18話 魔族討伐 ①
ミアの目的を聞いた翌朝。
今朝も、レインとミアと3人で特訓している。
ミアはすっかり魔力循環の基礎を会得したみたいだ。
さすが、剣聖というジョブは伊達じゃない。
今は、部分的な魔力による身体能力強化の訓練中だ。
まだぎこちない無いけれど、以前とは比べ物にならない程のスピードと力強さで動けている。
「そう!ただ走るだけじゃなくて、身体のどの部分の力を使っているか意識するんだ!」
「ちょっ、やっぱりコレキツいよ。
あ、待って!」
30km程訓練場の周りを走った辺りで、ミアの集中力が途切れたようだ。
徐々に僕との差が開いて行く。
でも、これだけ付いて来られるのも大したモノだ。
僕よりも上達が早い。
よし、そろそろ時間だな。
「よし、朝練はこれくらいにしておこう。
レイン、こっちに来てくれないか?
大事な話が有るんだ」
僕はレインを呼んで、ミアからもう一度彼女の目的と加入の意思をレインに話して貰った。
流石に魔族が相手となると、命懸けになる。
レインもパーティーリーダーとして、簡単に返事は出来ないだろう。
「僕も、気軽に答えが出せるような事では無いと思ってる。
それでも、これだけ親しくなったミアに協力してあげ…」
「もちろん、大歓迎さ!
っていうか、当然ミアちゃんも加入するって思ってたよ」
え?アッサリし過ぎてないか?
レインは事の深刻さを分かっているのかな?魔族だよ、魔族。
それとも、僕の知らないマ・ゾクとかいう魔物がいて、それと勘違いしてる?
「魔族だよ?分かってる?
魔界から来た凶悪なヤツらだよ?」
「酷いな。そんな無知じゃないよ。
寧ろ、ランディこそ、自分がどれだけ人間離れしてるか分かってる?
ランディに鍛えられた今の僕らなら、下位の魔族くらいなら討伐出来るよ」
レインがとんでもない事をおっしゃった。
大体僕が人間を辞めてるみたいな言い方は辞めてくれ。
「ミアも薄々、ランディは人間じゃないって感じてたよ?
だって、今のミアでさえ、グレートファングの首を簡単に落とせそうだもん」
「嘘つけ!
グレートファングの体表は、ミスリルゴーレムくらい硬いんだぞ?
幾ら剣を強化出来ても…」
「いや、側から見てても、ミアちゃんの強化なら一閃で首を飛ばせると思うよ。
前から思ってたけどさ…ランディってDランクパーティーならDランクのダンジョンのボスを犠牲を出さずに倒せるとか思ってない?」
「そんな事は思ってない。
多少のダメージは負うだろうさ」
全く、人を非常識なヤツみたいに言わないで欲しい。
幾らか手傷を受けてでも、倒し切る実力が有ってこそのDランクパーティーだ。
「いや、多少のダメージじゃないよ。
Dランク上位の魔物が相手なら、Dランクパーティーの誰かが命を落とす事もザラだよ。
油断していて、全滅するパーティーだっているくらいさ」
「そんな訳無いだろう。
Dランクパーティーって、メンバーの過半数がDランク冒険者のパーティーって事でしょうが」
「はぁ、ランディって物知りなのに変な所が抜けてるよね。
パーティーの総合戦力でDランク相当って言うのが、いわゆるDランクパーティーなの。
Eランクが大半を占めてても、Dランクパーティーになる事も珍しくないわ」
な、何い!それじゃあ1人でも欠けたら、Eランク上位くらいになるでしょうが!
「だいたい、ダンジョンボスのDランクって、パーティーで闘う事前提のランク付けだよ?
因みにグレートファングを単独で倒すのは、Bランク上位の実力が無いと無理だ」
「そ、そうなんだ…何かゴメン」
「まぁ、謝らないでよ。
分かってくれれば良いんだ。
そうだ、今度の土曜日に皆んなで下級魔族を討伐に行かない?」
レインがいきなりとんでもない事を言い出した。
おい、幾ら何でもそれは危険だろう…
でも、反対したところで、2人に言い返されるの見え見えだし。
結局、腕試しという事で、王都の外れに出現した下級魔族の討伐に行く事になった。
因みに、レインの話では下級魔族は僕の予想以上に多数存在するらしく、冒険者と騎士団が協力しても手が回らないのが現状らしい。




