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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
始動編 ギャラクティカダーク活動開始
30/220

僕の居場所

今回は今日子さん目線です

「はあぁぁ〜やっぱり大っきなお風呂はいいなぁ〜」


 完成して施設が充実したことで、ギャラクティカダーク秘密基地はとっても居心地のいい場所になった。


 僕が立ち上げたカレー党が見事、食堂のレギュラーメニューにカレーを入れる事に成功したし。欲しい施設アンケートNo.1の大浴場も設置された、しかも天然温泉! 地下基地だから露天風呂が無いのが残念だけど総檜造りの贅沢仕様だから全然OKだ!


 一番風呂に来たのは僕とおカズさんとキリ子さんの3人、もちろんおカズさんは和美さんでキリ子さんはミスティ。やっぱり親しみを込めてアダ名で呼ぶのは僕の流儀だからね。


 出来上がった大浴場に見とれていて入るのを忘れているてと、ふと隣にいるオカズが目に入る……けしからん! 僕はおカズさんの身体に巻いたバスタオルを勢いよく引っ剥がす!


「きゃん⁉︎ 何するのよ今日子ちゃん!」


 可愛い声で悲鳴をあげて胸を両手で隠してしゃがみ込む。ムフフ、いつものピシッとしたスーツ姿もいいけど、こういうのも可愛らしくていいですなぁ。


「バスタオルで身体隠すとは天然温泉に対する冒涜だよ! 女同士なんだから何を恥ずかしがるんだよ……まさか! 乳首がすっごく長いとか⁉︎」


「普通よ! 普通! 人前で裸になるのが恥ずかしいだけよ!」


「風呂に入る時は裸が当たり前だろ。私の星では町に出る時や儀礼の時以外は基本的に服は着ないぞ」


「キリ子さんとこの星の種族は裸族だったんだ」


「私は服着ることには慣れたけどな。そう言えばテンタはずっと裸なのに何で誰も注意しないんだろう?」


 えっと……とりあえず、お風呂入ろうか。


「ふえぇぇぇ、やっぱり大っいお風呂はいいなぁ。一番風呂は最高だねえ、天然温泉だし」


「お風呂の他にもリクエストされた施設はほとんど作ってくれたみたいよ。それに外に出れるようになったし、現金支給や休日も考えてくれてるらしいわ」


「ホントにウチってホワイト企業だよね」


「ホワイト企業が何か知らんがイーマブルグ殿下が民のために善政を行う立派な為政者になるのは間違いない。ルーク殿と幸四郎殿も信頼出来る上官だし、ここは本当に居心地がいい」


「今日はミスティよく喋るわね。いつも寡黙なのに」


「理由はよくわからない、強いて言えばイーマブルグ殿下を始めここの人間が気に入ってるからかな」


 こんな感じで女子三人で長風呂しながらおしゃべりするのは楽しいな。脱衣所で服を着ながら、おカズさんが唐突にしてきた質問にちょっと動揺しちゃったよ。


「今日子ちゃんって、みんなのことアダ名で呼ぶけど幸四郎さんと真人さんだけアダ名つけてないよね、幸四郎さんは分かるけど真人さんは何で?」


「何でって、えっと….…科学者グループのリーダー的存在だからかな」


「ふーん……」


 明らかにキョドッてたけどおカズさんが流してくれたから助かったよ。べつにいいんだけど僕にだってあまり人に言いたくない事の一つや二つくらいあるからね。



 自分の部屋に帰ってゴロンと転がる、部屋の内装についても個々の要望を聞いてくれた。僕の部屋は八畳の畳部屋で家具は最小限にしている。


 天井を見上げて昔の事を思い出していた……真人さんのことは意識せずに昔と同じように呼んでいたな……真人さんが僕の事を分からないのは仕方ないけどね。




「キョウちゃん⁉︎ また髪の毛切り刻んだの⁉︎ 手も血だらけじゃないの⁉︎」


 看護師のお姉さんが僕の手からハサミを取り上げて床に散らばった髪の毛を掃除する。僕は処置室に連れて行かれて手と腕の治療をうけて髪の毛を刈りそろえられて完全に坊主頭になった。


 いつものことだ、僕は特殊な事情があって自傷行為を繰り返していたので児童精神科の権威である麻木先生のいる県立病院で入院している。


 僕の母親が優秀な子供だけが欲しいと精子バンクから優秀な男性の精子を買って体外受精させた後、違法に遺伝子操作をして生まれたのが僕だ。


 母は男性を毛嫌いしていたが子供は欲しかったらしく知り合いの大学教授に頼んで僕を作った。丈夫な身体、整った容姿、優れた頭脳を兼ねそろえる為に遺伝子をいじくられて僕は生まれたんだ。


 確かに学校では何をやっても一番だった。勉強も運動も簡単に熟ていたし小学四年生になると中学受験の塾の入塾テストで全問正解だった。母は僕が優秀である事を望み、僕も全力でそれに答えていた。


 そして母にトップの成績で塾に合格したことを伝えに帰った日、母は帰って来なかった。現代日本では男性に勝てないことに絶望してどこかで自殺したらしい。


 それから僕は祖母の家に引き取られた。お婆ちゃんは優しい人だったが母の死は僕の人生を狂わせた。


 お婆ちゃんの年金では塾に行く事も出来ないし私立の中学に通う事も出来ない、そして何故か僕が遺伝子操作で生まれた人間だという話が転校先の学校で広まったんだ。


 母の自殺、目標の喪失、学校でのイジメで僕の精神はズタズタになって自傷行為や奇行を繰り返すようになった。祖母は知り合いの紹介で僕を県立病院に入院させた。


 僕の病室は二人部屋で同室は篠原 葵という五歳の女の子、無表情で目に生気が無かった。僕の遺伝子をいじくった教授の娘で僕以上に遺伝子をいじくられているらしい。


 僕らの病室は他の子達とは離れた場所にあった。看護師も必要最低限しか寄り付かない。唯一親身になってくれたのは主治医の麻木先生とカウンセラーの森さんだけだ。


 仕方ないよ僕らは遺伝子操作で作られた化け物なんだから……。


 奇行と自傷、カウンセリングと治療で過ぎていく毎日。そんなある日、関係者以外誰も近づかない僕らの病室に若いお兄さんが訪ねてきた。


「篠原 葵ちゃんだね、はじめまして僕は阿久 真人。君のお父さんの教え子でTH大学の学生だ」


 葵ちゃんに自己紹介をした阿久 真人と名乗る学生に僕は感情むき出しで突っかかっていた。


「あいつは今どこにいるんだ! あいつのせいで僕らは遺伝子操作されて生まれたんだ! あいつのせいで僕らは普通に生きれない! みんなから化け物扱い……うえぇぇぇぇ」


 思ってる事を吐き出しているうちに涙が溢れてきて、気がついたら声を出して泣いていた。葵ちゃんが泣きそうな顔で僕の背中を優しくさすってくれている。


 突然、お兄さんがしゃがみ込んで僕達二人に目線を合わせる、顔が近い。ドキッとして一瞬涙が止まる。


「化け物で何が悪い? 普通に生きないといけないって誰が決めたんだ?」


「「へっ⁉︎」」


「葵君が精神を病んだと聞いて来たんだが……キョウちゃんと言ったかな? 君も篠原教授の……処置を受けたんだろ?」


 作品って言いかけて言い直したのは丸分かりだったけど、この人が僕達を奇異の目で見ていない事はよく分かる。


「可哀想に……馬鹿で愚かな大人達や低脳で群れて同じる事しか知らんクソ餓鬼共に迫害を受けて来たんだな……」


 お兄さんの言葉にに僕らは完全にフリーズしていた。今までこんな事を言う大人はいなかった、それに僕らは悪くないってはっきり言ってくれている。


「お兄さん……」


 僕の目からさっきとは違う涙が溢れて来た。すると葵ちゃんも涙を流してお兄さんに抱きつく。


「お兄さん、僕達生きていてもいいの?」


「当たり前だ! 君たちは優秀な人間になる為に生まれたんだ! 愚民共がなんと言おうとその才能を活かして好きなように生きればいい」



 それから真人さんは週に二、三回は僕等に会いに来てくれるようになった。勉強を教えてくれるし、僕等が色々な事に興味を持てるように色々な本を持って来てくれた。


 やっぱり葵ちゃんは凄い、五歳なのに将棋や囲碁を覚えて一般病棟のお爺ちゃんや病院の先生達に完勝するようになったし、英語、中国語、フランス語も日常会話レベルはマスターした。身体を使った事もすぐに覚えて、手先も器用だ。


 僕も葵ちゃんほどじゃないけど人よりも器用で物覚えも良い方だ、特にコンピュータプログラムや電子機器が好きになってプログラミングや電子工作はちょっとした大学生レベルになっていた。


 麻木先生や森さん、真人さんの働きかけもあって病棟ないでも奇異の目で見られるより神童として扱われる事が増えてきた。



 そして、奇行と自傷行為の無くなった僕は退院してお婆ちゃんの家に帰る事になったんだ。葵ちゃんともすっかり仲良くなったから寂しいし、真人さんともお別れか……。


 今思えば、真人さんや葵ちゃんと連絡先を交換すれば良かったんだけど二人との別れが悲し過ぎてバッサリと切り捨てる事にしたんだ、しばらくして激しく後悔したけど。


 退院の日、二人は僕の決意を分かった上で見送ってくれた。


「キョウちゃん、僕の初めての友達……またいつか会えるよね」


 葵ちゃんの目からは涙が溢れていた、僕の目からも同じように溢れている。


「うん……いつかまた会おうね」


 真人さんは僕にノートパソコンを手渡した。


「餞別だ、キョウちゃんは顔立ちがいいからイケメンになると思う、これからIT系は人気職になるからモテるぞ」


 真人さん僕の事やっぱり男の子だと思ってる。最初に会った時は丸坊主だったし今も男の子みたいな髪型だしな、まあいいけど。


「真人さん、今までありがとう! 僕は優秀な人間なんだからこれからは好きなように生きるよ! 元気でね!」


 笑顔で手を振って別れたけど帰りの電車の中では涙が止まらなかった。


 それから僕は誰が何と言おうと好きなように生きた。もちろん悪い事したりグレたりしない、好きなマンガやアニメ、ゲームしたり真人さんに貰った当時としてはハイスペックのノートパソコンで色々やった。


 学校の成績は常にトップで、県立のトップ校から国立のN大学に進学したけど色々あってテロリスト。幸四郎さんに拾われてここに来てメインコンピューター任されて人生大逆転!


 そしてギャラクティカダーク号を生き返らせるために科学者を選別する論文と計算式をばら撒いたところ、課題をクリアして候補に挙がったのは……なんと真人さんだったんだ!


 正直言ってパニクった。まさかこんな所で再会出来るなんて! でもキョウちゃんは男の子だと思われてたし! 頭抱えてその辺を転がりまわったよ! あれから何年も経ったけど僕がトキめいた異性は真人さんだけなんだから!


 結論は初対面だと言う事にして一から始めよう、同僚として一緒に働けるんだし。それに……別れのとき好き勝手に生きるって宣言したんだし自分らしくやっていこう。



 そして今に至る訳なんだけど……今、僕は人生で一番幸せなんじゃないだろうかイーマ様とミレ姫は可愛いし、幸四郎さんの事はお父さんみたいに思っている。


 他のみんなも気が合うし、電脳人間になったり、秘密基地作ったりと色んな事が出来て本当に充実した毎日だ。


 部屋の押入れには真人さんに貰ったノートパソコンがまだある、スペック的にもう使えないけど今でも僕の宝物だから。


 髪を指に巻きつける、結構のびたけど肩くらいまで伸ばそうかな。


 そろそろ布団を敷いて休もう、明日は何をしようかな? ここは僕の好きな事が出来て、僕の仲間がいて僕の好きな人がいる。


 秘密結社ギャラクティカダーク……やっと見つけた僕の居場所。


次回は、えっくすふぁいる2です。

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