27 女王の決意4
一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。
ずっと冷静な顔をしていた悪鬼善児の顔色が大きく変わり、怒りの表情が表れていて真っ赤だった。
「私の手元から子供達の魂を救うだと! 神の転生者により行われるだと! なんてことを言うのだ。これだから『日の一族』はいやだ。―――チマチマした攻撃をしたのがよくなかった。大々的な攻撃をすることにしましょう。」
咲希が言った。
「私は『闇の一族』だけど、登与さんと全く同感です。神の転生者である天てらす様が、あなたから子供達の魂を必ず救います。よく覚えておきなさい。」
「姫様もそのようなことをおっしゃるのですか、いいでしょう。女王様にお願いして、私の全ての力を使って現実社会に大侵攻しましょう。それでは、今晩のところは失礼します。」
善児は右手で黄泉の世界への通過穴を作り、そこに吸い込まれるように去った。
それは、あっという間の時間だった。
「咲希さん。悪鬼善児が大侵攻を宣言したけれど、どれくらい強いの。」
「善児のやっていることがあまりにも下劣なことなので、黄泉の国の中でもみんなに支持されず、階級は極めて低いです。しかし、ある方法で人間界に侵攻すると、極めて大きな被害をもたらします。だから強い力があるといえます。」
「ある方法って?」
登与が真剣な表情で聞いた。
「夜見の国の最終兵器である黄泉比良坂です。黄泉の世界と現実社会を結ぶ坂道で、そこから黄泉の国の者がなんの障壁もなくやってきます。その場合、現実社会は大きな被害を受けます。」
「そうすると、黄泉の国から大軍勢が攻めてくるの。」
「古来からのならわしで、黄泉比良坂を片方の世界に属する大勢の者が通ることは許されていません。大軍勢ではなく、悪鬼善児が操る者だけになるでしょう。」
「今日は遅いからもう帰りましょう。ところで、善児が咲希さんのことを『姫様』って読んでいたけれど………」
「いやらしい。あいつの言い方ですよ。」
「そうなんだ。」
黄泉の国の女王の城で、悪鬼善児は女王夜見に謁見していた。
「女王様、通過穴を通して転生者に子供達の心を見せましたが、直ぐに穴をふさがれて邪魔されました。」
「誰がふさいだのですか。」
「それが、咲希さまです。しかも『日一族』の娘も一緒にいて力をかしていました。咲希さまと同じくらいの年齢に見えました。」
「咲希ですか………あの子はとても賢いのです。きっと何か深い考えがあるに違いありません。それに『日一族』の娘がそばにいたのですか。」
「はい、かなり強い霊力のもち主で私に攻撃してきました。」
「咲希と同じくらいの年齢で、かなり強い霊力のもち主ですか。きっと日巫女の跡取りですね。咲希とはどんな感じでしたか。」
「不思議ですが、かなり仲が良いみたいでした。」
一瞬、その言葉に聞いた女王に笑顔がこぼれたが、善児は気がつかなかった。
「ところで善児、これからどうするのですか、私に願い事があると聞いていますが。」
「はい、お願いでございます。黄泉比良坂を現実世界に架けることをお許しください。子供達の魂を現実社会に戻して、転生者と直接対面させるのです。」
「あなたが捕縛している子供達の魂はどれくらいせすか。」
「ざっと1万人くらいです。」
「私はアマテラス様の転生者に人間の悪さ、みにくさを是非知っていただきたいのです。人間は自分達を飾ることがとてもうまく、悪さやみにくさをほとんど外に出しません。それで私達は………」
女王様の目から一粒の涙がこぼれた。それは星の光のように輝き、見た者を完全に魅了する魔力があった。
「女王様、大丈夫でございますか。私が必ず転生者を人間の敵にして、黄泉の国の味方にしてみせますので、どうぞお心を安んじてください。全身全霊で私の任務を全う致します。」
「魂であれば、それくらいの数の通行は許されますね。善児、どうぞお願いします。」
陽光神社の鳥居の前で、天てらすと日登与の2人が誰かを待っていた。
しばらくすると3人目が来て、登与が笑顔で話しかけた。
「咲希さん。いらっしゃい。よく来てくれたわ、『闇一族』だからといっても何も気にすることはないわ。元々、同じ一族だったんですもの。それに、今日はおばあちゃんが是非、連れて来るようにと言っていたわ。」
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