33話 フィリスの住処
誤字報告頂きましてありがとうございます!
一応書き溜めて居るのを投稿前にチェックはして居るのですが、漏れていたので本当に助かります。
「はぁ!セイッ!まだまだぁっ!」
早朝のビーチ。
僕はミアさんの猛攻に晒されています。
な、何かミアの木剣での一撃が、一昨日よりも力強く感じる…
今朝、女の子の日に効くという竜族の秘薬をフィリスに渡されたミアは、恐ろしく元気になった。
人体に悪影響を及ぼさないのか聞いてみたが、大貴族の令嬢が大金を叩いて手に入れる事もあるそうで、全く人体に害は無いという。
そんな高価な薬を頂いても良いのか聞いてみたけど、敬愛する奥様の為ならばいくらでも用意致しますとの事。
たった1日で、ミアはフィリスと大の仲良しになっていた。
当人のフィリスはと言うと。
「流石レイン様。
主人様の相棒と仰るだけ有って、魔力の制御がとても素晴らしいですわ」
「え、そ、そうかな?
えへへへ。フィリスさんに認めて貰えると、自信がつくなぁ」
「ちょっ、何鼻の下伸ばしてるのよ、レイン!」
「ベティ様の魔術発動の速さも、人族の最高峰と言えるでしょう。
ベティ様は間違いなく、歴代最高の大賢者様であらせられます」
「え、や、やっぱり?
フィリスさんはとても見る目が有るわぁ!
ほら、わたし、こんな魔術も使えるのよ?」
あの2人も、見事にフィリスに籠絡されている。
昨晩、レインが氷結魔術を使った事を伝えると、フィリスの態度は一変。
僕の仲間だという事も有って、2人の事も敬うようになった。
ギルド長は『下衆極まりない卑き者』という凄い称号を貰っていたけど、フィリスの胸をチラ見しまくってたから仕方ない。
「わ、わ、ちょ、ミア!ストップ、ストップ!
木剣が…」
バキィィィイン!!!
折られました…僕も吹き飛ばされました。
ミアが慌てて駆けつけて来た。
「ランディ、ゴメンなさい。大丈夫?」
「ダ、ダメかも…」
◇◇◇◇◇
僕はベッドルームで目を覚ました。
どうやら、あのまま気絶したらしい。
「うぁぁぁん!ランディィイ、良かったぁあ!!」
べっサイドに居たミアが、泣きながら抱きついて来た。
む、胸が…か、顔に…興奮し過ぎてまた気絶しそう…
何とか泣いてるミアを引き剥がしてリビングに向かうと、スイートルームのキッチンでフィリスが料理を作っていた。
ソファにはレインとベティも居る。
って言うか、フィリスって竜なのに何で家事が出来るの?
僕らはフィリスの作ってくれた朝食を頂いたのだけど…
「う、うまぁ!何このスープ!
濃厚な旨味と、スッキリした後味…何杯でもイケるゼェェエ!」
「この魚を煮込んだお料理も凄く美味しい!」
「主人様と奥様に気に入って頂けて何よりです」
僕とミアががっついている様を見て、フィリスが満足そうな笑みを浮かべている。
って言うか、フィリスって何者なの?
「本当にすごく美味しいよ!
一部の高位の竜種は人化出来るって聞いた事はあるけど、まさか人間の料理も出来るなんて思わなかった」
「レイン様は博識でいらっしゃいますね。
私はかなり以前に人化して、人族の社会で暮らしていた事がございますの。
下賎な者どもの作る物を口にしたくなかったものですから、自分で料理をするようになったのです」
「フィリス、あの…他の人達の事を卑下するのは辞めて欲しいな。
あと、フィリスも僕らと一緒にご飯を食べようよ。
あまり召使いみたいにして欲しく無いんだ」
「かしこまりました。
主人様の仰せの通りに致します」
フィリスは丁寧にお辞儀をして、ソファに腰をかけた。
1人だけ立って皆んなが食べ終わるのを待つなんて扱いはしたくない。
フィリスも僕らの仲間なんだから。
皆んなで美味しい食事を食べながら、僕はフィリスに上下関係無しの対等な仲間として過ごしてくれるようにお願いした。
フィリスは少し難色を示したものの、少しずつ慣れるように努力すると言って貰えた。
◇◇◇◇◇
「フィリスちゃんモデルさんみたい!
ねえ、今度はこっちのお洋服も着てみて!」
「顔もスタイルも良いから、どんなデザインでも似合うよね〜」
「そんな、私など奥様とベティ様の美貌には敵いませんわ。
私みたいな者に、これ程良くして頂かなくても…」
「ダーメ!フィリスちゃんもミア達の大事な仲間なんだからね!
フィリスちゃんも、ミア達と一緒にオシャレするの!」
「奥様…何とお優しい…私、本当に幸せにございます」
ただ今フィリスの洋服を買いに来ております。
女性陣がとても盛り上がっていて、僕とレインは完全に蚊帳の外だ。
最早、僕たちのパーティーの中心が、フィリスになりつつある。
まぁ、美人なお姉さんという見た目に、丁寧な物腰と来れば、皆んなに好かれるのは当然なんだけどね。
フィリスのおかげで、今日はまだパーティー内の口喧嘩が一度もない。
これだけで、フィリスを仲間にして良かったと思う。
フィリスの身の回りの物を一式買い終わった僕たちは、地元で有名なパンケーキ屋さんで昼食がてらこれからの事について話し合う事にした。
「王都に戻った時のフィリスさんの住む所が問題よね」
「そうだね。ミア達は寮に住んでるからなぁ。
宿に泊まって貰おうか」
「そんな…私如きは野宿で十分でございます」
「フィリス。君は僕らの大事な仲間だって言ったろう?
野宿なんてさせられないよ」
「主人様…ありがとうございます…」
あ、フィリスが泣いてしまった。
そんなに感激される事じゃないんだけど。
それにしても、フィリスの住む所は結構な問題だ。
「住む所なら多分大丈夫じゃないかな?」
「むっ、レイン。何か良い意見でも?」
「ああ。
昨日僕らは、ワイハー領の厄災を解決した事になったじゃない?
それで、ギルドは僕らを特別認定冒険者にしてくれたんだ」
レインの話では、15歳未満であっても、今回のように多大な功績を挙げた学院生を、特例として冒険者と認める制度があるらしく、僕らは前回の魔族討伐と今回の件で、Cランクパーティーに特別認定されたようだ。
特別認定冒険者パーティーは、パーティーハウスを借りる権利があるという事で、僕らは王都に家を借りる事が出来るんだとか。
4人とも学院長の認可が下りれば、寮を出てパーティーハウスを拠点として生活出来るらしい。
「この間の中間査定で僕は学年1位、ランディは3位、ミアは4位だったじゃない?
ベティは魔術学院でダントツの1位だし、寮を出る許可も下りるハズさ」
「やった、問題解決だなぁ!
大きめの家を借りたとしても、月に30万ルエンくらいで借りられるだろうし。
ミアとも一緒に住めるなんて最高じゃないか」
「やったぁ!ランディと一緒に住める〜♫」
「アンタらのイチャイチャを見せつけられるのは嫌だけど、レインと一緒に居られるのはわたしも嬉しいわ」
良し!これで問題は解決だ。
女性陣も喜んでるみたいだし、めでたしめでたし。
「あ、でも、その場合は、教官も監視役として近くに住むはずだよ?」
レインの言葉を聞いた僕は、とても嫌な予感がした。
近くに住むってもしや…




