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秘密結社ギャラクティカダーク 世界征服を企む組織はホワイト企業だった  作者: ソメヂメス
始動編 ギャラクティカダーク活動開始
13/220

その名はターチ

まだしばらく毎日更新続けます

 イーマブルグ殿下の指示により、俺はミリオール陛下が後継者である殿下に信頼できる部下をつける為、万一の場合はミリオネル王国の文化が悪用されないようにラストメッセージにありったけのサイコウエーブを込めていたこと、サイコウエーブとは何かをここにいる全員に解りやすく説明する。


 サイコウエーブとは脳波を使って様々な事象を起こす能力であり俺の「バイオサーチ」今日子の「電脳人間」幸四郎さんの「ジャッジメントアイ」を例に説明した。


「殿下は王家に代々伝わるサイコウエーブである「超カリスマ」をお持ちです、その力は人心を掌握すること。何もしなくても人々は殿下に好感を持ち、完全にコントロールする事が出来れば先程のように生体端末を経由してでも洗脳することが可能です」


「父上は人の心を操るためにあのようなメッセージを……」


 唇を噛みしめて震える殿下に幸四郎さんが歩み寄る。


「殿下、そうではありません。あのメッセージ自体は殿下、万一の場合は発見した知的生命体に思いを伝えるためのものです」


「まあサイコウエーブは保険みたいなもんですね、ミリオネル王国の遺産が悪用されないためと殿下に忠実な部下を作るための」


「洗脳効果は僕と真人さんがサイコウエーブに介入したことによって残ってないから安心していいよ。それに少なくとも僕ら3人には超カリスマが効かないけど自分の意思でイーマブルグ殿下に協力したいんだよ。そうだね! 幸四郎さん! 真人さん!」


「当たり前だ! 俺はこの地球をイーマブルグ殿下を中心とした平和な世界にするのが夢なんだ! 王国を復活もいいが新たな国を興すのでもかまわん」


「学会を追放された俺を拾ってくれた上に最高の研究環境を与えてくれたんだ! 狂気の科学者と呼ばれた俺だがこの恩には一生をかけて報いるつもりだ」


 それに呼応してミリオネル王国脱出を共にした家臣達が口々に殿下に再度忠誠を誓う。誰もが心からイーマブルグ殿下を慕っているのがよく分かる内容だった。


「我らは祖国を旅立った時から運命共同体です。どのような形であっても我々の主君は殿下只一人でございます」


「イーマ様、国が滅びてどうなる事かと思いましたがこうして無事に新天地にたどり着いたのです。皆でこれからどうやって生きていくか一緒に考えましょう」


 ルークユニコーン様が皆を代表して結論付けてミレーニァ姫さまが可愛く締めくくる。


 地球人の文系スタッフ諜報員達も殿下に忠誠を誓った。


 4人の諜報員は忍者の里からの派遣だったが4人はギャラクティカダークの所属になる事を選択した。族長からリーダーである鷹丸さんの判断で正式に移籍しても良いと言われているらしい。


 文系スタッフに至っては完全に殿下に心酔している。



 そのあとはサイコウエーブの影響を減らすため、作業効率を上げるために志願者だけにするつもりだった中枢神経の端末化手術を全員に施すこと、役割による権限はあるがミリオネル王国臣民、地球人を問わずイーマブルグ殿下に忠誠を誓ったものは皆平等とするという基本方針が満場一致で決定した。


「具体的な方針と役割については日を改めるとしよう、我々は種族の垣根を超えイーマブルグ殿下が作られる新たな世界の為に一致団結しようではないか」


 ルークユニコーンの声に全員が拍手をする。


「我々は秘密結社ギャラクティカダーク、イーマブルグ殿下の御名の元に地球文明に変革をもたらす組織だ」


 幸四郎さんの宣言に全員が拍手と歓声を上げる。当面は殿下を当主としてこの2人が仕切る形になるだろう。


「そうだね、ミリオネル王国じゃなくギャラクティカダークなら堅苦しい話し方はやめて年相応の話し方にするからよろしくね。どんな形になっても成人するまでは当主であっても子供として扱ってほしい」


 ルークの表情が一瞬難色を示すが幸四郎さんが目配せをすると、少し考えて納得する。


「分かりましたイーマ様、では後日組織再編会議とギャラクティカダークの決起壮行会を開きましょう」


「うん、その辺はルークと幸四郎にまかせるよ」


 凄くいい雰囲気だな、じゃあ景気付けに一丁やるか!


「ルーク様、この間の愛玩動物の件ですが。我らが一致団結した記念にイーマ様に作って差し上げたいのですがよろしいですか?」


「おお! それはいいな早速頼む」


「2、3日あれば出来るので、イーマ様、ミレーニァ姫からの要望を聞きたいと思います。あと、みんなからも意見があれば参考にしたいから遠慮なく言ってくれ」


 まずはメインのイーマ様と姫だ。


「そうだね、走るにしても飛ぶにしても乗れるほうがいいな。大きいほうがいい」


「賢くて礼儀正しい子がいいですわ」


 そして家臣達の意見だがまとめると、見た目に威厳があって民衆から畏怖の対象となり得る。イーマ様を守れる戦闘力、王者のペットに相応しい貫禄、愛らしい容姿、イーマ様への忠誠心か。


「真人さん、色々出た意見の中から厳選するの?」


「今日子、俺を誰だと思ってる! もちろん全ての要素をぶち込んでやる! 強く! 可愛く! 威厳があり畏怖され、賢く忠義と礼節のある究極のペットを作ってやるぜ! フフフフフ……アーハッハッハッハッ!」


 つられて笑うミリオネル王国の面々とドン引きする地球側の文系スタッフを尻目に俺はバイオプラントに向かう。


「真人さん、超御っ機嫌だね! キモくていいよ!」


「今日子も新しい研究する時は似たようなもんだぞ」


 今日子と幸四郎さんの会話を聞き流しバイオプラントに到着した俺は中枢神経を設備とメインコンピュータにリンクさせて生体の基本構造の設計図を作りゲノム編集して塩基配列を構築していく。


「クックックッ、ハーハッハッハッ! 超楽しいぃぃぃぃ! 新たな生物を遠慮なく気兼ねなく好きに作れるなんて、ここは天国かあ!」


 今、ギャラクティカダークが潜伏しているのは日本海溝の底だから様々な有機物が降ってくるし、ミネラルも豊富だ。バイオプラントの設備でそれらを合成し、細胞サンプルから新たな細胞組織を合成していく。


 ハイテンションで作業を進めていると、突然視界が赤くなった。


 いかん、睡眠を取らねば! 中枢神経の端末化がレベル4になると睡眠不足や栄養不足が脳のダメージにつながるので、俺と今日子は心身に疲労が溜まると視界が赤くなるように処置をしてある。


 まだまだやりたいが以前のように倒れるまでやると、脳が損傷する可能性が高いので仕方がない。他の臓器なら損傷しても何とかなるが脳だけは変えが効かないからな。


 至福の三日間を過ごし遂に完成だ!


 俺が研究に没頭している間、今日子が全員の中枢神経の改造手術をやってくれていた。


 レベル3まで到達したのは地球人では鷹丸さんだけだった。忍者のリーダーだけあって鍛えられてるんだろうな。


 ミリオネル王国ではイーマ様、ミレ姫、ルーク様、スカーレット様、ミスティ様と結構多い。あとは全員レベル2だ。


 尚。レベル3に到達した全員がサイコウエーブを発現させている、イーマ様は「超カリスマ」と合わせて2個持ちになった。


 その辺の事は後日の会議や壮行会で詳しく聞くとして、まずはコイツのお披露目だ! 全高は3メートル近くあるがギャラクティカダーク内は天井が高く通路の幅が広いし大会議室には充分入れるから移動は大丈夫だ。


「よし! 行くぞ、名前は主人であるイーマ様につけてもらおうな」


「「了解いたしました我が造物主よ」」


 声帯は人語を操るのに適していないが知能は高く、サイコウエーブ持ちなら意思の疎通が可能だ。


 大会議室の扉をひらくと全員が集まっていた。とくと見よ! 俺の会心の作品を……まず地球人側が驚愕の声を上げる。


「ドラゴン?」「怪獣?」「ペットって……」「たしかに威厳はあるけど」と文系スタッフはザワザワしている。忍者たちは「ほう! これは頼もしい」と感嘆の声をあげている。


「うん、威厳があってイーマ様が騎乗するに相応しいな!」


「えっと……中ボスだね!」


 と幸四郎さんと今日子。そしてミリオネル王国組からは違う反応が来た。


「「可愛いぃぃぃぃぃ!」」


 イーマ様とミラ姫が駆け寄って抱きつくと、ルーク様とスカーレットさまが近寄って触る。


「ほう、背中の部分の形状と毛の柔らかさが騎乗するのに適しているな。賢そうだしイーマ様にピッタリだ」


「愛らしい姿で毛並みもとても良いですね。愛玩動物としても素晴らしい出来だと思います」


「「えぇぇぇぇぇぇぇ!」」と驚く文系スタッフに対し幸四郎さんがサラッと言う。


「驚いているが単なる美意識の違いだと思うぞ。大きさと牙と爪で強そうに見えるが造形としては可愛く作っていると思うんだが」


 俺が作ったイーマ様のペットはドラゴンタイプで全身を薄いピンクの羽毛で覆われている。


 頭に2本のツノ、口には鋭い牙、前足は腕と言っていいくらいしかりしていて手は五本指で結構器用だ。鋭い爪は手足共に収納可能で、背中に4枚の翼、長くしなやかな尻尾がある。


「ねえねえ真人! この子飛べるの?」


「もちろんですとも、イーマ様を乗せた状態で安全に飛行できる速度は時速約600kmです」


「そんなに速度が出ると危険じゃないのか?」


 幸四郎さんの質問はもっともだが、この俺が何の対策もせずにそんな高速飛行をさせるわけがない。


「サイコウエーブ所持者が頭部の角か背中の突起物を握るとサイコフィールドが形成され風圧から身を守ります。このサイコフィールドはバリアーとしても機能し、弾丸ならアンチマテリアルライフルくらいなら無効化します。飛行中に攻撃されても対空ミサイルごときではビクともしません。飛行中は長い毛が騎乗者に巻きつき安全性も万全のものです!」


「攻撃に関しては手足の爪および牙は地球製の戦車、戦艦の装甲なら易々と切り裂く事が出来、主人がサイコウエーブを流すことより口からフォトンブレスを吐く事が出来ます。有効射程距離は約7km照射時間は最大20秒首を動かすことにより射線を動かせ出力は約2ギガワット、大型建造物の完全破壊、空母、戦艦の撃沈が可能です」


「おお! 護衛として申し分無いでは無いか!」


 ミスティ様の声初めて聞いたな。


「「みなさま、私は造物主により主人たるイーマブルグ様に仕える為に生み出されました、まだ名を授かってはおりませぬがよろしくお願いいたします」」


「喋った!」


 みんなが驚いているので説明する。


「コイツは平均的な地球人並みの知能を有している、サイコウエーブ所持者であれば念話が可能です。またギャラクティカダーク施設内であればレベル2以上の中枢神経端末化をしていればメインコンピュータ経由で会話が出来ます」


「あ! 名前つけなきゃ」


「地球で一般的なペットの名前ってなんですか?」


 イーマ様とミレ姫の問いに文系スタッフの斎藤君が答える。


「えっと……猫ならタマ、犬ならポチとかかな……」


「じゃあ、間をとって「ターチ」にしよう!」


 みんなが拍手してコイツの名前は「ターチ」に決まった。するとルーク様が俺に質問をする。


「ところで真人、餌は何なのだ?」


「人間ですよ、出来れば生きたやつ。畏怖の対象にはもってこいだと思うんだけど」


 俺が軽〜く言った一言に今日子と幸四郎さん以外の地球人スタッフがダッシュで逃げる。


「「ご安心なされよ、私は咎人以外は餓死しようともたべませぬ」」


「いや、そう言われても……」


「なんでマンイーターにしたんだよ!」


「やばいよ!やばいよ!」


 パニクる地球人達に対しミリオネル王国の面々は平然としている。


「罪人であれば問題なかろう」


「悪人を肉食獣の餌にする刑罰は普通にありましたよね」


「まさか地球には犯罪者いないの?」


 硬直する地球人達に幸四郎さんがため息をついた。


「単なる文化、風習の違いだ。俺たちはコッチ側の人間なんだぜ、常識を入れ替えといた方がいいぞ」


 珍しく今日子がおとなしいからまた寝ているのかと思ってたら「電脳人間」を発動させていた。作業が終わったようで俺に向かってニカっと笑い親指を立てる。


「真人さん! ターチのご飯にちょうどいいクズ見つけたよ!」

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