4.異世界オートマタを作ろう!
魔法が使える事がわかってから佑太はニキに魔法を教わっていた。
山の頂上なのに『服が透けてドキっ!渚の水掛けっこ』と称して水の魔法で濡れた体を『世界に二人きりになったみたい』と火の魔法でつけたたき火で暖めた。
『私が好きなら捕まえて!』とばかりに風の魔法で加速するニキを土の魔法で邪魔しながら追いかける恋人同士の追いかけっこも堪能した。
こうして毎日必死に魔法の練習をしているのにラピスは冷めた目線で砂を吐いていた(ご丁寧に砂の魔法で再現して)
そして一通りの修行(遊び)を終え、佑太はある事を始めようとしていた。
「異世界なら簡単にオートマタが作れるんじゃないか?」
オートマタを知らないニキとラピスを前に佑太はまず石の魔法で小さな人形を作る。
その人形に命令文を仕込んだ小さな魔晶石(魔法を封じ込める事が出来る石。超貴重!)を埋め込む。
次に別の魔晶石に音の魔法を封じ込めて完成。
ちなみに魔晶石はニキの巣穴に一杯あったのを少しもらった(ドラゴンはやはり宝石が大好きだ)
「それでどうするの?」
ニキの質問に佑太は行動で答える。
音の魔晶石に魔力を流すと、静かに曲が流れだす。
その音に石で出来た人形が反応し、足を滑らせながら後ろ歩き(ムー○ウォーク)をしたりやたらとキレのあるダンスを披露する。
「何これ、面白い!」
「貴重な魔晶石を使って何やってるのよ・・・」
ラピスは若干呆れ気味だったがニキは初めて見る異世界版オートマタ(に似せたゴーレム)に大興奮だった。
そして佑太も、前の世界で密かに好きだったオートマタを歯車ではなく魔法でとはいえ再現できた事に喜びもひとしおであった。
そして魔力が切れると同時に人形も動きを止めた。
「止まっちゃたわよ?」
「音楽が止まると共に止まる。それがオートマタの美学だ!」
後に『高度な魔法技術と高価な材料を駆使した芸術品』として佑太の作る異世界版オートマタが王族や貴族の間で流行になるのだがそれはまた別の話である。