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最後の転生でハッピーエンドになれますか?  作者: ゆきちゃん
第2章 メインストーリー
38/65

38 虚無との戦い3

一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。

 天てらすと女王夜見が、協力して虚無と戦う時がきた。

 2人は、宇宙まで続く暗黒粒子が始まる通称海岸に並んで立っていた。


「女王様。既に暗黒粒子の3分の1ほどが消滅させられています。少し急ぐ必要があります。僕がまずここから続く暗黒粒子の先、宇宙と直接つながってしまった場所に向けて、精一杯の神聖の光りを放ちます。その後で影を出してください。」


「てらす様。何も心配なさらないでください。あなたの光りは私の影で完全に覆います。はるか昔から、あなたと私は表裏一体の存在だから。」

 その後、女王は彼に視線を合わせてにっこりと笑った。


 ―――えっ!………この笑顔を見たのは初めてじゃない。もう何回も見てその都度励まされ、心が安まり穏やかになったのを覚えている。


「てらす様、てらす様、急に黙り込んでしまわれて。なにか具合が悪いのですか。」

「大丈夫です。ただ、なぜだかわかりませんが、もう完全に忘れてしまった大切な人のことを、今一瞬想い出したような気がしました。」


 彼のその言葉を聞いて、女王の顔がほんのわずかな間、とても真剣な顔になった。

 その後、すぐに微笑みを浮かべて女王が言った。


「一瞬でも想い出していただけたとは、その方はたぶん心の底から喜んでいらっしゃると思います。さあ、虚無と戦いましょう。私は今充実していて、たぶん無限大の力が出せると思います。」


「僕から行きます。」

 その後、彼は最高の力を出す詠唱を始めた。

 両手を合わせて両腕を前に出した。


「タイヨウシン、アマテラスノヒカリ、スベテノモノト、イキモノヲテラセ、カガヤケ。カシコミカシコミモウス。」

 彼の両眼は強い黄金色に輝いた。


 強く太い直線となった光りのビームが暗黒粒子の向こう、宇宙との境に向けて放たれた。


 自分の力を使いすぎて、怒り狂う神になってしまう心配が彼にはあった。

 しかし、不思議に女王が隣にいると心が安定し、意識がその状態に近づくことは全くなかった。


 はるか遠くの距離の先に、彼が放った多くの輝いている光りが留まり、だんだん大きな固まりとなった。


 その様子を確認して、隣にいる女王が言った。

「てらす様、今から私の影を出します。」


 女王が優美な仕草で右手をゆっくり前方に振り上げると、その前の空間から暗い影の固まりが前方に向けて発射された。

 それは、右左交互の手で何回も繰り返された。


 影は光りに達すると少しずつ覆い始め、やがて輝きは消え、代わりにさまざまな粒子を含む存在する空間が創造され、大変な勢いで広がっていった。


 暗黒粒子の先で全ての存在を消し、0の空間としていた虫のような虚無の存在は、彼と女王が創造した空間に触れると跡形もなく消えていった。


 黄泉の国と宇宙を完全に接触させようとしていた虚無の驚異は去った。


 宇宙との距離が、再び無限大になったことを黄泉の国の誰もが感じることができた。


 天てらすは、光りを放出することを止めた。

 隣にいた女王も同時に影を出すことを止めたが、その瞬間その場に倒れ込んでしまった。


「女王様! 大丈夫ですか! 」

 彼は驚いて女王を抱き起こしたが、気を失ったその顔は幸福に満ちあふれ安らいでいた。


 そばにいた咲希が言った。

「てらす様、姉は大丈夫です。今、一番幸せに包まれている姉をしばらくの間、そのままの姿勢にしてあげてほしいのですが。」


「女王様に大変な無理をさせてしまったのですね。」


「実は、てらす様の神聖の光りを完全に影で覆うためには、姉は限界を突破しなけらばならないことがわかっていました。しかし、黄泉の国の女王である強い義務感と、もう一つの気持ちが姉を支えたのだと思います。」


 彼は女王の気高い顔を見つめ続けた。


「女王様をお城に運びます。どなたか縮地の術をお願いしたいのですが。」

 彼は近くに集まっていた夜咲希、灰目十郎、灰目九郎の3人に依頼した。


 咲希が言った。

「申し訳ありません。てらす様、私は今日、体の調子が悪く縮地の術が仕えません。」


 十郎が言った。

「私は宰相として、この前線基地の撤収作業に今からすぐに、取りかかれなければいけません。」


 九郎が言った。

「アマテラス様も御存知ですが、私はとても長い距離の行き来で、縮地の術に使う力を使いきってしまいました。」


「どうしましょうか。」

 途方に暮れて、彼は聞いた。


「てらす様が運ばれてはどうでしょうか。姉の体重は非常に軽いのです。人間の感覚でいうとほとんど重さを感じません。抱いてお城まで十分に歩けます。その内に姉も意識が戻るでしょう。」


「そうするしかなさそうですね。」


 彼は女王を抱き歩き始めた。


 その後ろ姿を見ていた女王の妹と2人の叔父は、顔を見合わせて心の底から微笑んでいた。

お読みいただき心から感謝致します。

もし、よろしければ評価やブックマークいただくと、作者の大変な励みになりますので、よろしくお願い致します。

※更新頻度

平日は夜8時~11時までの1日1回更新(毎日更新できない場合はお許しください。)

土日祝日は1日3回更新(回数が少なくなる場合はお許しください。)


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