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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
活動編 ギャラクティカダーク世界情勢に介入しまくる。
36/220

ターチの兄は華々しく散りたい

宗教、思想に関する解釈はソメヂメスの個人的なものです。

「ところでターチのお兄さんってどんな感じなの?」


「バイオプラントに居るけど見に来るか?」


「行く行く! やっぱりドラゴンタイプなの?」


 今日子が好奇心に満ちた目をして手を上げると食堂にいるほぼ全員がバイオプラントについて来た。大型水族館のメインになりそうな大水槽の培養液内で身体を丸めている紫色の鱗に覆われた巨大なドラゴンがターチの(プロトタイプ)だ。


「円◯プロダクション製作?」


「倒したら最強の武器とかドロップしそう」


「ラスボス最終形態でも通用するよな」


『造物主様……私があなたにとって最早必要ない存在であることは重々承知しております』


「「「喋った!?」」」


 ついて来たみんなが驚きの声を上げたが、ターチに念話で話しかけた時点で意思の疎通が可能なことは容易に想像出来るはずだ。


『後しばらくすれば、この身は崩れ去り無へと還ることになるのは理解しております。肉の塊のままで朽ちていくのならば良かったのですが心を持ったが故に苦悩しているのです』


 そうか! ギャラクティカダーク号と秘密基地内部は常にメインコンピュータの回線が開いている。ターチの(プロトタイプ)の脳は完成しているから様々な情報が脳に流れ込んで自我が目覚めたという事か。


「とは言っても外に出してやるにはサイズと能力的に難しいんだよなぁ……」


 ターチの(プロトタイプ)は立ち姿勢で全高32m、尻尾を入れた全長は68m、翼を広げれば全幅90mにもなる。


 戦闘能力、飛行能力共にターチよりも上なんだが生体として安定していないので培養液から出すと二、三週間で細胞が崩壊して壊死してしまう。


『私の力は主に破壊の為ですからね、(ターチ)を作る為の礎だと言うことは理解していますし造物主様を責めたり、恨むような事は致しません。ただ一度だけでいいので外の世界に出て思い切り力を振るいたいのです』


 う〜ん、自分のした事には責任を取りたいし、コイツも可哀想になってきたしなぁ。なんとかしてやりたいんだが……。


「中東の紛争が激しい地域、特に国際テロ組織の根城となっている場所で大暴れするというのはいかがですか?」


「ヒョエさん⁉︎」


 不意に声をかけてきたのはヒョエさんこと、社会心理学者の志村 兵衛(ひょうえ)だ。五十一歳で身体は痩せており髪も髭も白いものが目立つから見た目は幸四郎さんより年上に見える。


 普段存在感が薄いんだがみんなが見落としている事に気付いたり、時々斬新なアイデアを出したりと地味に活躍しているんだよな。


 ヒョエさんは世界中を飛び回り社会情勢が精神、思想に与える影響を研究していたが、中東で国際テロ組織「ムスリム神国」に拉致され首を刎ねられそうになったところを幸四郎さんに救出された。


「やはりテロ組織に殺されかけたからか?」


 幸四郎さんの問いに対しヒョエさんは首を横に振る。


「そんな小さい事ではありません、世界全体に広がる原理主義の波に風穴を開けたいのです」


「なるほどねイスラムだけでなくキリスト教や市場、他にも原理主義的な考えが蔓延っているわね」


「それを切り崩して停滞している思想、国際情勢と市場を動かそうって事か……でも、そこまで効果を上げようとしたら派手にした上で周辺各国を巻き込む必要があるな」


 ヒョエさん、和美、浩二が話しているが専門外だからよく分からない。よく聞く言葉だしなんとなくは分かる気がするがそもそも……。


「よく聞くし、ネットとかでもよく見るけどそもそも原理主義ってなぁに?」


 今日子があっけらかんと聞くと、ヒョエさんが説明してくれた。


「元々の原理主義というのはキリスト教の聖書無謬説を称える右派のことなんですよね。要は聖書に書かれていてる事が真実で誤りが無いという思想です」


 その後に和美が元ジャーナリストの知識を使い補足してくれた。


「代表的なのはキリスト教の過激派ね、聖書に基づいて妊娠中絶、同性愛、婚前交渉の禁止ならまだ分からなくはないけど、進化論の否定や天体、自然科学、バイオテクノロジーまで神を冒涜する行為と言って反対してるのよね」


「それが広義の意味を持ち、イスラム教の過激派や市場経済の自由化を謳い文句にする団体にも当てはめるようになった、それが原理主義だよ。悪い言い方をすれば自分達の宗教、思想、主義主張のみが真実でそれ以外は目の前にあっても認めないって連中だ」


 浩二が締めると、ヒョエさんが表情を引き締めて言う。


「中国の政策や、アメリカファースト、韓国の反日、民族や思想の弾圧や差別も広義的には原理主義と言える。中東を選ぶのは原理主義の元となったキリスト教やイスラム教に深い因縁を持ち大国の関与が大きい地域だからです……まあ少しだけ個人的な感情があることも否定はしませんが」


「巨大な龍が暴れることによって宗教的指導者がどう解釈するかも見ものだな。ターチの兄には思う存分暴れてもらうのがいいだろう」


「テロ組織や支援国家、紛争地域と大国にも多かれ少なかれ影響が出るな。今後俺たちがどう行動するかの試金石にもなりそうだな」


 ヒョエさんの提案が受け入れられ、ターチの(プロトタイプ)を中東で暴れさせるを具体的に考えることになった。


「そいつの寿命はあと半年で活動期間はだいたい二、三週間だったよな……決行は三ヶ月後にしないか? こいつを中東まで飛ばしたら目立つだろう? ゴッグ船長とテンタが帰ってくるのが来月初めの予定だから持ち帰った資源で大型ステルス輸送機を作ってそいつを中東まで運ぼうと思うんだがどうだろう?」


 清志の提案にここにいる一同が頷き肯定した。ゴッグ船長とテンタは先月完成した有人宇宙船で月と小惑星に資源を調達しに行っている。


「それまでの間に作戦を立てる事が出来るな、よし! 三ヶ月間で中東情勢とテロ組織の調査をする。偵察機を飛ばすから鷹丸は現地の調査を頼む。ミスティとツバメ、ツグミの女性陣はイスラム圏では動きづらいから日本で今まで通り活動してもらう」


「真人はターチの兄の調整、今日子は情報収集の支援、清志は装備の開発を中心に頼む」


 方針が固まり指示が出てこれからの活動内容が決定したところで、俺は少し引っかかっていた事を質問する。


「ところで、原理主義の話だが科学やバイオテクノロジーを否定するのはキリスト教だけか?」


 和美が少し考えて軽く言う。


「キリスト教でも福音派とカトリックの一部だけよ。どちらかといえばイスラム原理主義の方がそっち方面には否定的かな……って! どうしたの真人さん!」


「ん? ……真人どうしたんだ⁉︎ もの凄い殺気だぞ!」


「そうか! 原理主義者供はオカルティックな物を信じるあまり、科学やバイオテクノロジーを否定する愚か者の集まりかぁ!」


「真人さん! なんか目つきがぶっ殺すっていってるよ!」


「愚か者供を殲滅するならターチの(プロトタイプ)だけでは足りんなぁ! 細菌兵器や宿主を操る寄生虫、3ヶ月もあれば量産型ターチも出来る。そうだ! 清志、大量破壊兵器も頼む!」


 その後、全員に説得され当初のプラン通り地球文明を揺るがす方向でいく事で納得した。原理主義者供にはそのうち科学の素晴らしさ、バイオテクノロジーの偉大さをその身をもって教えてやろう。

ヒョエさんは第5話で名字が、第9話で肩書きのみが出ています。なんか今まで出しそびれていました。

次回はヒバリが主役。

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