アイマイミイ
「さてと具体的にどうするかだが、まず清志にはソウルコアを定着させるコアブロックの製作を手伝って欲しい。定着部分は生体部品だが制御装置はメカなんだ。そして今日子にはOSを作って欲しいんだ」
「何のOS?」
「王国のデータベースからミガモクツ族について検索してみてくれ。ソウルコアで生まれて機械の身体に人格を定着させる種族なんだ」
「はいは〜い。なにこれ? ……面白〜い! なるほどねえ、要は今から直人さんとキヨピーが作るコアブロックがスマホだとしたらソウルコアがSIMなんだあ。ちゃんと思考と感情を制御するOSが必要なんだね」
「異文明の技術だけど大丈夫か?」
「なかなか面白そうだし技術的にはそんなに難しくないよ。それに知識や技術もアプリみたいな感じで付けれるから便利だよ」
「付与する知識や技能に関しては後で話し合うから、とりあえずOSを頼む」
「あいよ〜☆」
俺は清志とコアブロックの製作を始める、清志は大型エンジンから精密機器まで幅広く設計、製作する事が出来る。ミガモクツ族のデータを参考にして設計図をあっという間に書き上げた。
清志のサイコウエーブ「クリエイティブエンジニア」で工業プラントにアクセスして精密部品を次々に生産していく、そして俺もバイオプラントで生産した生体部品を新しく作った総合制作室で組み立てる。
総合制作室は各種製造機器と培養カプセル、調合設備、各種電子機器を備えた、俺たち3人の技術を結集させる為の施設だ。
コアブロックの部品がそろった頃、視界が赤く染まった。残念だが今日はここまでだな、食事の用意は相変わらず幸四郎さんがしてくれている。
「幸四郎殿も大変だな、リーダーとしての仕事だけではなく炊事や家事全般も引き受けてくれて」
「でも、これから本格的に地上に出て活動するとなったら幸四郎さんも指揮官、まとめ役として忙しくなるから今まで通りには出来なくなるなあ」
「前に幸四郎さんが言ってたけど、ゆくゆくは料理人や家政婦を雇いたいって言ってたよ」
幸四郎さんが作った筑前煮を食べながら話をする。今日子がゴボウを俺と清志の皿に放り込むのを阻止しながら食事をすすめて今日子が最後に残ったゴボウを半泣きで飲み込んだら食事終了だ。
「じゃあ明日、午前七時に食堂に集合だ。清志、アイドル育成ゲームはホドホドにしとけよ」
シャワー浴びて寝床につく、正直言って風呂もほしいな。今日は明日に備えて早く眠ろう。
おじさん……おじさん……。
ひさしぶりの金縛りだな、脳を端末化している俺には3人のソウルコアの存在をハッキリと認識する事が出来る。
「どうしたんだ? 俺に直接コンタクトをとって、それと俺はおじさんと呼ばれるほど老けてない! 博士と呼びなさい」
「ごめんニャさい博士、お話したい事があるニャン」
「猫か……お前が代表か?」
「ニャんで分かったニャ? うちが十三歳で一番年上だからニャ」
「まあいい、要件はなんだ? 早急に言え、明日はお前達の身体を作る作業をしないといけないんだ。睡眠が滞ると作業に差し支える」
「ニャンで優しくしてくれるニャ」
「お前達に優しくした覚えなどサッパリ無いんだが」
「だってだって、私たちを消したり出て行ったりしないで認識してくれたじゃない! それで私達消えずに済んだんだよ」
「お姉ちゃんの言う通りだよ! その上で今度は私たちの身体を作ってくれるなんて……」
今度は姉と妹か、確か十歳と八歳だったな。激しく勘違いをしているみたいだからちゃんと言っておく必要があるな。
「お前達を消さなかったのは特に気にしてなかったからだ、そして身体を作るのは俺の研究テーマにお前たちの存在がピッタリと当てはまったからだな。結果的にお前達を存続させることになるが、あくまでもソウルコア……魂の研究のためだ」
「でも恩義はあるニャ! うちは妖怪化したから分かるニャ魂が消えるのは嫌なことニャ! この恩は返さなきゃならないニャ!」
俺としては肉体を失ったソウルコアが認識により存在出来るとか、強い思いを持ったソウルコアは変質するとか、貴重なデータを取ることが出来たから充分ありがたいんだが……ん? そう言えば……。
「ならば身体を与えたら俺達のために働くというのはどうだ?」
「お安い御用ニャ!」
「一生懸命にはたらくよ!」
「私も!」
「契約成立だな、俺は明日に備えて寝るから邪魔しないでくれよ」
とりあえず睡眠は必要量取れたので七時に食堂に集合して清志と今日子と一緒に朝食を食べながら昨夜の話しをする。
「なるほどなぁ、でも働くと言っても猫と子供だろ? 大丈夫なのか?」
「キヨピー、魂……ソウルコアはSIMみたいなもんだから機械の身体の身体能力や器用さを向上させて、技能はアプリとしてインストールすれば大概の事は出来るよ」
「それで提案なんだが、幸四郎さんが料理人や家政婦を雇いたいって言ってただろう……」
俺が言い切る前に2人がガタッ! と音をたてて立ち上がる。
「了解だ、真人! あらゆる家事が可能な汎用性に富んだメカニズムを構築してやる! サイズとデザインは生前の姿に近い方が良いだろう、エネルギーシステムや外見は生体部品を使い人間に近い見た目が望ましい!」
「プログラムは任せて! 家事のプロの技能! 有名シェフの技術からお婆ちゃんの知恵袋まで全て入れちゃうよ! 外見のデザインはうんと可愛くして地球製なんかオモチャレベルの高性能3Dプリンタで造形するから!」
2人はそう言うと朝飯を急いで食べて持ち場に急ぐ。テンションが上がりまくって「「メイドロボ♪メイドロボ♪」」と楽しそうに口ずさんでいた。
俺もコアブロックの組み立てをしてソウルコアを定着させる。成功を確認したので生体部品と機能の製作に取り掛かるか。
そして5日後に無事完成した。
姉は小学校高学年くらいのポニーテールの可愛い女の子で水色のメイド服。髪には大きな赤いリボンをつけている。名前はアイ。
妹は姉より一回り小さい元気そうな女の子、ツインテールの髪にピンクのメイド服。名前はマイ。
猫は中学生くらいで黒い猫耳猫尻尾の美少女で黒のメイド服、首輪をつけていて鈴が付いてある。生前に着けていてお気に入りだったらしい。名前はミイ。
名前は生前のモノをそのまま使っていて衣装と容姿のデザインは清志と今日子の渾身の作品らしい。
さっそく三人はせっせと働き出した掃除、洗濯、炊事を完璧にこなし、料理のレパートリーも豊富だ。
最初は見た目が子供なので抵抗がある人間もいたが三人とも明るく笑顔で楽しそうに働いているので一応週間もしたら「いつもありがとう」「お疲れ様」と労いの声をかけて良好な関係を築いていった。
良好な人間関係が構築されているので三人とも嬉しそうだ、ソウルコアも活性化しているし非常に良いデータが取れている。
「ところでエネルギーは何なんだ? コンセントで充電とか?」
元経営コンサルタントの斎藤 秀樹が質問をしてきた、三十歳で人なっこい雰囲気の男だ。
「いや、普通に食事だよ。エネルギー変換システムの相性の問題で炭水化物、糖、油、タンパク質の組み合わせが好ましいな。あ、丁度今からエネルギー補給するところだぞ」
アイ、マイ、ミーの3人は三段重ねの大きなホットケーキを食べている、飲み物はホットミルクだ。
相性の良い食物がお菓子になったのは偶然なんだが、清志と今日子は「「わかってるねー!」」と嬉しそうだった。
「じゃあ排泄も人間と同じようにするんだ」
秀樹の一言に対し俺と今日子、清志はガタンッと大きな音を立てて立ち上がる。
「コイツらのエネルギー分解、変換システムは完璧だ! この俺が排泄が必要とするような非効率なシステムを作るとでも思っているのか!」
「美少女はウ◯チもオ◯ッコもしないんだよ!」
「我が愛しき娘達に不浄な穴など無い!」
秀樹は完全にビビって尻もちをつく。
「すっすっすっすいませんでしたぁぁぁぁぁ!」
何はともあれ家事はメイドロボが引き受けてくれるので幸四郎さんはリーダーの仕事に専念できるし、清志と今日子も楽しそうだし、俺も有意義なデータが取れたのでメデタシメデタシだな。
読んでいただきありがとうございます。




