生き残りじゃよ。あの子は儂達が保護して愛情を注いだが他の子は全て自爆テロで死に絶えてしまったのじゃ」


 俺は心にテロリストに対する怒りが芽生えていくのをハッキリと感じていた。


鷹丸のターンもう一回です。話が重たくなってごめんなさい!

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