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14話 僕とレインのお小遣い稼ぎ ①

 


 今日は日曜日で学院は休み。

 久し振りににレインと冒険者ギルドに行って、Dランク魔物のゴブリンハイロードの集落を討伐するクエストを受ける事にした。

 言ってみれば、僕とレインのお小遣い稼ぎである。



 学院生は大半の生徒が冒険者の仮登録を行なっており、休みの日に討伐や採取のクエスト、ダンジョン探索などをこなしている。

 因みに、一般の生徒はEランク相当のクエストとダンジョンにしか行けないけど、成績トップ10の生徒は複数人でDランク相当まで受けられる。


 僕らが今回向かうのは、王都の西門から50㎞ほど離れた所にある廃村だ。

 ゴブリンハイロードが巣食った廃村の近くに村が有って、奴らの襲撃を度々受けているらしく、今日は廃村を根城にしたゴブリンハイロードと取り巻きのゴブリンの討伐クエストを受けたというワケ。



「レイン、少しペース落ちてるよ」


「ちょ、ぼ、僕は後衛なんだから、ハァ、ハァ、も、もう少しペース落として…」



 これ以上ゴブリンどもの被害が出ないよう、いち早く討伐をした方が良いと考えた僕らは、魔力循環で身体能力強化をしてダッシュで廃村に向かっている。

 ただ、レインは30㎞を過ぎた辺りからペースが遅くなってきて、40㎞手前で泣きを入れて来た。



「弛んでるなぁ、ミアだったらこの位平気でついて来るよ?」


「ハァ、ハァ…ミ、ミアちゃんも前衛じゃないか…ちょ、ちょっと休もう…」



 レインはそう言うと、地面に四つん這いになってしまった。

 後衛のレインがいざ戦闘に入った時にバテバテだと困るので、僕はレインを背負ってダッシュを続けた。


 確かにレインの言う通り、後衛はそれ程体力は使わないとされているけど、魔物との戦闘では不測の事態に見舞われる事がままある。

 どんな時でも素早く行動に移せるように、基礎体力をしっかり付けておく必要があると僕は考えているし、レインもある程度基礎トレーニングはやっている。

 でも、レインはまだ基礎トレーニング不足のようだ。



「レイン、もっと基礎体力はつけないとダメだよ?」



 僕は背中のレインに語りかけた。



「あ、あのさ、どこの世界に50㎞を一時間で駆け抜ける後衛が居るのさ?

 ランディはもっと常識を身に付けた方が良いよ」



 むう、僕のような常識人を捕まえて何を言うんだ。

 恐らくレインはこれ以上体力の無さを指摘されたく無いんだろうな…

 僕は話題を変える事にした。



「そう言えば、ベティは今日は来ないんだね」



 僕が言ったベティとは、王立魔導学院に通っているレインの幼馴染で、彼の恋人の事だ。

 卒業後に組む予定の、レインがリーダーとなる『魔術的兄弟(マジカルブラザーズ)(仮)』にベティも加入予定だ。

 ベティは賢者のジョブを持っていて、支援魔術の天才。

 彼女のバフが有ると、無いとでは大違いなんだ。



「ベティは魔導省で論文の発表があるみたいで、今日は無理だって」



 魔導省というのは、魔術を学術的に研究する機関で、ここで発表された理論を元に魔導具開発が行われる事も多い。

 学院生が魔導省で論文を発表するとか、もはやベティは魔術界の麒麟児でしか無い。


 レインの返事を聞いて落胆している内に、件の廃村が見えて来た。

 僕らは一旦近くの雑木林に隠れた。

 僕は早速周囲に薄く展開している魔力で、ゴブリンの大まかな数を把握する。



「う〜ん、廃村に居るのは大体60体くらいだな。

 ただ、僕の索敵はベティの索敵魔術よりも精度が低いから、中に攫われた人が居てもゴブリンと区別が付かないんだよね」



 僕はレインに大まかな個体数を伝えた。

 ただ、彼に伝えた通り、僕は自分の魔力の範囲内に存在する別の種類の魔力と、個体の大まかな形状を感じ取る事は出来るけど、見た目が人間に近いゴブリンは人との区別がつかない。


 自然界の人型魔物は、モネの言うところの犯すために女性を攫って自分達の集落に連れ込む事がある。

 60体程度のゴブリンなら、僕の魔力操術(ハッキング)で一瞬で爆死させられるけど、攫われてる女性まで一緒に爆散させてしまう可能性があるので、目視して確認するまでは魔力操術(ハッキング)を使わない方が良い。



「60体か…やっぱり確実にゴブリンだけを仕留めるためには、廃村に侵入して各個撃破しかないかな。

 僕は南側から侵入するから、ランディは北側から侵入して挟み討ちで狩って行こう。

 侵入したら、僕は廃村の南半分を防護結界で覆うから、ランディも侵入したら廃村の北半分を例の魔力の壁で覆って欲しい。

 これでゴブリンを逃がす事なく討伐できる筈だよ」



 レインの言う戦略には間違いが無い。

 何せ将来のパーティーリーダーだからね。



「了解。あと、ゴブリンハイロードは判別出来てるから、直ぐにでも魔力操術(ハッキング)で体内爆破出来るけどどうする?」



 ゴブリンハイロードは4メートル程の巨体なので、流石に人間と間違える事は無い。



「そうだね、廃村に侵入したら直ぐに爆死させようか。

 ボスが居なくなった群れは混乱するからね。ド派手に爆死させてあげてよ」



 僕はレインに首肯して、早速廃村の北側へと回り込んだ。

 途中廃村を覆う柵の外側を巡回しているゴブリンが居たので、魔力操術(ハッキング)で爆死させておく。

 この魔力操術のメリットは、集団を削る際に悲鳴すら上げさせない所だろう。

 その後も巡回のゴブリンを爆死させて行き、廃村の北側からの侵入に難なく成功した。


 先ずは周囲に展開する魔力量を増やして、北半分を覆うように魔力を固定させて壁を作る。



「うむむ、結構魔力を消費するな…魔力回復薬を飲んでおくか」



 僕はマジックバッグから魔力回復ポーションを取り出して、一気に飲み干した。

 コレはベティのオリジナルレシピで調合したもので、回復量も多い上にミックスフルーツ味でとても美味しい。

 僕は心の中でベティに感謝をしつつ、集団のボスであるゴブリンハイロードを魔力操術(ハッキング)で爆死させた。



 ギギャァア!!!ギギャッ!ギギィッ!!!



 次の瞬間、廃村の中央付近でゴブリンの叫び声がけたたましく響き始めた。

 叫び声は廃村のあちこちに伝播して行く。

 恐らくゴブリンハイロードの近くにいた取り巻きのゴブリンどもが、ボスの爆死を目の当たりにして仲間に危険を伝えたんだろう。

 だけど、今更もう遅い!


 ドゴォォン!ズドドドドド!!


 レインの攻撃魔術による爆音が、廃村の南側から聞こえてくる。

 警戒したゴブリンどもが廃村のあちこちにある廃屋から姿を現したけど、視界の範囲内のゴブリンは魔力操術で胸部の魔核付近を爆破して次々と骸に変えて行く。


 僕とレインによるゴブリン供の掃討は着々と進んで行って、周囲に展開した魔力で引っかかった生命体は残り4体となった。



「ランディ、お疲れ様。

 大体片付けたみたいだね」



 レインが南側から涼しい顔でやって来た。

 まぁ、大魔導士のレインからすれば、ゴブリンの掃討なんて朝飯前だよな。

 僕ですら準備運動にしかなってないんだから。



「お疲れ様。後はあの廃屋に4体いるだけだ」



 僕はそう言って、ボスのゴブリンハイロードの反応が有った大きめの廃屋を指差した。



 バゴーン!!!



 僕らが廃屋へと歩き始めた時、廃屋のボロい扉が吹き飛んで、中から一糸纏わぬ若い女性を羽交い締めにしたホブゴブリンが現れた。


 どうやら、人質を取って逃げようとしているらしい。


 レインが頬を赤らめながら、裸の女性をガン見している…親友のよしみでベティには黙っておこう。

 ベティは整った顔立ちをしている美人だけど、メチャクチャ怖いからな…



本作を読んで頂いてありがとうございます!


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