えっくすふぁいる2
Xーファイルとはかけ離れた気がする
CIA長官であるノームの元にエージェント、ツポーコンとセネガータが報告に来ている。ツポーコンは今や異星人担当のエージェントでありアメリカ国防省から多くの権限を与えられている。
アメリカ国内全ての政府機関、空港、公共施設にX線検査装置を設置したが異星人に寄生された人物を発見することは出来なかった。イスラム原理主義者による自爆テロを数件未然に防ぐことが出来た程度で、当初の目的は何一つ果たしていない。
セネガータは主に経済産業に関する情報収集が得意なエージェントだ。彼とツポーコンが一緒に報告に来ているということは異星人による経済侵略でもあったのだろうか?
「フリーの産業スパイであるクリーパが消息を絶ちました」
クリーパの名はノームも知っている。どのような企業機密も犯罪ギリギリの方法どころか違法な手段をバレずに使って機密情報を盗み出す凄腕の産業スパイだ、新製品の情報や顧客情報を盗まれた企業は後を絶たない。もちろんギャランティーは破格だ。
「活動中か潜伏中ではないのかね?」
「クライアントであるフランスのバイオ企業に二週間クリーパから何の連絡もありません。クリーパが仕事中に三日以上連絡を絶っことは今までありませんでした」
セネガータに続いてツポーコンが報告をする。
「クリーパが潜入したのは日本のバイオ系ベンチャー企業である「ギンガバイオ」です。起業して半年ですが土壌、淡水、海洋の汚染物質を分解、浄化する植物を開発し驚異的な利益を上げています」
「その企業なら私も知っている、エコロジー産業に革命を起こした企業として連日報道されていたしな」
「ギンガバイオにはクリーパの他にもMSSのエージェントが数名、潜入を試みましたが全て消息不明となっています」
「な⁉︎」
「さらにサイバー攻撃を仕掛けた組織は返り討ちに会い、情報漏洩やデータ破壊などの報復を受けております」
「民間企業、しかも日本のベンチャー企業にしてはセキュリティーが厳重過ぎるな、超一流の産業スパイと中国のスパイが消息を絶ったことも気になる」
「長官、これから流す映像はセネガータの部下が撮影した「ギンガバイオ」の起業説明会及び汚染浄化植物の商品説明会の様子です。汚染された人工島に種子を蒔く画像をご覧下さい」
画面を見ると耕された人工島の土壌に種を蒔く男女の作業員、そして女性作業員の顔が画面に映った瞬間、ノーム長官は思わず立ち上がってしまった。
「キョウコ デモンだと……そんな馬鹿な!……彼女は植物型の異星人に身体を乗っ取られて死んだはずだ!」
驚きの声を上げるノームにセネガータが続ける。
「私の部下が作業員の女性の頭髪を入手する事が出来たのでDNA鑑定をしました、その結果キョウコ デモンのDNAと完全に一致したのです」
「これは一体どういう事なんだ……至急クランボ博士に連絡を取れ!セネガータ、ツポーコン! 早急にギンガバイオについての情報を可能な限り収集するんだ!」
「「はい!」」
後日、CIA本部の会議室にノーム長官によりエージェント、ツポーコンとセネガータ、ミスカトニック大学のクランボ博士が招集された。さらに今回はアメリカ国防省長官であるバンメラクが同席している。
「今回バンメラク長官に同席していただいたのは同盟国であり、多くの米軍基地がある日本に異星人の拠点がある可能性が高いからだ。まずはツポーコン、セネガータ調査報告を頼む」
「まず「ギンガバイオ株式会社」ですが青年実業家であるシンジ ホリエがバイオ科学者であるマヒト アクをスカウトし多額の資金援助により立ち上げた会社ということです。これが表向きの概要ですね」
ツポーコンに続いてセネガータが資料を配り説明する。
「まずは社長であるシンジ ホリエと会社設立の経緯について説明します。シンジ ホリエは10年前ITベンチャー企業ライフウイングを立ち上げ日本国内におけるスマートフォン向けソーシャルメディアサービスの先駆けとしてその名を轟かせました。ですが約2年前、四つ葉グループ総裁である金田 玉春に睨まれ部下の裏切りも有り謀略により失脚。その後行方不明になりますが株式投資等により約3億ドルの資金を入手しギンガバイオを設立しました」
シンジ ホリエについての報告が終わるとツポーコンに交代する。
「続いてマヒト アクについてです。彼は生体工学、遺伝子工学の天才として将来を期待されていましたが人体実験、遺伝子改造、人体改造、強化薬物等、倫理的、宗教的タブーや法律を無視した研究が問題視され一年程前に学会を追放された後は自宅アパートに帰らず、実家にも連絡が無い状態で所在が分かりませんでした」
ツポーコンは続けてもう一人の創業メンバーについて報告する。
「広報のカズミ ホリウチは日本経産新聞の記者でしたが大物政治家のスキャンダルを掴んだ為に命を狙われて1年半ほど姿を隠していました。件の政治家の失踪により表社会に出て来ましたが一年半の間、誰とも会っていません」
「どう考えても怪し過ぎるだろう、三人とも一年以上音信不通の後で会社を立ち上げるなんて……待てよ彼らと異星人との関わりを疑っているのは今のところ我がアメリカ合衆国だけ……」
「長官よろしいですか?」
ノーム長官が思案しているとクランボ博士が資料をいくつか用意して発言の許可を求める。
「まずは謝罪から、以前私は脳に寄生する植物型の異星人と仮説を立てましたが誤りであることが判明しました。申し訳ありません」
「謝罪はいらない、なぜならこの案件はあまりにも謎が多過ぎる。少しでも多くの情報と意見が欲しいんだ、新しく分かった事があるなら遠慮せずに言ってくれ」
「キョウコ デモンの変死体ですが先日採取された頭髪のDNAと照合した結果オリジナルのコピー、すなわちクローンであることが判明しました」
「な⁉︎ では人工島にいた方がオリジナルだと言うのか⁉︎」
「その通りです。そして「ギンガバイオ」の主力商品である汚染浄化植物ですが現存の地球の科学力では再現不可能である事が判明しました。一部に未知の技術が使用されており解析不能だったのです」
一同が頭を悩ませていると意外な所から発言があった。
「実を言うと私の所からも独自に諜報員を出して調査に当たらせていたんだよ」
「バンメラク長官!」
「結果は、記憶を操作されて帰ってきた。MI6も同様にエージェントを派遣したが同じく記憶を操作されたらしい」
しばらく考えた後クランボ博士が口を開く。
「彼等の事について少しですが分かった事があります」
一同が博士に注目する。
「まず、彼らは今のところ我々地球人類に危害を加えるつもりは無いということ。これは「ギンガバイオ」の技術を盗もうとした人間は消されましたが、調査に来ただけの人間は記憶を操作して帰す事により警告している事で分かります」
「スパイは消されても仕方ない存在だしな、サイバー攻撃の報復も痛いが致命傷にならないレベルに留めてあるな」
「次に地球文明の科学力ではとても彼等に太刀打ち出来ない事です。浄化植物、クローン等の生体工学、サイバー攻撃等の情報技術、UFOに見られるオーバーテクノロジー。有人宇宙船を大気圏外に出すのに苦労している我々とはレベルが違い過ぎる」
「兵器に関しても我々の遥か上を行く事は間違い無かろう、武力衝突は絶対に避けるべきだ」
バンメラク長官が神妙な面持ちで言う。
「そして彼等の拠点が日本のS湾周辺にあり「ギンガバイオ」をフロントカンパニーとして活動してることです。半年前にS湾に落下した隕石ですが大気圏再突入時の電波障害が異常なレベルでした。宇宙船もしくは物資の輸送を擬装した可能性が高いと思われます」
「よし、この会議の内容は国家最高機密とし大統領に報告する」
後日、カーネル タロット大統領とごく一部の閣僚及び専門家による秘密の会議が行われ以上の事が決定した。
日本政府に異星人に関する情報を提供し監視、対応等協力体制を取る。
異星人の拠点と思われるS湾周辺に横須賀基地から定期的に艦艇を巡回させ監視を行う。なお日本の海上保安庁及び自衛隊にも協力を要請する。
日本に政府高官を常駐させて即応体制を取る。在日米軍の増員。
異星人の関係者と見られる人物とは積極的に接触しない。何らかアクションがあるまでは監視のみに留める。
これらはすぐに実行されたが、中国、ロシア、北朝鮮に誤解を与え少々緊張が増したことは言うまでもない。
「アメリカさんも無能じゃ無いな、こちらの事をマークした上で慎重に行動している」
秘密結社ギャラクティカダーク秘密基地の作戦司令室で幸四郎がモニターを見て言う。CIA、ホワイトハウスでの秘密会議の内容はギャラクティカダークに筒抜けだった。
「まあ、ビビって様子見してるんだからいいんじゃない?」
今日子の軽口を聞き流しルークユニコーンが幸四郎に話す。
「とりあえずこの星で一の大国に我々の存在が認知されたのは間違いない。これからどう動く幸四郎?」
「銀河バイオとその幹部の裏に異星文明の影がある事に気付いた程度のことだ、小さな事からコツコツとやるさ。スパイを寄越した中国と英国も何か気付くかもしれんし、これからが楽しみだな」
次回は忍者の皆さんの出番




