えっくすふぁいる
CIAのエージェント、ツポーコンは異常事件分析の専門家であるクランボ博士の呼び出しを受けマサチューセッツ州アーカム市にあるミスカトニック大学を訪れていた。
クランボ博士は不可解な事件をあらゆる方向から分析するエキスパートでありCIA、FBIの依頼で様々な難事件の解決に貢献している。
その中には国家最高機密も多く含まれており今回もある怪事件の分析を依頼している、その結果が出たのだろう。
一年前に起きた全世界を標的にした大規模な無差別サイバーテロ事件。汎用性が高くセキュリティーも万全な情報処理システム「ミス・トゥデイ」に悪質なウイルスが撒かれ世界中が混乱の渦に巻き込まれた。
民間で広く使われ、上位バージョンはほとんどの国家で使用されていた「ミス・トゥデイ」に侵入したウイルスは国家、企業の機密情報や個人情報をSNS上に無差別に拡散した後データを破壊する悪質極まりない物であり、米国では復旧作業と後始末に半年が費やされた。
CIAを始めとする各国の諜報機関は総力を挙げてテロリストの捜索をしたところ、日本の国立N大学の大学院生キョウコ デモンにたどり着いた。
キョウコ デモンは「ミス・トゥデイ」の開発者である横島教授に師事しており基本構造は理解していたと思われる。大学院生である女性にあれほど大規模なサイバー攻撃を仕掛けられるとは考え難いので背後にテロ組織や国家が付いていると見るのが妥当だろう。
そして調査を進めると無差別サイバーテロの一年前に大学に対しサイバー攻撃をしかけ横島教授と大学首脳陣を失脚させていたことが分かった。
エージェント・ツポーコンはキョウコ デモンとコンタクトを試みるが彼女は逃走する。モサドのエージェントに協力を要請しN港の倉庫地区に彼女を追い詰めたその時だった。
突如上空にUFOが出現しキョウコを光線で内部に取り込んで飛び立ってしまったのだ。誰もが我が目を疑ったがCIA、モサド合わせて5人が目撃しており、サイバーテロ事件は実行犯と見られるキョウコ デモンが宇宙人に拐われ迷宮入りとなった。
だがその事件から約1年後、CIA本部の目と鼻の先でキョウコ デモンの変死体が発見されたのだ。
細菌や放射の危険性を考慮し、変死体は速やかに設備の整ったミスカトニック大学の研究室に空輸された。担当スタッフは全員、対放射能、対細菌の防護服を身にまとい、発見現場と輸送機は念入りに殺菌処置が施された。
そして数日後、当時の調査担当だったツポーコンが分析結果の報告を受けるためクランボ博士の研究室に招かれたのだ。
「エージェント、ツポーコンよく来てくれた。早速で悪いがこの女性キョウコ デモンがCIAにマークされた理由とUFOに連れ去られた経緯について詳しく聞きたい」
ツポーコンは博士に包み隠さず全てを話した。
「なるほどな、これでパズルのピースが全てそろった」
「博士、キョウコ デモンの変死体で何か分かったんですか?」
「ツポーコン君、事態は極めて深刻だ! アメリカ合衆国、いや! 人類の存亡に関わるかも知れない! すぐにCIA長官にアポを取ってくれ! 直接話しがしたい!」
大至急用意された軍用ヘリコプターでミスカトニック大学からCIA本部に飛ぶとすでに会議室の用意がされており、そこではノーム長官が待っていた。
「クランボ博士、緊急事態だと聞いてすぐにスケジュールを空けたが何事かね? 君の実績を信用して時間をとったのだが、キョウコ デモンの変死体から何が分かったんだ?」
「まずはこれを見てください」
モニターにキョウコ デモンの変死体が映し出される。外見に損傷は見当たらないが映像の角度を変えると頭部から一直線に切られていて脳をはじめとする中枢神経と全ての臓器が抜き出されている。
「キャトルミューティレーションというやつか? その変死体から何か分かったのかね?」
「エージェント、ツポーコンの報告とCIAのキョウコ デモンに関する調査資料、そして今回の変死体から導き出された答え……サイバーテロ事件が起きた時点でキョウコ デモンは彼女であって彼女では無かったのです」
「どういうことだ博士? 話しが全く見えないんだが」
博士は机の上にに厳重に密閉されたガラス瓶を置いた中には植物の根のようなものが液体に浸されている。
「これは空洞になった彼女の体内から数本発見されました、時間が経過したためか乳酸発酵していますが鑑定の結果アブラナ科の植物に極めて近いDNA配列をしています」
博士は深く息を吐き質問を投げかける。
「2人共、冬虫夏草と言うものを知ってますかね?」
「中国の健康食品だったかな?」
「昆虫に寄生する菌類、まあキノコですな」
しばらく思案していたノーム長官の顔色が変わる。
「まさか! 人間に寄生する植物⁉︎」
「それも異星のモノと考えられます。脳と臓器はおそらく根が張り巡らされていたのでしょう。この変死体の状態は植木鉢の植物を中の土ごと植え替えた後の姿と見て間違いないと思われます」
博士の説明を聞いたツポーコンが全身に脂汗をにじませ震えながら言う。
「ではあの時、キョウコ デモンは連れ拐われたのでは無く仲間に回収されたということなのですか!?」
「植物が進化した極めて知能が高い知的生命体だと推測されます。彼女は数年前に体と人格を乗っ取られたのでしょう。調査資料によれば彼女の様子はサイバーテロ事件前の数年間、何一つ変わったことは無かった」
「つまり記憶や人格さえも掌握出来ると言うことか! 大学院生にあのようなサイバーテロ事件が起こせるはずが無いと背後関係を調べていたが何も分からなかった……まさか異星人の仕業とは!」
会議室は言い様のない緊張感に支配されていた。しばらくしてノーム長官が重い口を開く。
「奴らの目的は何なんだ?」
「現時点では断定出来ませんが今のところは我々の調査、研究でしょうな。サイバーテロを仕掛けたり変死体をCIA本部の近くに捨てたのも我々地球人類の反応や対処能力を観察するためでしょう」
ツポーコンが真っ青な顔でとんでもない事を口から漏らす。
「乗っ取られたのは彼女だけなのか? 他にもいたとしたら……」
ノーム長官が緊急回線で直ちに大統領へ国防委員会の招集を要請すると、部下に命じ速やかにCIAの全エージェントと職員のX線検査を行った。異星人に乗っ取られた人間が味方に紛れ込んでいる可能性はゼロでは無いからだ。
直ちに対異星人対策本部が設置されアメリカ全土の行政機関、軍、警察、公共機関にX線検査装置が設置された。
様々な対策が議論されたが難航したのは事実を国民に公表するか否かと、異星人と接触した場合の対処法だ。
国民及び同盟国への公表は当面見送ることになった。パニックの防止と経済活動への影響を懸念しての事だ。
異星人と接触した場合の対処方は議論されたが、刺激しない、可能であれば交渉の席を設けるくらいしか出なかった。
異星人の目的が分からない以上、後手後手に回るしかない。
アメリカ合衆国政府は対異星人の機関を新設することを決定し多額の予算を投入する事を決定した。
一方その頃ギャラクティカダークの面々はチョコフォンデュを楽しんでいた。
「ところで今日子、何でクローン死体にタクアンのヒゲなんか入れたんだ?」
今日子はバナナを丸ごと一本フォンデュして頰ばり顔をチョコまみれにしていた。
「なんとなく、監察医や学者が見つけたら深読みして面白いかなぁと思って……でもまあ大した事はないか♡」
XーファイルはFBIじゃ……とかは言わないで下さい。
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