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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
始動編 ギャラクティカダーク活動開始
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松戸 清志

 俺はいつものように学食で学生達に囲まれて昼飯を食っている。いつもと違うのは学生達がやたらと俺のことの健康を気にしていることだ。


「松戸教授! 研究室で倒れてたって聞きましたけど大丈夫なんですか?」


「過労って聞きましが、学部長や企業から無茶振りされたんじゃ」


「なにかの病気が原因とかじゃないですよね?」


 俺は自分で言うのも何だと思うが俺に師事したくてこの大学を志望してくる学生が大勢いるくらいの著名な研究者だ。3日間入院していたので学生達にもの凄く心配されている。


 先週の金曜日から大学の研究室にこもっていて月曜日の午前に意識不明でぶっ倒れているところを准教授に発見され、屈強なラグビー部員達に医学部付属病院に担ぎ込まれて3日間入院していた。


 原因は過労だ、何せ金曜の夕方から月曜日の朝まで、不眠不休で研究室のパソコンにかじりついていたからな。警備員に絶対研究室に立ち入るなっ! と指示したのが原因でもある。


 原因の論文と数式はパソコンから完全に削除されていた。俺が返信した論文も回答した数式も綺麗サッパリと消滅している。


 あれは一体何だったんだ? 相対性理論を覆し物理法則に革命を起こす理論と今までの数学が算数レベルに感じるような数式、アレを研究し実践する事が出来ればSFに出てくるような超技術を現実の物にする事も可能だ。


「教授! 教授! 大丈夫ですか⁉︎ 海老フライ咥えたまま固まって、やっぱりどこか悪いんじゃ……」


「だっだっ大丈夫だ、考え事をしていただけだから心配するな」


 完全にトリップしてたな。しかしあの論文と数式は確かに存在したんだ夢や幻じゃない。


 俺は落ち着きを取り戻すために学生のサークル「ローリングイノセンス」の部室を訪れた。本来、学生のサークル活動に干渉するべきでは無いのだが、あまりにもの邪悪な行為を見るに見かねたので俺が乗り込んで健全化を推し進めたのだ。


 部室に入ると壁一面に魔法少女物や幼女、少年が主人公のアニメや漫画のポスターやイラストが貼られている。


 そう! ここはロリとショタをこよなく愛するものが集うアニメ漫画サークルだ。数年前、少女を性的対象とした同人誌を発行したメンバーがいた為、この俺が正義の鉄槌を下したのだ!


 種から芽吹いて間も無きの初々しい双葉の時期、その儚く美しい様を手を触れず守り見守るのが紳士の嗜み! たとえ架空の創作物であっても性的対象として見るなど言語道断!


 そういえば悪徳政治家が反社会勢力と結託し、少女を誘拐して売春させる組織を運営していたとニュースでやってたな。政治家は行方不明らしいが発見次第射殺、顧客と運営は全員死刑で良いだろう。


「教授! 倒れられたと聞いたでヤンスがもう大丈夫でヤンスか?」


「元気そうで良かったなりよ」


「教授が無事でほんとーに安心したにゃん」


「うちらは松戸教授のおかげで真のショタ愛に目覚めたのなの」


 男女合わせて8人のメンバーが出迎えてくれる。現メンバーは俺の考えに賛同してくれた心あるロリショタ愛好家ばかりだ。ついつい夕方まで熱く語り合ってしまったが気分はだいぶ落ち着いた。


 帰りの支度をする為に研究室に戻ると、応接用のソファに白衣の男が座っていた。普通に不審者だが俺は怪しく思う事も無く自然に男に話しかけていた。


「あのレポートを送ってきたのはあんただな?」


「正確には我々の組織だ、論文の内容を完全に理解し数式をクリア出来る人間を探していた。返信を見させてもらったが全て理解出来ているようだな」


「何の組織かは知らんが、今までの常識を覆す理論だ。頭の固いジジイ共には理解出来んだろうな、いつまでも相対性理論を絶対視してるような奴らは先になんか進めんよ」


 男は立ち上がり窓の方に歩いて行った。


「あのレポートの先に興味があるならば付いて来い」


 男が観音開きの窓を開け放つと、目の前の空間が歪曲して金属の壁が現れる。金属の壁は平らに見えていたが扉になっていて音も無く開いた。


「これは……空中に無音で静止出来る飛行物体に光学迷彩か? 扉は気密性が完璧じゃないか。素材は……なるほどな、これはいわゆるUFOってやつだな。あの論文といい地球産じゃない……いわゆるファーストコンタクトってやつか?」


「残念ながら俺は地球人なんだ。だが俺のバックにいるのは松戸教授の想像通りだ、他にも数名の同志がいる。俺も教授とジャンルは違うが課題をクリアして組織の一員となった者だ」


 男がUFOの中に入りこっちを振り向く。


「俺の名は阿久 真人、生体工学と遺伝子工学が専門で組織ではバイオ関係を任されている。興味があるなら組織の本部に案内し、詳しい話をするがどうする?」


 俺は全身が震えているのを感じていた。明らかにオーバーテクノロジーだ、この飛行物体だけで充分地球の科学技術を超えている……見たい! この先が見たい! 本部はどんなだ! 宇宙船⁉︎ 地下基地⁉︎ 異次元⁉︎ もしかして月や火星かあ⁉︎


「お願いだ! 俺をそこに連れて行ってくれ! そうだ念のため聞くが、万一この事を口外したらどうする? 殺すのか?」


「我々はそんな野蛮な真似はしない。論文、レポートを含めての記憶を消去して研究室に帰すだけだ」


 そんな事が出来るのか!? 驚愕していると、阿久がニヤリと笑う。


「何が言いたいかは分かる、記憶の操作は可能だ。もう1人情報技術の専門家がいてな、俺のバイオ技術と合わせれば可能だ」


 驚愕している俺に笑いながら彼は続ける。


「彼らのコンピュータは生体チップがメインの有機量子コンピュータだ。だからバイオ技術系、情報技術は再現できるが機械工学の専門家がいないため全ての再現が困難なんだ」


「なるほど、だから俺に白羽の矢が立ったわけか。とりあえず本部に連れて行ってくれ、そこで話を聞こうじゃないか」


 UFOに乗ると操縦席に初老の男性がいた、たたずまいや身にまとう雰囲気から只者ではない事が分かる。


「ようこそ松戸教授、俺は秘密結社ギャラクティカダークの地球人スタッフのまとめ役、田島 幸四郎だ。本部に着くまで軽く説明をさせてもらうがいいか?」


 田島氏は簡単に組織について説明をしてくれた。組織名に使っているギャラクティカダークとは恒星間航行宇宙船の名であり大規模な星間戦争で崩壊した超文明の遺産であること。組織のトップは崩壊した国の皇太子であり、皇太子と婚約者の下ですべての構成員は平等だというこだ。


 役割により指示系統はあるらしいが呼び方は敬称略で基本的にタメ口OKのフランクな組織だそうだ。俺が構成員となった場合、工学系のプラントを任せてくれるらしい。


 説明を聞きながらUFOは海中に潜行してしていく、ギャラクティカダークは日本海溝の底に潜伏しているそうだ。ライトに照らされた海底に巨大な物体が現れた……すげえぇぇぇぇぇ! 巨大な人工物だ恒星間航行宇宙船はダテじゃねえ。心臓がドクドクしてる、早く入っ内部が見てぇぇぇぇぇ!


 エアロックに入り排水をして、館内に降り立つと奥の扉が開き3人が入ってきた。その中の背の高い頭にツノの生えたイケメンが話しかけてきた。


「ギャラクティカダークへようこそ松戸 清志博士、私はこの組織の主であるイーマブルグ様の摂政ルークユニコーンである。イーマブルグ様は420万年の歴史を持つ神聖ミリオネル王国の文化を継承する由緒正しい……」


 途中からルークユニコーンの声は俺の耳に入って来なかった。


 俺の目は彼が連れてきた2人の人物に釘付けになり、全神経がそこに集中していた。


 10歳くらいの青い美しい髪と瞳をしたこの世のモノとは思えない気品と神々しいオーラを身にまとった絶世の美少年!


 彼と同じくらいの歳の美しい緑の髪と瞳をした愛らしさと慈愛の化身としか言えない雰囲気を持った、これまた絶世の美少女!


 ヤバイ! 魂が引っこ抜かれそうだ! 神か⁉︎ 神なのか⁉︎


「……と言うわけでこちらにおわすのが神聖ミリオネル王国皇太子イーマブルグ様とその婚約者であるミレーニァ姫様である」


 神が……神が……神が俺に一歩近づいたその瞬間、本能的に土下座してしまった。


「イーマブルグ様、ミレーニァ姫様、私めは貴方がたの僕であります」

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