3.大魔法使いの誕生
愛しのニキとイチャイチャラブラブな日々を送る佑太。
そしてそれを砂でも吐きそうな顔で見守るラピスの3人で暮らす日々。
ある日佑太は思い付きでニキに聞いてみる。
「魔法って使えるの?」
こうして今日はニキから魔法を教えてもらう事になった。
結果的には魔法は使えた。
ニキが唱えた呪文を真似して唱えたら使えてしまった。しかも随分と強力になって。
「佑太、すごい」
「ウソでしょ?教えてすぐに使える上に威力が上がるなんて・・・」
ニキが教えてくれたのは人間達の間では当に忘れ去られた古代語の魔法だった。
ドラゴンは呪文など唱えなくても平気らしいのだが、人間である佑太に教える為に古代語で呪文を唱えたらしい。
しかし佑太の耳には普段の会話と古代語の区別はつかなかった。
「古代語の意味がわかる?」
「確かにそれならイメージも強くなるし威力が上がるのもわかるけど・・・なんであなた、古代語がわかるの?」
試しにドラゴン達が使う『力ある言葉』による魔法もニキ達は教えてみた。それすらも佑太は普通以上に使いこなしてみせた。
「佑太、カッコいい!」
「まさか『力ある言葉』まで話せるなんて・・・。あなた本当に人間?」
ニキの羨望の眼差しとラピスのどこか恐ろしいものを見るような眼差しにさらされながら佑太は悩んでいた。
「というかさっきから全部普通に話して聞こえるし俺も普通に話してるだけだぞ?」
どうやら原因は女神だったらしい。
突然三人の耳元に女神の声が届いたかと思うと事情を説明してくれた。
何でも、佑太をニキの元に送る際に異世界な上に相手がドラゴンでは言葉に苦労するだろうからと、前もって『叡智の言葉』なるスキルをつけてくれたらしい。
そのスキルはどんな言葉も自分のわかる言葉に置き換えてくれるしどんな文字でも読み書き出来るという優れものだった。
その結果、かつて滅びた古代魔法言語も生物体系すら違うドラゴンの『力ある言葉』も全て変換されて入力・出力されたのだそうだ。
魔力は肉体をこちらに移す際に女神が恩寵を与えて丈夫な体にした為にドラゴンの夫として相応しいものなっているらしい。
それがどれくらい常人離れしているのかは教えてくれなかった。
「確かに私、佑太に毎晩殺されるかと思うくらい愛されてる・・・」
こうしてある意味『竜殺し』な大魔法使いが誕生したのだった。