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秋葉原ヲタク白書20 メトロキャプテン危機一髪!

作者: ヘンリィ

主人公は、SF作家を夢見るサラリーマン。

相棒は、老舗メイドバーの美しきメイド長。


このコンビが、秋葉原で起こる事件を次々と解決するという、オヤジの妄想満載な「オヤジのオヤジによるオヤジのためのラノベ」シリーズ第20作です。


今回は、主人公の出世作「地下鉄戦隊メトロキャプテン」のロケで、悪の女幹部役の女優から、天才ゲーマーである元夫探しを依頼されるコンビでしたが…


お楽しみいただければ幸せです。

第1章 真夜中のロケ


深夜の中央通り。ドンキ秋葉原店の前。

地下鉄戦隊メトロキャプテンのロケだ。


「今宵も悪のある限り、終電前に悪を討つ!メトロキャプテン、降臨オーライ!」

「ああーん!もう少しで終電だったのに!さぁリア充戦闘員、やっつけておしまい!」

「キィ!」


地下鉄通風孔を吹っ飛ばし(ココは後でCG化予定)メトロキャプテン、カットイン!

全身黒タイツスーツのお約束な男女戦闘員が一斉にメトロキャプテンに襲いかかる!


最近の戦闘員は、男女雇用機会均等法やら働き方改革やらで男女同数が必須の条件だ。

実は全員男性なんだけど半数のタイツに無理やり凹凸をつけ妄想女子戦闘員にしてるw


「お待ち!メトロキャプテン!可愛いメトロンがどうなってもいいの?」

「ごめんなさーい、キャプテン!捕まっちゃった。助けてー!」

「おのれ!卑怯だぞ、迷宮女王ラビリーヌ!」


このちょっち昭和なセリフ回しがウケてて、僕は番組に人気が出た理由はコレだと思ってる。

あ、僕はサラリーマンライターで「地下鉄戦隊メトロキャプテン」の原作(ほん)は僕が描いている。


「今宵はココまでだ!メトロキャプテンにメトロン!覚えてなさい!」

「忘れたわ!もう貴女は過去の人!」

「カーーーット!OK!最高の絵が撮れた!お疲れ!」


ホントは、ココでキャプテンが相棒のメトロンを救出するアクションシーンが入るんだけど、特撮部分があるので後日スタジオ撮りの予定。


#4まで積み上げ、やっと鬼監督のOKをゲットしロケ隊は撤収に入る。

ライターとして参戦してた僕にもスタッフからお疲れ様の声がかかる。


お?スタッフだけじゃない?

悪の女幹部からも御挨拶だw


「大先生がロケの現場まで出張(でば)るなんて珍しいのね」

「好きなんだ、真夜中のロケ」

「で、最後のメトロンのセリフだけど、少しヒドくない?」


ははーん「貴女は過去の人」のコトだなw


ストーリーの流れ的に必要な台詞なんだが、確かにアンマリだったカモしれない。

彼女は、黒ビキニにメタルっぽいプラ板を付けただけの悪の女幹部定番のコス(チューム)。


アラサーの彼女にとり、このコスだけでも老骨鞭打つのに、このセリフが追い打ちかけてる。

しかも、いかにヒロインとは逝え後輩の若手女優からぶつけられるのは、残酷かもしれない。


セリフを描いたライターの僕には女優をケアする義務が…あ、先制攻撃w


「テリィ大先生、タマにはミユリのバーで飲みたいなぁ。あ、ダメょ。見ちゃダメ」

「え?え?何を?」

「汗ばんだ…私の胸の谷間。あ、また見た」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「あのメトロン役の若い子、大嫌ーい。アクションやるにしちゃ膨らみ過ぎなのょ!」

「夢が?」

「胸が!」


泥酔1歩手前の悪の女幹部(私服に着替えてマスw)が僕の人差し指を摘んで胸の谷間にズブっ!…すげぇ!指の根元まで埋もれるw


「ちょっと!ラビリーヌ!」

「あ、ごめーんミユリ。貴女の貧乳じゃマネ出来なかった?」

「ひ、ひ、貧乳?!ミユリさんを貧乳と呼び…マスか?!」


ココは、僕の推し(てるメイド)のミユリさんがメイド長を務める老舗の御屋敷(メイドバー)だ。

高速回転しながら発する電波に操られて、ヲタクが続々と集まる"中性子星(パルサー)バー"。


例えば、僕達は悪の女幹部&戦隊モノのライターだけど、お隣のスピア&知らない男は、凄腕サイバー屋と…あれれ?誰だろう?


「だから!さっさと教えなさいょ、時間トンネルの在り処。貴方が時間ナチスを1958年のベルリンに送り帰したのはわかってるの!」

「そんなの逝えるハズないだろ?国家機密ナンだから殺されちゃうょ、デルタ・ストライクの連中に」

「そんなんだから太平洋戦争にも負けちゃうのょ!AMC(アキバミリタリークラスター)が頑張ってれば、今頃ワシントンに日の丸が立ってたのに!」


ややっ?コレは聞かない方が良かったかな?話すと長いが、男は恐らく軍事科学者みたい。

しかし、時間トンネルって旧日本軍が開発した秘密兵器だったのか!そりゃ知らなかったw


「でも、テリィ様もよくあんなセリフ、思いつくのね。感心を通り越して呆れちゃう」

「あ、ソレを逝うかなミユリさんが。だから、ストーリー的に必要ワードなんだって。せめて、呆れるを通り越して感心でお願いします」

「そうよっ!ミユリのヒモだからって黙ってればいい気になって!あのセリフ、高くついたから!お願い1つ聞いてもらうわ!」


例によってミユリさんと悪の女幹部ラビリーヌは(古)馴染みのようだ。

バーカウンターの中と外に分かれ僕のコトをヤイノヤイノと攻め立てるw


同じぐらいの年だものな…うーんミユリさんの方が少し上か…ほんのちょっち上…

ぎゃっ!ミユリさんが両目からデス光線を発射(彼女は僕が考えてるコトがわかる)!


「実は…別れた元夫を探して欲しい。最近、気になるコトがあって」

「まさか元夫がストーカーになっちゃったとか?」

「実は…そうなの。でもリアルじゃなくてウェブでね」


ラビリーヌの元夫は、かつてeスポーツの花形スターだったが腱鞘炎が悪化し引退。

ところが、数日前から彼女が遊ぶオンラインゲームに、気になるアバターが現れる。


彼女の「旅の仲間」を次々と葬りパーティを殲滅して彼女1人にしてしまう。

しかし、彼女のアバターにだけは手を出さず、彼女からの挑戦も受けない。


お陰でゲームの現場が荒れているの。

あのアバターは元夫ではないかしら。


第2章 闇ゲーマーを追え


「あぁ、間違いない。あのバハムート(竜)はラビリーヌの別れた旦那だわ」

「やっぱし?」

「多いのょ男って。ホント、未練タラタラ引きずルンだから」


アキバをバイパスのように迂回する昭和通りに面したマックのB1。

ココは界隈を仕切るストリートギャングの溜まり場になっている。


「で、どうするの?晒しちゃう(ネット上に実名や現住居をバラす)?少しは懲りるカモしれないけど…結局、相手のツラの皮次第なのょね」

「うーん…とりあえずホームにしてるゲーセンがわかるかな?」

「モチ、お安い御用だけど…今更遊んでるゲーセン調べてどーすんの?会うの?会っても面倒なだけょ?」


奥の電源席にPC画面をズラリと並べNASAの指令室みたいにして、スピアはお仕事中。

さっきまでAMCの科学者を脅してた彼女は、実はギャングお抱えのサイバー屋なんだ。


僕は、色々とあって幹部Tシャツってのを着てるから、彼女を自由に使える立場にある。

まぁソレでなくても、僕は彼女には個人的にソレはソレは大きな貸しがあるんだが…


とにかく!


早速スピアは、オンラインゲームにログインし、ラビリーヌから聞いてたアバターにロックオン、ユーザー位置情報の検索を始める。


彼女は、並行して他の仕事(何処かの警報装置を切ってるみたいだw)もこなしつつ、右手近くの小さな画面の明滅をジッと見ている。


「ユーザー識別中」


その明滅が消え、僕には全く意味不明な数列が小さな画面の左から右へと流れると、ソレを見てたスピアが不思議そうな顔をする。


「あらー。GPS信号がないわ。と逝うコトは彼のいるゲーセンは、地下か海底か、もしかして衛星電波を遮断する箱の中?まさかね」

「ええっ?と逝うコトは、彼の居場所はわからないってコト?」

「ううん。GPSがない場所では自動的にアップロードした場所の位置情報がUPされるから大丈夫。でもマッピングしたら…うーん神田川の川底なんですけど」


元夫は川底でゲームをしてるのか?


実は、今回ラビリーヌも一緒に来たがってたんだけど、ミユリさんと2人で来て正解だ。

だって、検索結果が川底では顰蹙(ひんしゅく)買っちゃいそうだょなと思いながらシェイクを飲む僕w


でも、とにかく川の底でも地の底でも逝かなきゃ話は始まらない。

フト映画「大脱走」の手掘りでトンネルを掘り進むシーンを妄想…


あり得ない!勘弁だな笑

その時、僕の傍らで…


「大丈夫!パパに頼んでみる」


ミユリさんがヤタラと自信ありげに胸を叩く。

彼女は店舗限定ソフトクリームを舐めているw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「パパ、お願い!力を貸して!」


ミユリさんが、ヒラヒラフリルの痛おばさんに頭を下げている。

何となく釣られて、隣の僕も、パパさんに最敬礼とかしてみる。


ココはアキバの会員制地下クラブでパパさんは、クラブのオーナーだ。

あ、地下クラブってホントに地面の下にあって地下鉄通気口から入場。


実は旧東京地下鉄道の万世橋駅(廃駅)の客扱室を改装した女子限定の秘密クラブなんだけど、僕は過去に1度お邪魔したコトがある。


その時にパパさんがメトロキャプテンのファンだと知った僕は、彼女を原作に登場させると約束したが、実は未だ描いてない(ヤバ)w


「あらあら。ミユリも未だテリィさんとツルんでるのね」

「お陰様で。とにかく銀座線の線路沿いに神田川の川底まで逝かなきゃ、なの」

「最近この辺りも人の出入りが増えてねぇ。壁の向こうは銀座線だから、川の底へでも地の底へでも行って頂戴…あ、テリィさん」


僕の心臓が止まりかける!


「は、はいっ!」

「ミユリを…よろしくね」

「喜んで(危ねぇw)」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


早速ミユリさんを庇いつつ、僕達は終電がハネ、闇に沈む銀座線路を神田川の川底まで、トボトボと…歩かズに済んで助かるw


旧万世橋駅のホームから線路に降りようとしたら、何とホームの端にある元駅員詰所から灯りが漏れてるのが目に入ったのだ。


中を覗いたら…ビンゴ!


狭い詰所跡には所狭しとアーケード型ゲーム機が並びゲーマーが無表情に操作している。

明らかに闖入者とわかる僕とミユリさんの出現にも誰1人として顔を上げる者はいない。


もしかして…伝説の"闇のゲーセン"?


その存在が半ば伝説化している"闇のゲーセン"とは、神級スキルのゲーマーだけが集うとされる、幻のゲーセンのコトだ。


実在したの…か?


手前のゲーマーが、格闘ゲームを左右両手で2台同時に操り地上の誰かと対戦している。

今頃、地上では神級プレイヤーを相手に、誰かが絶望的な戦いをしているに違いない。


「いつか誰かが見つける日が来ると思ってました。私はキング」


左右両手を使った格闘ゲームを圧勝で終えた男がダラリと両手を下ろし話しかけてくる。

もちろん、その間も他のゲーマーが僕達はもちろん、キング?の方を見遣るコトはない。


キングは、いわゆる痩せっぽち。

シャツの下は、ガリガリだろう。


「ココは…"闇のゲーセン"?」

「そう呼ぶ人もいます」

「もしかして、貴方が…」


ラビリーヌの元夫?


実際には、未だ離婚調停中で、実は調停自体は難航していると彼は教えてくれる。

彼自身は、離婚成立まで裏アキバの安ホテルと"闇のゲーセン"を往復する日々。


万事、自嘲気味にポツポツと語る男は、キングの名に似合わズ、ヤタラと謙虚だ。

そんな言動に同情を超え、共感すら覚えて思わず握手とかして、その日は別れる。


その翌日、キングは失踪する。


第3章 メイドさんに謝れ


キングがいない…


実は、初めにそう気づいて騒ぎ出したのは闇ではなく、地上のゲーマー達だ。

昼までに、中央通りや高架下に点在するゲーセンは何処もその噂で持ち切り。


いくらオンラインで対戦を続けても、一向に「神」が降臨する気配がない。

いつもなら、少しでも生意気なプレイをすれば直ぐボコボコにされるのに。


キングがいない…


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「どうしちゃったのかしら、キング」

「へぇ。そんな噂になってルンだ。会ってみれば、意外に物静かで控え目な人だったけどね」

「で、テリィさんはラビリーヌに何処まで話したの?」


オープン直後のミユリさんの御屋敷(メイドバー)

御帰宅(おきゃく)は僕とスピアだけだ。


「別に。キングが逝ってたホテルを教えただけだょ。とにかく会えば何とかスルでしょ、オトナ同士だし」

「"闇のゲーセン"の話はした?」

「してない」


ラビリーヌからのリクエストも「元夫を探して!」だけだったからね。

"闇のゲーセン"でキングが口にした「安ホテル」の名を教えオシマイ。


実際は、インバウンド向けに落成したばかりの結構ラグジュアリーなホテル。

ラビリーヌのコトだから今頃は女幹部コスプレでキングに迫ってたりして笑。


「あ、ラビリーヌからだわ…ミユリです」

「ほーら、電話がかかってきたぞ。キングと逆ザヤ(再婚)になったから、御屋敷(メイドバー)貸切りでパーティょ…なーんちゃって」

「静かにして!え?何?テリィ様と"闇のゲーセン"に来て?今すぐに?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


というワケで、再び僕達はとっくの昔に廃駅となった銀座線万世橋駅の暗闇の中にいる。

後はヘルプのつぼみんに任せ御屋敷(メイドバー)を飛び出したので、ミユリさんはメイド服のままだ。


"闇のゲーセン"はキング失踪以来、閉鎖になっているらしく電源も落ち人影もない。

壁際にあったアーケード用の大型ゲーム機が雑にどけられて背後の壁が崩されている。


「ラビリーヌ!いるの?」

「助けてくれ…ぎゃ!」

「キング?キングもいるの?」


崩れた壁の先は屈めば何とかって低さのトンネルになっていて奥からキングの呻き声。

僕とミユリさんは、瞬間、顔を見合わせたけど、助けを呼ぶ声に向かって、MOVE!


「痛い!」


先頭を逝くミユリさんwが途中で何かにつまずいたけど、転びかけた彼女を支え(パパさん、彼女を庇ったょ←)先に進むと…


「ハイ、そこまでだ。物好きなメイドさんと御主人様とやら。仲良く手を上げてコイツらと並んで壁に向かって立て」

「ミユリさん!テリィさん!こんなコトになってしまって…ホントにゴメンナサイ」

「ラビリーヌ、大丈夫?この人は誰なの?」


手掘りトンネルの先は何処かの地下室に繋がっていて、床にはキングがノビている。

さらに壁向きに何かの仕掛けがあり、その横で見覚えある男がラビリーヌに拳銃を…


あ、御屋敷(メイドバー)でスピアと話してた軍事科学者だ!


「キングが"ラビリンサー"を使ってると知ってバカなマネはやめてって諭したの。彼は、わかってくれて"ラビリンサー"を回収に来たらトンネルの先から物音がしたの。掘ってみたら…」

「それ以上喋るな。大人しく手を挙げルンだ」

「こんな感じ?」


そう逝いながらミユリさんが両手を挙げる(僕はさっきから挙げてるw)と、彼女の両肘からワイヤ針が発射され男に突き刺さる!


「グワアギャァッ!!!」


次の瞬間「パリパリパリ」と逝う軽い音がして男は絶叫、崩れ落ちて床をのたうち回る。

全身の筋肉が勝手に収縮し、激痛に耐え切れず文字通り言葉にならない叫び声をあげる。


テーザー銃だ。


ワイヤ針式のスタンガンで、男は数10万ボルトの電撃を喰い完全に動きが封じられる。

しかし、ミユリさん、スゴいモノをメイド服に仕込んでるw痴漢撃退用?まさか僕用?


「あ、タイマーが…デッドマン装置(スイッチ)?」


男が倒れた直後から、ラビリーヌが指差す先で5分前からカウントダウンがスタートする。

タイマーは複雑な配線のボックスをいくつか通って壁向き扇形に並んだポリバケツと直結。


ミユリさんが、メイド服のポシェットからスマホを抜き御屋敷(メイドバー)に電話する。


「つぼみん!サリィさん、来てる?代わって!大至急!」

「あ、お見えです…サリィさん!」

「ミユリさん、なぁに?私…オフなんだけど…あら?デジタルタイマー式の起爆装置じゃない?燃焼促進剤が20缶も?硝酸アンモニウムとガソリン。バッテリーが4つ…この壁の向こうをハデに吹っ飛ばすつもりなのね?で、後どのぐらい?えっ?3分?何やってンだか知らないけど早く逃げなきゃ!」


話すと長いけどサリィさんは、国益優先の特殊部隊(デルタ・ストライク)で爆弾テロ対策などの専門家だ。

となるとコレはホンモノの爆弾?逃げよぉ!あ、気を失ったキングや男はどーする?


ミユリさんが、スマホのカメラを切り替え、さらに配線の様子を接写して送信する。


「ケガ人がいて逃げ切れません。時限装置を解除します。今3Dカメラの画像を送りましたから指示を!」

「ええっ?何コレ?リアル?スピア!画像データを3D化してくれる?大至急!」

「こんなハサミでコードをカット出来るかな」


こんな状況で僕に出来る恐らく唯一のコトは持ち歩いてる鼻毛切りを差し出すコトだ。

みんなと爆死?する覚悟を決め鼻毛切りを手渡す僕にミユリさんがコックリと首肯く。


「先ずバッテリーを切り離すの。グリーンのワイヤ下のスイッチボックスを持ち上げると、ソレ、その赤いコードを切って。次にタイマーから出るワイヤは3Dモデルに拠れば恐らくオレンジなのでソレを切断。次は白。最後のバッテリーに繋がってるのは上の左のコントロールボックスだから違う。ワイヤを違う順番で切ると爆発するわ。青と赤のコードがある?」

「あるわ」

「テリィたん、ミユリさんに謝って」


ええっ?


はぁ?ぼ、僕か?誰に何を謝るのかな?

ミユリさんと、思わず顔を見合わせる。


「な、何を謝るの?僕は」

「ミユリさんを貧乳と(あざけ)った」

「ええっ?(あざけ)った覚えナイけど」

「サリィさん、もうソレはいいの!」

「全然よくないわ」

「待ってょ!(あざけ)ってないし」


ミユリさんが闇の中で僕を振り向く。


「残念ですが、テリィ様は(おっしゃ)いました。私の胸のコト」

「ええっ?!」

「ミユリさんに謝って」


万事休す。


「(ココはとりあえず)ゴメンナサイ」

「青ょ」

「ROG(了解)」


ミユリさんが青いコードを切断する。

タイマーは…止まる。002秒前。


第4章 キャプテンの帰還

さぁて、今回のトラブルもほぼ一件落着だ。

いくつか話さなきゃだけど何から話そうか?


先ず、ラビリーヌが逝ってた"ラビリンサー"だけど、コレは1種の迷宮回路のコトだ。

基本的には、保存も再ルーティンもせズ、データは回路の迷路を通って逆から出るだけ。


ただ、この迷宮を通る時、データの通信速度に僅か4ミリ秒(4/1000秒)の遅れが生じる。

超光速で連打を繰り返す神級ゲーマーにとっては、この遅れは文字通り致命的となる。


この迷宮回路をインターネットの基幹幹線に噛ませれば、対戦相手が防御態勢を取る前に楽々と必殺技を喰らわすコトが出来るのだ。


実はインターネットの幹線ケーブルの位置は工事関係者に対して完全に公開されている。

工事によるケーブル損傷を避けるためだが、ある意味テロを容易にしているとも逝える。


実際、ラビリーヌも元夫が基幹幹線に"ラビリンサー"を噛ませたと気づき、彼に翻意を促して、一緒に装置の回収へ動いたワケだ。


ところが、地下の闇の中で"ラビリンサー"を回収した2人は、さらに奥から物音を聞く。

好奇心に狩られて手掘りで進むとアッサリとお隣?の地下室へ抜けて、ソコにいたのは…


スピアと話していたAMC(アキバミリタリークラスター)の軍事科学者だ。

AMCは、旧日本軍の兵器開発部門をそのまま地下に潜らせた企業連合体。


彼は「時間トンネル」担当で、過去へ小部隊を送り込む実験に成功したばかりだ。

ついにタイムマシンの開発に成功したワケだが、彼の気持ちは暗く塞ぎ込む一方。


なぜなら、彼の正体は、大陸の国の企業が送り込んだ産業スパイだったから。

そして、実験成功の報告を聞くや彼は「時間トンネル」の爆破を命じられる。


大陸の国では企業=軍であるコトもママある。

爆破の専門家でもある彼は隣の地下室に忍び…


というコトは、あの地下室の隣に「時間トンネル」があるのか!

わぁコリャ何だかスゴいコトを知ってしまったぞ!どぉしょお(銭形警部の声で)?


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「今宵も悪のある限り、終電前に悪を討つ!メトロキャプテン、降臨オーライ!」

「出たわね!メトロキャプテン!」

「すまない、キャプテン!捕まってしまった。助けてくれ!」


真夜中の秋葉原パーツ通りでロケが始まる!

「地下鉄戦隊メトロキャプテン」撮影快調!


今宵は、悪の女幹部ラビリーヌが誘拐した頭脳博士をキャプテンが救出するシーン。

キャプテンが男女戦闘員と戦ってる間に相棒のメトロンが博士の手錠を解き救出だ。


で、実は頭脳博士の役は僕が演じてる←

現場は渋ったが脚本(ほん)書きの権限を行使w


「さぁ博士!一緒に逃げましょう!」

「君とじゃ嫌だ」

「えっ?」


脚本(ほん)にないセリフにアニメ声のメトロンが驚いて棒立ちになる。

予めディレクターにだけ、アドリブを入れるカモと話してある。


「ラビリーヌに会った時、僕の人生は輝いた。君のため僕は正義を捨てる!」

「そ、そんな…」

「博士!貴方に会った時、私の人生も輝いた。私も…悪を捨てるわ!」


その瞬間、何とキャプテンも戦闘員もスタッフまでも手を止め全員が拍手の嵐w

一番気になるギャラリーのミユリさんは…呆れ返った顔だが拍手はしてくれる←


どうやら、ロケは続行、撮影は快調だ!

しかし、今回は結末をどうしたものかw


勝手にラビリーヌの手を取り秋葉原駅の方へ駆け出してはみたが、考えは全くまとまらないw

脚本家(ほんかき)の全才能を傾けラストシーンの構成を(走りながらw)練るが、全くノーアイデアだょ←


だって横でラビリーヌの汗ばむ谷間が揺れ…

誰だって考えなんかまとまるハズ無いだろ?



おしまい

今回は、主人公の出世作「地下鉄戦隊メトロキャプテン」からメトロキャプテンと相棒のメトロン、悪の女幹部、闇のゲーセンを仕切るキング、旧日本軍が開発した「時間トンネル」を狙う産業スパイなどが登場しました。


また、稚拙ながら伏線の細部を書き込みながらストーリーを展開して行く実験作となっています。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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