第4章 光の国 ー二人の側室ー
第4章 光の国
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側室
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アスランが月の国から戻ってくると、すぐに二人の女性が駆け寄ってきた。
「おかえりなさいませ。皇子」
「おかえりなさいませ!!」
アスランはにっこり笑うと、すぐに二人を抱き寄せた。
「ただいまあ~。ユウナ、リアナ・・・・。ってか、ばれちゃってた??」
「はい。月の国にいかれたのでしょ?中将から聞きました。」
「つうか、あのオヤジ、おしゃべりだなあ」
「いいえ、私たちが問い詰めたんです。すごく困った顔をして、話してくださいました。」
二人の女性は、顔を見合わせるとくすっと笑った。
「ごめんねー。アリュウだけつれていっちゃった」
「いいえ、今は私達も、なんだかセイナ様に会うのは、つらいのです。
会いたいのですが…、でも、やっぱりなんだか怖くって。」
「そっか。やっぱ、そうだよね。」
アスランが共感するような声で答えると、ユウナとリアナは、アスランの顔をじっと見つめた。
「・・・・な、なに?」
「いいえ、その、聞きたいのは・・・・。どうでした?」
「え?そりゃあ、もう・・・。その場で押し倒して、すべてをめちゃくちゃにしてやりたいぐらい美しかったよ・・・。
・・・・セイナが。」
「は!?セイナ様が、ですかああー!」
二人は「きゃーっ」と、大ウケしてつっこんだ。
「いや、そうじゃありません!皇子!アテーナ様ですよ。アテーナ様!!」
「ああ、アテーナ…ね。うーん。」
ぽりぽりとセイナは頭をかいた。
「相変わらず…子猿。」
「子猿ー!」
また二人は「きゃー!!」と大笑いした。
「あなたたちにはかないませんよ。まだまだ、子供で。これから、これから」
アスランがそう言うと、二人はいたずらっぽい声で言った。
「でも、やっぱり、皇子、うれしそうですね。」
「ん?まあね。んで、今日はどうしよう?」
「実はお話ししたいことが…。私、ユウナをお部屋に呼んでいただけないでしょうか?」
「いいけど。リアナはそれでいい?」
「はい。実は私がユウナ様にお願いしたのです。」
「ふうん。んじゃ、わかった。」
二人の女性は、頭を下げると仲良さそうに、去っていった。
アスランは、それを微笑んで見届けたが、二人の姿が見えなくなると、急に真剣なまなざしをした。そして
「中将たちを呼べ。」
と側の従者に伝えた。