第4章 光の国 ー光の陣ー
第4章 光の国
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光の陣
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程なくして、陣営に中将たちが集まった。
「皇子、「洸」、「銧」、「侊」、「絖」以外の中将たちがそろいました。」
中将長のラクレンが報告した。
「前衛部隊がいないのはしかたなかろう。さて、私がいない間にクル村地方に動きはあったか・・・」
「大きな動きはありませんが、しかし、闇に占領されたクル村の周辺の村たちも攻撃を恐れ、つぎつぎに闇に投降しております。このままでは放置しておくのはどうかと。」
「では、どうする?」
「はい。今、、「洸」、「銧」部隊が、クル村の方へ向かっております。占領したのは闇軍の下軍ですので、まずはこの二部隊で下軍を追い払えればと。」
「「洸」??「洸」には今、将はいないはずだが」
「・・・・・・弔い合戦だそうです。倒れたテリの代わりにミラクが将になり、部隊を組み直しています。・・・下軍はメンタルに弱いですから、ここはミラクに任せるのが得策かと。」
アスランは「ふう。」とため息をついた。
「テリやその部下の家族には知らせたか?」
「はい。国に向けて使いが出ております」
「そうか。後は父王が取りはからってくれるだろ……その他の動きはどうか」
「はい。「侊」、「絖」がレン地方へ向かっております」
「闇としては、今のところ我が国に進入できているのはクル村地方だけのようです」
「ただ、地の国の闇派が、光派よりも勢力を強めてきていまして、我が国からの支援部隊が必要かと。」
「水、風の国には特に動きはないようです。」
「火の国へは現在、長が戻られていますが、生き残った国民の救済対策に追われているようです。」
「ああ、『聖域剣』のことは・・・」
「やはり、「地の果て」ではないかと長はおっしゃっておりました。」
「そうか、ルキアもそう言っていた。ほぼ間違いなかろう。」
「では、我が国としましては前回の会議で申し上げた、闇の追撃を押さえながら「地の果て」へ向かう案でよろしいでしょうか。」
「ああ、そう。先に月の軍を行かせて・・・アテーナに剣をとって来てもらうってやつね」
そう言うと、アスランは少し考え、黙った。
「皇子、お気持ちはわかりますが、国が大事です。アテーナ様は正室でいらっしゃいますが、月の姫。あなたは光の皇子でいらっしゃいます。…こんなことを申し上げるのはどうかとは思いますが、正直、月の国よりも、光の国が大事でございます。この世界を一つにまとめようとなさる、光の王の代わりはいないのでございます。」
「わかっている。…たぶん。」
「皇子」
「そう、わかっているよ。月の国の者たちも。そんなことぐら……。だから、いま、月の方でも軍が動き出している。将はあいつだから…だから私は心配はしていない。」
「セイナ様でございますね」
「ああ、あいつの力は俺と互角だ。しかも、あいつは月の力を身につけている。そしてあいつなら、アテーナを誰にも渡すことはない」
「誰にも?それは……」
「私にも。かもね。」
そういうと、アスランは額に手をあててため息をついた。
「皇子、ここから月の国への移動は疲れたでしょう。今日のところは休まれては?」
「いや、そういうわけにはいかん。今戦っている者たちのことを思えば。私はあそこへ遊びに行ったのだから」
「しかし、あなたが倒れるようなことがあれば困るのは私達です。」
アスランはその声を聞くと、顔を上げにやりと笑った。
「そうか。なるほど。そうだな。それに、もう会議を開くには遅い時間かもしれん。
明日、改めて状況報告をして欲しい」
アスランはそういうと席を立った。アスランが立った後から中将たちは席を立ち、深く礼をし、部屋をでた。