プロローグ
最初に思ったのは子供の頃だった。
年に一度行われる《神興祭》と呼ばれる神を讃える儀式の式典では、何もないところから火が上がったりするのにも関わらず自分らが生活していくうえでは自らが火を起こし生活しているのか?
この疑問は成長していくにつれて徐々に膨れ上がり、知識が増えていった頃には疑問ではなく自分の中で問題とまで言える程にまでなっていた。
どうして魔法を使わないのか?
ある日、この疑問を母親に聞いてみると「それは二度と疑問には思ってはいけません」返答された。
ある日、この疑問を父親に聞いてみると最後まで言い終わる前に口を塞がれた。
ある日、この疑問を友人に聞いてみるとその日からその友人は自分とは遊ぶことがなくなった。
そしてこの疑問を聞いていった人らは自分の目の前から姿を消していった……
◆
木々が茂り木漏れ日が差し込む、どこか妖艶な雰囲気が漂う森林の中に一軒のウッドハウスがあった。
その家はとても大きく森林の外から見ると家の二階部分が頭を出し周りの風景が見渡せるようになっていた。
そこにたった一人で住んでいる青年が住んでいた。
ある人はこう言った「呪われた人間」
ある人はこう言った「裏切者」
そんな蔑称をつけられ齢が二桁にも満たない頃にたった一人で、都市から離れた場所で一人で暮らしていた。
普通なら生きてはいけない年齢。
もちろん周りの人々は「死んでくれるだろう」と殺すつもりで差別したのにも関わらず…………
「あぁっ!!!!!どうやって魔法って作られてんだよ!!!!」
隣に書物を積み重ね、黒曜にも劣らない綺麗な長い髪をクシャクシャにして叫び散らしていた。
特に痩せ細っている様子もなく寧ろ肉体はガッチリとしている。
「あぁ……叫び散らしても魔法は使えないしな…………ん?」
ふと、周りを囲んでいる木々の隙間に気配を感じ視線を送る。
そこから現れたのは一匹の魔獣だった。
体躯はかなり大きく錆びた長刀を肩に掲げるオークと呼ばれる森からの刺客。
体には無数の傷があり、何よりも目立つのが眼球が両方ないことだった。
「まーた俺に倒されに来たのか?」
読んでいる途中の本を置き、そのオークと向かい合った。
「そろそろ手加減も難しい年頃なんだからよ……お前のリーダーにもそういっとけ」
挑発するように放った言葉に呼応するかのように獰猛に吠えるオークに臆することなく青年は駆け出した。
いや、駆けるでは説明がつかないような速度でオークとの距離を詰め加速してきた勢いと共に的にしやすい広い胴体に拳を合わせる。
それは加速が凄まじい故の威力か、はたまたただ単に青年が異常なのかは定かではないが二倍以上の体躯を持つオークは物凄い勢いで後方に吹き飛ばされた。
バキバキと枝をへし折る音は止まないまま視界に映らなくなるまでには彼方へといってしまうオークを見送ることなく即座に書物の隣に戻り一からまた読み進める青年。
名をアマラ。
神にすらも仇をなすことを烙印のとされた、「呪われた子」