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最後の転生でハッピーエンドになれますか?  作者: ゆきちゃん
第1章 プロローグ
31/65

31 黄泉比良坂の戦い(第1章完結)

一生懸命に作話しました。第1章はこれで完結です。是非是非、お楽しみください。

 雲一つない晴天、どこにでもあるスポーツ公園だった。

 その日は特にイベントがなくグランドの全面が自由に解放され、多くの子供達が時間を忘れて自由に遊んでいた。


 天てらすはグランドで遊ばず、1人だけベンチに座っていた。

 サッカーをしていた集団から2人が抜け出して、彼が座っているベンチに近づいてきた。


「天君、サッカーを一緒にやらない。神話小学校でチームを作って試合しているんだけど、隣の小学校に負けそうなんだ。」

「体育の時見たけれど、天君すごくサッカーうまかったから。助けて。」


「誘ってくれてありがとう。でも今日は足首が少し痛いから、うまく走れないんだ。みんなの足を引っ張ると困るから、遠慮しておくよ。だけど、一生懸命応援するからがんばってね。」


 彼はうそをついた。

 友達達がとても残念そうにグランドに帰って行った後、その目線は空の上に向けられていた。


 彼は真剣な視線で監視していた。

 そのようにして2時間くらいが過ぎた時、少しずつ異常な風が吹き始めた。

 普通の人には全くわからなかったが、神聖の力をもつ彼にはすぐにわかった。


「来た、黄泉の国の空気………」

 彼が自分の手を見ると、白い砂がついていた。

 そして、スポーツ公園周辺が暗黒空間の(とばり)に包まれ時間が止った。


 空の上に大きな黒い穴が開き、幅が広大な坂道がだんだん伸びてきた。

「これが黄泉比良坂(よもつひらさか)、死者の国と生者の国を結ぶもの! 」

 彼は少し驚いたが、すぐに平常心に戻った


 回りを見渡すと、遊んでいた子供達はその場に止っていた。

 黄泉比良坂が地面にだんだん近づくと、周囲が暗くなり白い砂混じりの風が強く吹いてきた。


 最後に黄泉比良坂は地面についた。

 しばらくして、彼の耳に不思議な鈴の音が聞こえ始めた。

「チリーン、チリーン、チリーン………」


 やがて、悪鬼の声が聞こえた。


「さあ、子供達。黄泉比良坂を下りて、人間の現実世界に押し寄せるんだ。その下はお前達が短い人生を生きた世界だ。その世界に降りて、お前達と同じような辛い悲しい人生だった子供達の霊を捜すのだ。見つけたら私に知らせるんだそ。」



 多くの子供達の泣き声が聞こえ、黄泉比良坂(よもつひらさか)を降りてくる姿が見えた。


 子供達は古代から中世、現代に近いさまざまな服を着て泣きじゃくっていたが、その数は何万人もいるようだった。


 ベンチに座っていた彼の表情がとても険しくなり、決心したように立ち上がった。

 その目は黄金に輝き、地面についた黄泉比良坂まで1歩1歩近づいた。

 そして坂の手前で一瞬立ち止まったが、その後、登り始めた。


 最後には、降りてくる大勢の子供達の先頭と彼との距離は200メートルほどの近づいた。

 その時、彼に異変が起きた。


 何万人もの子供達の魂の辛く悲しい人生の記憶が彼の心に流れ込み、神聖の力で瞬時に認識された。

 天てらすの心は、怒りに支配されそうになった。


 彼は怒るのを必死にこらえ、1人1人の子供達の魂に答えようとした。

「君のことはわかったよ。僕はしっかり覚えた。もう誰も知らないわけではないよ。辛く悲しかったけれどそれも今終わり、僕が助けるから。」


 わずかな時間で彼の神聖の力は、何万もの子供達の魂と会話して精一杯慰めた。

 すると奇跡が起こった。


 何万人もの子供達の魂の泣き声が止った。


 そして、何万人もの子供達の魂の顔がみんな笑顔になり、大きな笑い声の合唱になった。

 

 子供達の魂は、それぞれきれいな色の光りになり空に登っていった。

 最後には現実世界で見ることができない、美しい大きな虹が見えた。


 その虹をとてもうれしそうに見ていた天てらすは、両手で印を結ぶ詠唱した。

「コトワリニハンスル、ヨモツヒラサカ、キエヨ! 」


 すると、何百人もの『闇一族』の術者により出現した黄泉比良坂(よもつひらさか)は彼1人の力で消滅した。


 陽光山の山頂で様子を見ていた日巫女は言った。

「アマテラス様、人間に対して怒り狂わず、多くの子供達の魂を救っていただきありがとうございました。」


 スポーツ公園の隅で様子を見ていた夜咲希は言った。

「てらす様、あなたは一番素敵な未来をつかんだんですね。私も私の姉もとてもうれしいです。」


 黄泉の国では、女王夜見が泣いていた。

「あなたって人は、必ずやり遂げてしまわれるのですね。今は人間に対する復讐を忘れましょう。」



 大勢の子供達が元気よく走り回っている中、力を使い果たした天てらすはよろよろと歩いてベンチに座った。


「てらす、お疲れ様。とっても疲れたでしょう。飲む?」

 登与が水筒のキャップを渡した。彼はそれを夢中で飲んだ。

 飲んでしまった後、彼は驚いて言った。


「えっ。今飲んだのはまさか。」

「そうよ、お酒。」


「僕はまだ10歳です。」

「大丈夫。特殊なお酒だから。神様にささげる御神酒よ。」

お読みいただき心から感謝致します。

もし、よろしければ評価やブックマークいただくと、作者の大変な励みになりますので、よろしくお願い致します。

※更新頻度

 新章開始のため、なかなか達成できない場合はお許しください。

平日は夜8時~10時までの1日1回更新(毎日更新できない場合はお許しください。)

土日祝日は1日3回更新(回数が少なくなる場合はお許しください。)


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