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3話 僕が嫌われている理由



 何故僕がクラスメイト達に嫌われているのか?

 それは、僕の能力とジョブに関係が有るんだと思う。


 僕のジョブは『魔力操術師(ハッカー)』。

 イーミス王国には、このジョブを持つ人が居ないらしい。

 イラズミス帝国にいた頃、僕に体内魔力の扱い方を教えてくれた爺ちゃんが同じジョブだったけど、爺ちゃん以外の『魔力操術師』と出会った事は無い。

 かなりレアなジョブなんだと思う。


 能力としては、自分の体内魔力を効率的に循環させて、魔力での身体能力強化を効果的に行う事。

 そして、周囲に展開させた自分の魔力を操って、他人の魔術に介入したり、魔力循環が未熟な魔物の体内でバグを引き起こす事。


 皆んなから嫌われるキッカケになったのは、入学して一ヶ月経った頃に、あるトラブルを起こしたから。

 あの時は、実戦演習の授業で生徒同士の模擬戦をしていたんだけど、僕の模擬戦が終わった時に突然マックが難癖を付けて来た。



「今の模擬戦は無効だ!

 コイツは不正を働きやがったんだ!」



 マックのこの言葉に、クラスメイト達も一緒になって僕が不正をしたのだと言い出した。

 あの頃の僕は、魔力操術がマイナーな技術だとは知らなくて、思わず腹を立ててしまったんだけど、それがいけなかった。


 僕を非難したマックを殴ってしまい、それで一週間の停学処分を下ってしまったんだ。

 停学明けの教室には、僕の味方なんて誰も居なかった。

 同年代の友達なんて、寮で同室のレイン以外居なかったし、コミュ症の僕は入学後もクラスメイトとまともに口を聞いてなかった。

 そこにあんな問題を起こしたのだから、迫害されるのも当然だろう。


 僕が行なっているトレーニングも、クラスメイト達には不気味に映って迫害に拍車をかけたっぽい。

 僕はただ、自分の体内の部位にデバフをかけて、その部位に体内魔力をぶつけてデバフ効果を無効にするトレーニングをしていただけなのに…


 デバフの魔術はまだ慣れてないから、小声で詠唱する必要があって、何かブツブツ言ってるみたいに見られるんだろうけど。


 このマックとの一件以来、僕は陰湿な嫌がらせを受けるようになった。

 そして、僕はクラスメイトからどんな嫌がらせを受けても、只管耐え続けた。

 また、短気を起こしてしまうと、特待生の資格を剥奪されるかも知れないし。


 有り難い事に、僕にはレインという最高の友達がいる。

 クラスでの嫌がらせに耐えて寮に戻れば、こんな僕にも気さくに接してくれるレインに会える。

 レインと早朝トレーニングや放課後のトレーニングで汗を流していれば、嫌がらせによるストレスも吹き飛んで行く。


 今回はたまたま長期の野外演習で、クラスが違うレインと僕は2ヶ月程会えなかったけど、今後はここまで長期間顔を合わせない事は無いと思う。


『大魔導師』という高位のジョブを持つのに、貪欲に自己を高めようとトレーニングに励むレイン。

 高い実力を持っているのに、奢る事も他者を見下す事もしない人格者だ。

 レインと学院で出会えた事は、間違いなく僕の人生で一番の幸運だと思う。


 卒業後にレインとパーティーを組むという約束を守るためにも、僕は二度と嫌がらせに屈しない。


 僕はスルースキルを身に付ける事を心に誓って、今日も眠りにつくのだった。



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