4話
中学になると
理解されない私の感覚は
周囲から距離を取られた
それでも
無難の程度を
合わせる苦痛より
年々、力が強くなった兄から受ける苦痛の方が
より激しくなった分辛かったから
逃げられない苦痛より
逃げられる苦痛があるなら
少しでも緩和する為に
登校拒否をしてる同級生の家に行って日中を過ごした
他愛の無い話。
なるべく、学校の話は避けたけど
私は彼女が羨ましかった。
登校拒否の理由が
部活のメンバーに無視をされた。
それだけだったから。
それだけで登校拒否が出来て
それだけで逃げられた彼女が
心底羨ましかった。
無視?そんなの私もされた
何なら上履きを刻まれたりもした
権力主義な中学生達は
人気のある兄への羨望や恨みを私にぶつけたし
助けなんて誰も居ない私と
暖かい家族のいる彼女
羨ましいに決まってる
ずるい。
それでも彼女だけが
私の行き場だった。
自分と比べて待遇の違いに
虚しさも感じるから
たまにしか行けなかった
帰り道に泣きそうになるから
「また、来てね」
って優しい言葉にも
泣きたくなるし
ずるいと思いながら
逃げ場にしてる汚い自分が嫌になりながら
複雑で仕方なかった。
ごめんね。
高校になると彼女は無事に進学し彼氏も出来て幸せにしてると聞いた
良かった。
少し安心した。
でも羨ましかった。
余りにもかけ離された私は
彼女に会いに行く事を辞めた。
私は壊れてしまった。
殴られ罵られてた時間の最中に何が起こったのか
次の瞬間、全てが横向きで
何もわからないまま
何故か涙が沢山出ていて
気付くと倒れたんだと分かった
記憶も感触も無く
震えが止まらず
起き上がる事も
喋る事も出来ず
ただ驚いた
兄は「そこで死んどけ」
と部屋を出ていったけど
私には何が起こったのか
さっぱりだった。