プロローグ
この世界には絶望が多すぎる。
その女神にとって人間1人の人生とは、砂漠を埋め尽くす砂粒のひとつのような物でしかなく、決して介入をするような価値のある物ではなかった。
しかしその日、三人の男の魂がこの女神によって異世界に転生した。三人共、それなりに不幸な人生を経験して死を迎えている。
《どんな能力が発現するかしら……》
女神は嬉しそうにその魂を見つめている。
彼等にとって、新たな人生は幸福な物になるのだろうか……
その女神の口許は僅かに微笑んでいた。
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俺は瀬上真人、29歳 。
身長177センチ、体重72キロ。
フリーライター。
未だ独身のぼっち人生だ。
友人は一人もいない。いや、いらない。
俺は友人不要論者だ。
性格は素直で温厚……だと思っているが、世間の評価は違うらしい。ひねくれ者で口達者。他人には無関心で、人と関わりたがらない変わり者……というのが世間一般の俺の評価だ。
フリーのライターと言ってもここ最近は、テレビやネットの情報を元につまらない記事を書いて、社会を批判しているだけの引きこもりライターだ。収入なんて殆どなく、そろそろホームレスデビューが見えてきた。
俺の人生は昔からこうだった。
子供の頃は親の借金で食うにも困る程の極貧生活。おかげで酷い虐めにあった。子供の虐めは残酷だからな。
年頃になってもそれは変わらず、ますます俺は孤立した。たまに友人面で近寄って来る物好きな人間もいたが、心を許した途端に裏切られた。
この頃になってようやく気付いたのだが、異性はおろか、同性すら俺には近寄ってこないのには理由があった。薄々感付いてはいたのだが、どうやら俺はとんでもない悪人面らしい。
皆、凶悪な面をした虐められっ子が大人しくしている様子が不気味で、恐ろしいみたいだった。人間という物を見限って、関心が無くなってしまったのはこの頃だ。
信じれば裏切られる。
顔は笑っていても、腹で何を考えているか分からない。
これが29年生きて来た俺が、人間という生物に下している評価だ。関わり過ぎると禄な事が無い。
そして、こんな考えだから俺は友人を作れない。欲しく無かった訳では無いが、心から信用出来ない上辺の付き合いなら、友人なんて要らないと言う結論に達したからだ。
おかげで俺は、未だにぼっち人生を満喫している。
そんな俺の人生は、ある日突然終わりを迎えた。
都会では暮らしていけなくなって、俺は田舎にでも帰ろうと決意した。自給自足でも始めようかと考えながら、荷物を纏めて軽トラを走らせていたその時、突然、女の子が飛び出してきた。
「──あぶなっ!?」
俺は咄嗟にハンドルを切ると、そのまま電柱に激突した。
特にやり残した事も未練もない。
ようやく人生ハードモードが終わる。
────こうして俺はあっさりと死んだ。
読んで頂いてありがとうございました。
初めての投稿作品です。
頑張って更新しますので宜しくお願い致します。