36 虚無との戦い
一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。
天てらすと灰目九郎は、黄泉の国の通称「海岸」と呼ばれた場所に軍勢を終結させていた。
その前からは、宇宙まで続く暗黒粒子が敷き詰められていた。
副官の灰目九郎が全軍に告げた。
「全軍はここで待機、防備を何重にも固めて注意を怠らないようにするのだ。まずは斥候が出る。」
「九郎様、誰が斥候をやるのですか。」
力自慢の牛鬼に聞かれ九郎が答えた。
「私と総司令官アマテラス様だ。」
「えっ―――」
全軍から驚きの声が出た。
彼は前に出て説明を始めた。
「皆さん、私達の敵である『虚無』は、黄泉の国と宇宙を隔てているこの暗黒粒子の防壁を浸食し、黄泉の国を宇宙と直接接触させ消滅させようとしています。しかし、驚異をもたらす『虚無』のことを私達は何も知りません。………
………敵の情報を確かに得ることが、勝利をつかむための第1条件なのです。僕はアマテラス神の転生者として、物事の真実を悟ることができる神聖の力をもちます。そして九郎さんは、皆さん御存知のとおり戦いの天才です。………
………この2人なら、確実に目的を果たすことができます。帰軍して、僕は必ず皆さんに勝利の戦術を伝えます。アマテラス神の名にかけて、誓います。僕の指示どおりにすれば必ず勝てます。『虚無』を恐れないように!!!」
わ――っ、アマテラス、アマテラス、アマテラス、万歳―――
1万人はいる全軍から大きな歓声が上がった。
九郎がにこにこしながら彼に言った。
「アマテラス様。私が戦いの天才だと、いつわかったのですか。」
「九郎さんのことは、表面だけ見てもわかりません。自分の力を完全に隠す強い能力をおもちだからです。僕は神聖の力で、既に九郎さんの奥深いところまで探知しました。すると、戦いの場で鋭い感性を発揮し、無限大の力を出せることがわかりました。」
「私の奥深いところを探知されたのですか。はずかしいな。」
「九郎さんはなんか変です。もう相当の年なのに年を感じさせません。枯れていないというか。そういう人はなかなかいません。」
「そう言われると私はとてもうれしいです。ありがとうございます。それではアマテラス様、早速斥候に参りましょう。虚無に無限性を奪われた暗黒粒子の果てまで行き、場合によっては虚無と戦い葬ってやりましょう。」
「そうですね。一応斥候ですが、戦ったとしても何も問題ありません。」
「では、すぐに着きますから準備してください。」
九郎は両手で『闇一族』の呪術、縮地を使うため両手を合わせた。
すぐに、天てらすの目の前に暗黒の宇宙が近づいた。
そして、彼の前に不思議な風景が現われてそこで止った。
白い画用紙を敷き詰めたような空間が目の前に広がり、そのすぐ先に宇宙が広がっていた。
灰目九郎は彼の隣にいた。
「アマテラス様、気をつけてください。この白い画用紙のようなものは、存在を消された暗黒粒子が敷かれていた場所です。」
「それでは、今は何もない空間なのですか。」
「はい。たぶん。見ていてください。」
そう言うと、九郎は白い画用紙のようなものに『闇一族』の衝撃波を放った。
すると、衝撃波が接触しようとした瞬間に完全に消えてしまった。
「僕達はなんで大丈夫なのでしょうか。」
「私の回りには『闇一族』の暗黒のオーラが覆い、アマテラス様の回りには神聖の力が覆っています。存在力が強い、決して消えないものなのです。」
そばで動くものがあった。
彼らは直ちに防御、攻撃態勢をとった。
それらはイモムシの集団のように動いて、白い画用紙のようなものと接触している暗黒粒子に群がっていった。
「アマテラス様。あの虫みたいなものが暗黒粒子の存在を消しています。」
「食べているみたいですね。そうすると、これは食べきれるでしょうか。」
彼はそう言った後、右手で印を結び神聖の力で強力な光りを作り、虫みたいなものに向けて放射した。
最初、その光りは消されているようだったが、それもわずかな瞬間だけだった。
ほとんどの光りはその場に留まり強く輝き出した。
「私が仕上げをしましょう。」
九郎はそう言うと、光りと反対の性質の影を放った。
「アマテラス様の光りはとても強いから、十倍くらいの量の影でなければいけませんね。」
そう言うと、九郎はさらに深い影を放った。
やがて、光りは消え、そこの場所に黒い固まりが残った。
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