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23話 世界で一番アツい夏休み ①

 


 待ちに待った夏休みに入った。

 僕、レイン、ベティ、ミアの4人は、カメーリア連合国ワイハー領フオア島に来ている。

 そう、例の婚前旅行というヤツだ。

 ワイハー領は複数の島から成っていて、世界屈指のリゾート地として有名だ。

 魔物の被害も一部を除いて殆ど無く、安心して観光出来る。

 経済大国の王国からの観光客が一番多いらしい。


 船だと2週間かかるらしいけど、僕らの乗った最新型の魔導飛行船では、何とたった9時間程で着いた。

 驚いたのは、時差があるということ。

 朝10時に出発して、ワイハーに着いたのは朝8時。



「ランディ!あそこに迎えの魔導車が来てる!」



 ミアが指差す方を見ると、黒光りしたやたらと縦長の魔導車が停まっていた。



「お、おい、レイン。

 な、何だい?あれは?バスかい?」


「はははは、バカだなぁ。

 アレはジンリムっていう高級車だよ」



 な、なるほど…高級車ってあんな感じか。

 僕はミアに手を引かれるまま、ジンリムに乗り込んだ。

 とても豪華な内装で、シートは総革張り。

 車内がとても広く、何故か天窓が付いている。

 サイドテーブルの上に、ペリドンという高級発泡酒のボトルと、専用の長細いグラスが置いてある。

 王国もカメーリアも、飲酒と喫煙は14歳から認められているけど、学院の寮内や校舎内では飲酒禁止なので、僕は飲んだ事が無い。



「知ってる?

 ペリドングラスを片手に、天窓から身を乗り出すのがカメーリア流なんだよ?」



 う、うお…そんな危なっかしい流儀があるの?

 ミアの情報は何とも疑わしいけど、他国ではその土地の流儀に従えという格言がある。

 一丁やってみるか。

 ペリドンをグラスに注いで片手に持ち、自動で空いた天窓から上半身を出してみた。



「おおお〜!気持ちいいなあ!」



 カラッとした暖かな風を感じながら、海沿いの景色を眺めると、気分は最高潮に高まって来る。

 流石リゾート地なだけ有って、透き通るようなブルーの海が最高に綺麗だ。

 見慣れない形状の木が所々に生えていて、異国情緒が感じられる。

 何故か道を歩く人は、僕を見て笑っているようだけど…



「キャアアア!ワイハーサイコー!」



 ミアも胸が痞えながらも、天窓から上半身を乗り出した。

 2人で出ると、ちょっとキツいな。

 でも、ワイハーの風は心地良いし、海沿いの景観も最高だ。

 テンションが上がってしまった僕は、身を乗り出したままミアと乾杯して、ペリドンを飲んだ。


 ジュースみたいに甘いのかと思ったけど、甘くは無い。

 でも、果実っぽい香りや酸味があって、スッキリとした感じだ。

 お酒って意外に美味しいんだな。


 10分ほどカーメリア流とやらを堪能したので、レインとベティと交代した。

 車内のシートに腰を下ろすと2人の腹部から下しか見えないけど、2人ともとてもはしゃいでるのが分かる。

「ヒャッハー!」というレインの雄叫びが聞こえて来るあたり、いつになくテンションが高い事が伺える。



「このカメーリア流を楽しむ人たちの事を『パリピ』って言うんだって」


「なんか楽しげな響きの言葉だね。

 じゃあ、僕らも今日から『パリピ』の仲間入りかぁ」



 旅の開放感からか、僕とミアはいつもより密着しながらペリドンと、窓から見えるオーシャンビューを楽しんだ。


 こんな楽しい夏は生まれて初めてだ。




 ◇◇◇◇◇




「あ、あれ?こ、ここは?

 うぅぅ、あ、頭が痛い…」



 目が醒めると、真っ白な天井が目に入った。

 心地よい海風が感じられる…僕は天国にいるのかな?

 意識がはっきりしてきた所で、周りを見回す…!!!


 と、隣に裸のミアが寝ている!!

 いや、ミアだけではない。ぼ、僕も全裸だ!!

 こ、これは不味いぞ!

 まだ学生の僕らがこんな事をしては…


 僕はミアの方を見ないようにして、そっとベッドから抜け出した。

 どうやら、ここはベッドルームのようだ。

 全体的に白を基調とした室内は、とても広くて高級感がある。


 床に脱ぎ捨てられていた服を着て、寝室のドアを開けると広いリビングルームに出た。

 ゆったりと大きなブラウンのソファ、大きな大理石っぽい天板のテーブルには、ペリドンのボトルと2つのグラスが転がっている。

 窓からは明るい日差しが差し込んでいるので、それ程時間は経ってないみたいだ。


 隅の方にバーカウンターが有り、その奥に大型の魔導冷蔵庫が備え付けられている。

 僕は魔導冷蔵庫を開けて、中を物色した。

 瓶入りのミネラルウォーターが有ったので、1本取り出してソファに腰を下ろした。


 な、何が有ったんだ?

 冷たいミネラルウォーターを飲んで、シャキッとさせた頭をフル回転して記憶を辿る。


 ジンリムが高級リゾートホテルに到着したのは覚えている。

 みんなやたらとテンションが高くなっていた事も。

 予約をしてくれたレインがフロントで手続きをして、カードキーを受け取って部屋に入った。

 そこまでは何となく思い出せた。


 そういえば詳しく確認してなかったけど、僕らはそれぞれ個室を予約したんだよな?

 レインがちゃんとしておいたって言ってたから、間違いは無いはず。

 なら、どうしてミアが同じ部屋に?

 しかも、何故裸で?

 え?2人とも裸って事はそういう事が有ったとしか…



 ご、ゴメン。爺ちゃん…僕…堕落してしまったよ…



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