37 虚無との戦い2
一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。
灰目九郎が言った。
「何も無かった場所に物質が発生しました。やはり、アマテラス様の強力な光りと『闇の一族』の影が合体することで、創造ができるようですね。」
「存在を消す虚無に対抗できる方法が見つかってよかったです。」
天てらすもほっとしたような表情になった。
その時、宇宙の向こうから声が聞こえた。
聞こえたというよりも、電波のように届いたと言った方が正確かもしれなかった。
「そこに有る2つの存在よ。我がせっかく何もない空間にした場所に、ほんの小さな物質を作ったな。おまえ達は黄泉の国のものか。」
九郎は精神念波を使い、虚無に強く言い返した。
「虚無よおまえに答える必要はない。しかし、このことだけは言っておこう。我が黄泉の国に侵攻しても無駄なことだ。おまえのことはよく知らないが、一つだけ確実なことを知っている。散々に負けて逃げ去る者だ。」
「なんて無礼なことをいう存在か。我は、そのような礼儀しらずに会ったことがない。そうだ罰を与えよう。黄泉の国への侵攻速度を速めることにする。10倍のスピードにして、黄泉の国が消滅するまでの時間を短くする。」
虚無のその声が消えた途端、虫のようなものの数が10倍以上に増えて、黄泉の国と宇宙を隔てる暗黒粒子に群がり、消滅させるスピードが加速した。
彼はそれを冷静に見て九郎に言った。
「九郎さん、一旦黄泉の国の海岸に戻りましょう。全てわかりました。」
「ここで何とかしなければと思うのですが、アマテラス様の自身あふれる両目を見ると安心します。帰りましょう。」
九郎は両手で『闇一族』の呪術、縮地を使うため両手を合わせた。
すぐに黄泉の国の海岸に着き、それを見た軍の首脳達が2人に架けよってきた。
彼はすぐに指示した。
「今から、虚無との最終決戦の軍議を始めます。皆さん集まってください。」
簡易テントの中に、『闇一族』、亡霊、悪鬼の中の実力者が集まって座っていた。
人間の天てらすは堂々とした姿勢で立ち上がり、彼らに対して話し始めた。
「虚無が暗黒粒子を消滅させ、何も無い0の空間にするスピードを速めました。どうやら、僕と九郎さんが虚無を怒らしてしまったみたいです。でも、大切なことがわかりましたから全然問題ありません………
………何も存在しない0の空間になったとしても、僕の神聖の光りと『闇一族』の影を合わせれば、そこに存在する物がある空間を作ることができます。そうすれば、宇宙と黄泉の国が接触することはありません。」
宰相である灰目十郎が彼に聞いた。
「アマテラス様、神聖の光りと『闇一族』の影を合わせると、何ができるのでしょう。」
「物質の元になる粒子、生命の元になる粒子と言っていいかもしれませんが。光りが反対の性質をもつ影と衝突すると、創造がされるということだと思います。ただ、この方法には唯一の問題があります。」
九郎が立ち上がり、補足説明した。
「アマテラス様の放たれる神聖の光りはとても強いのです。実は私はもう実験済ですが、光りに見合う影を作るのには限界の力が必要でした。」
「もし、このことが実現して、大量に光りと影を合せて空間を作れば、虚無は再び消すことができません。」
彼のその言葉を聞いて、九郎は驚いた。
「あの場所から去る瞬間に、そのことを確認されたのですか。」
「はい、虚無が放つ、存在を消滅する大量の虫のようなものは、僕と九郎さんが創造した黒い空間を避けて通っていました。」
「そうすると、後はアマテラス様の光りの強さに十分に見合う影ですね。私ですら限界なのですから………」
灰目九郎は絶望的な表情をした。
軍議の会場が、非常に重苦しい沈黙に包まれた。
その時、簡易テントの出入り口が上げられ、入ってきた者がいた。
「わが叔父灰目九郎には限界かもしれませんが、私ならば余裕です!!! 」
女王夜見が凜とした声で言った。
会議に出席していた全ての者が一礼した。
天てらすが言った。
「まさか、女王様に危ない前線に出ていただく訳には参りません。」
女王の横に控えていた咲希が彼に訴えた。
「てらす様。女王様はもう決意されたのです。それに女王様が作られる影の力はてらす様の光りとほとんど遜色ない力があります。信じてください。」
彼は女王の前にひざまずいた。
「女王様。心の底からお願い申し上げます。私の光りを御身が作る影で覆ってください。絶対に消滅しない空間の防壁を作るため、強力をお願い致します。」
お読みいただき心から感謝致します。
もし、よろしければ評価やブックマークいただくと、作者の大変な励みになりますので、よろしくお願い致します。
※更新頻度
平日は夜8時~11時までの1日1回更新(毎日更新できない場合はお許しください。)
土日祝日は1日3回更新(回数が少なくなる場合はお許しください。)




