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第4章 光の国 ーアリュウー

第4章 光の国

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アリュウ

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「アスラン様~!!」


アスランが自室に戻ろうとすると、アリュウが追いかけてきた。


「おお。アリュウ。どうしたの?」


「いえ・・・いえ・・・その、従者が禊ぎの用意ができたとのことでしたので、それをお伝えに。

あと、お礼が言いたくて・・・・」



アリュウは息を切らしながらにこにことしてそう言った。



「ああ、うん。親衛隊としてよく活躍してくれているし。俺からのお礼。よかったね、セイナにあえて。」


「はい!!」



「・・・・」


アスランは、うれしそうに返事をするアリュウをじっと見つめた。そして、



「ねえ・・・聞いていい?」



「はい?」


「なんで、…セイナなの?」



「そ、それは…。すみません。」



アリュウはそう言って口ごもった。


「ああ、ごめんごめん。別に、『なんで俺じゃないんだ?』って責めてるわけじゃないんだ。

いや、皆がセイナに惚れるのはよくわかるんだ。実際、俺もあいつが好きだから…。

そうじゃなくって、その理由。みんなセイナのどこに惚れているんだろうって、思ってさ」



「はい…。では、恐れながら申し上げます。」


そう言って、アリュウは少しうつむき、恥ずかしそうにしながら話し出した。


「あの、私は小さな頃から、女でありながら、剣士として育てられてきました。

それはもちろん、アスラン様をお助けするために。ただ、がむしゃらに修行する毎日でした。


15になって、初めて一人前のナイトとして王宮に呼んでいただいた際、すでに月の神官となられていたセイナ様の剣の舞を拝見しました。


 その軽やかな動き、流れるような型、ただ一心な瞳。

同じ剣の道を追う者として、深く感動したんです。



私は、ただ力を求めていました。

「女なので、力が欲しい」と、そればかり考え、非力な自分を恨んでいました。

しかし、セイナ様の舞を見て悟りました。



「剣は力では動かない。剣を動かすのは心である」と。なんだか、言われ尽くされたような、月並みな悟りなんですけど。でも、セイナ様の舞を見て、改めてそれを実感したのです。



表には出しませんが、セイナ様はアスラン様のことをとても大切に思っていらっしゃるとおもいます。



なぜなら、セイナ様が皇子の前で舞うときは、いつも皇子がその動きをしっかりと目で追うことができるよう、皇子のために見やすいように舞っていらっしゃるからです。

私も、皇子の親衛隊としてかくありたい。と思っています。



その…、セイナ様があなたを思うように私もあなたを思いたい。



大それたことを言っているかもしれませんが、私はそう思いながらあなたの側にいるのです。

だから…私にとってセイナ様はあこがれの存在なんです。」


アスランはその話を聞き、「ん???」と首をかしげた。


「つまりは、どういうことだろう?

女心は難しいな。アリュウはいったい誰のファンなの?」


「ですからあ、セイナ様です。

アスラン様は、月の国で、『小さい頃から宝物だと思ってきた』と、アテーナ姫におっしゃいましたね。私は逆に生まれたときから、アスラン様に仕え、アスラン様のために剣を振ることを教えられました。ですから、私にとっての宝物はあなたかもしれません。皇子がアテーナ様を思うように、私はあなたを思います。そしてセイナ様があなたを思うよう、私はあなたを思います。

セイナ様の考え方、皇子への深い思い…。私はそこに憧れを抱くのです」


「ん???やっぱりわからないぞ…?」



するとアリュウは後ろに少しずつ下がって逃げながらにっこり笑った。


「さて、私も何を言ってるかわからなくなりました!!おやすみなさい!!」


そしてばたばたと去っていった。


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